▼Girl cooler than me

学生時代の出会いって夢もあるし憧れもあると思う。
登下校とか、一緒にテスト勉強とか、部活の応援にきてもらったり、お弁当作ってもらえたり、とか、そういうありきたりだけれど、大人になってから途端にやってみたかったなと名残惜しくなる青春てやつだ。
それがやりたくて、そのころのいちゃいちゃというのがやりたくなって、これにしたのに。
しかし問題があって、子供のころからいたずらやら喧嘩を好き好んで手を出し続けていたおかげでまったくもって青春と名前のつく今の俺には女の子が寄り付かなくなった。
この時点でこの妄想は失敗したと思ったし、目的であった奈緒は、生徒会長という役職についてしまった。
隣に立つのは末の弟の友人で、これがどうも根本からいけ好かない。
一度顔を合わせた時に何を思ったか、にたりと笑われて無意識に此処での常反応であるぼうりょくに走りかけたが、寸で、チョロ松に静止された。

今思えば一発くらい殴っても自分の妄想なのだから許されたのではないかと考えられる。
否、妄想とはいえこうも思い通りにいかないのだから俺の世界と考えるのはいささか疑問もある。
だっていつも見ている夢だって、思い通りの幸せを手に入れる事なんてほぼないに等しいだろう?

さて、これにも期待ができないと思った矢先。
一松が奈緒と共に猫の相手をしていると知って一度見に行ってやろうというあくまでも好奇心で、この間さらりと聞き出したその場所に足を踏み出した。
錆びたトタンの近くに見えた後姿は、間違うわけもない自分の理想の彼女である。
片手に持っているのは、缶詰の入っているビニール袋だろう。
足元にとら柄の猫がゆるくまとわりついている。
しかしそのちらりと見える横顔からは、猫と戯れるべくといった穏やかな表情には到底見えない、至極めんどくさそうな顔であった。

携帯が一度震えて、通知画面に一松からの「絡まれてんだけど」という人ごとの様な文字列を目線が読み取ったと同時。
一方的にしか聞くことのない聞きなれた彼女の声が、ぶっきらぼうにこぼれていく。

絶対、いるじゃん。
絶対、そこに一松いるじゃん。

んで、そこに俺に喧嘩売った小物がいるんでしょ

嗚呼。もう、そんな強気な君も好みではあるのだけれど。
危険な事に首を突っ込まないでほしい。

だから勘弁しておくれよ。
俺ってばまだ。君を守れない子供なんだから
初めて抱きしめた君に、聞こえたかどうかわからないけれど

「ほんと、勘弁して。かっこよすぎ」

どうせ見せるならそうだ、かっこよくてミステリアスな俺で出会いたい。

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20160719

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