▼Brother. Why do you obstruct my way?

焦ることはない。
今回でそう学んだのだ。
美女と野獣といえば有名な物語であろう。
人外・妖怪と人間の切なくて刺激的な恋愛模様。
いいねそれでいこうとしたものの困った事に妖怪とは中々長寿であるらしかった。
なんだよそれ。と、当時事実を知った時に知人としてそばに居たカラ松にぐちぐちと繰り返していたのを思い出す。
兄弟ではないという同じ顔のそれを見て、不思議な感じがしたが、もはやそれも気にするところではない小さいものだ。

カラ松から離れて、一族から捨てられた一松とトド松を拾った。
どうやらカラ松は、一族の外れものを囲ったらしくそれがチョロ松と十四松だった。
人間を怖がりすぎたがしゃどくろと、人間に憧れすぎた目目連。
赤色を手に入れられなかった七歩蛇と、人を恨めない犬神。
自然と六人がすぐ手が届く場所に集まってくるのがうれしくて、一度共に暮らそうと声をかけたこともある。
しかしそれも、赤色に憧れ過ぎたチョロ松と何故か俺を悲しげに見るカラ松に拒否を示された。
おとうとのくせにと言いたくなったが、あいつらは別に俺の弟ではなかった。

奈緒が生まれた時、一松を連れて見に行ったことが有る。
前に一度見たことのある小さな手は、知らない女がぎゅうと握りしめて村の長にいやだいやだと拒否を示して泣いている。
そんな姿を見ても、親子を引きはがしてしまうのかだとか、そういった聖人じみた考えはどうしてか浮かぶことがなくて、また会えた事とかようやく思い通りになる事だとかで頭はいっぱいになっていた。
チョロ松が先に迎えにいったと知った時、俺は近くにいたのだが、十四松に足止めをくらっていた。
だめだ、という十四松は、すんと鼻を鳴らして緩んだ口元から唾液をこぼす。
共に暮らしてもいないのに、十四松は、俺を兄と呼んだ。

ああ、あいつのせいかと、青いあれを思い浮かべる。

俺が根本的にこいつらに弱い事をわかっていて、俺が奈緒に固執している理由もしらないくせに、それを危険なことだと勝手に思っているのだろう。
素直な十四松に何を。

奈緒がチョロ松の名前を聞いた時、ぷつんと小指のなにかが切れた。

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20160627

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