▼星屑
「赤塚市芸術祭特別賞受賞。演劇部、部長前へ」
壇上にあがる生徒を前にしながら、生徒会の面々とその様子を見守る。
今年の演目は何だったか、見に行くこともなく終えたそれをぼんやりとしていれば小さな声で隣から銀河鉄道の夜だよと教えられた。
そうか、今年はテーマが星だったからと中学生の頃に読んだ登場人物の名前を思い出し、演劇の題材になりやすいそれを今年は、天文部の女子を登場人物にした作風が受けたらしく特別賞受賞となった様で、少し気になった。
「松野の次男がいい役を演じたらしいよ」
ほう、と集会終わりにあつしくんが携帯を触りながら自分は興味ないけれどと付け加えつつこぼす。
そんなに気になっている様なそぶりをしただろうかと思いつつ、そのまま話を続けられるあつしくんの声を聞いていた。
ジョバンニに仮定された女子生徒
カムパネルラに仮定された女子生徒
二人が帰りに使う駅員役だという次男坊は、ありきたりな駅員制服で彼女らに彼のセリフをこぼしたのだという。
「誰だって本当にいいことをしたら一番幸せなんだろう?」
帰り道、少し寄り道をしてコンビニでパックのカフェオレを買ってじゅるじゅると飲み干しかけていた時。
路地裏の方から聞こえたセリフにふっと目線が誘われた。
何かの音がしていて、それがあまりよろしくないものだとわかったものの、普段ならば絶対に近寄ることもないそこをのぞき込んだ。
「げ、生徒会長」
誰の声かわからないそれを聞いて、顔を確認するまでもなく1人うちの制服を着た男が走り去ったのだけがわかった。
ただ、声だけはどこか聞いたことのある声だった。
視界に残った、青いパーカーを見て思う。
「あ、次男」
思わず口にでた固有の者を指し示す単語に、次男は愛想よく笑みを浮かべて見せた。
「やあ、生徒会長。こんな場所に視察とは危険だぜレディ?」
「もめ事の匂いがしまして」
「うちのトド松からあまりそういったことに首を突っ込みたがらないと聞いたが?」
「まあ、でも気になるセリフも聞こえましたし」
次男は、一瞬考えるそぶりを見せたものの、思いつく節があればにこりとまた愛想よく口角を持ち上げた。
「誰にでもいいと思わせられる事なんて今の俺達にはできない。そう思わないか?」
それがたとえ、自分が降りた役を代わりにやった者が高評価を得たことで、部や学校は良とし、本来の役だった者が悔し涙を流す結果になった事を示していたとしても。
それが最良であったかなど誰にもわからない。
「暴力沙汰を表に出さないでね」
「ああ、俺だってまだ部活を続けたいからな」
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20160708
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