▼落胆
さっぱりと、それはもう今までで一番すっきり目が覚めた。
顔を洗うと鏡ごしの視界は水滴でいっぱいになっており、お気に入りのタオルで顔を拭きながら少し気になって舌をぺろりと出してみる。
いつもと変わらぬ楕円形の舌をふにふにと歯で噛んで感覚を確かめ、いつもと変わらぬ目をぐりぐりと回してみる。
急に、気になっただけだ。
「おはよう」
おはようございますとすれ違い際に挨拶をしてくれた先生に頭を下げて、学舎へと足を踏み入れれば、おはようございます会長、と後方から笑みを含んだ声がかけられた。
「あつしくんさ、見てたの?ってぐらい先生が私に声かけたあとに声かけるよね」
「なにそれ?」
「影の権力者の副会長様にそんなー」
手元だけで拝むような仕草をして見せれば、ため息を吐いて隣で歩き始める彼を私は学校内で一番信用しているだろう。
まだ早朝故に生徒はまばらなこの時間、拝みあわせていた手のひらをじっと見つめた。
「ねえあつしくん、握手してみて」
「…また突然なに?」
「いいからいいから」
ぐいぐいと握手を求めぎゅっと、少し私より大きめの手を軽く力をいれて握。
不思議そうなあつしくんは、何か感想を言うべきかと悩んだのだろう。
チラチラと2回ほど私に視線を泳がしてから、私の頭が期待していなかったセリフをこぼすのだ。
「会長体温高いね」
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20160628
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