▼くつしたを買いに
長女であり一番下の私が一番仲がいいのは誰か、と言われたら間違いなく母である。
唯一の同性であることもそうだが、家族という小さく親密なくくりの中でどうしても自然とそうなってしまうものだと思う。
さて、兄の中で誰と、と聞かれると悩むわけではない。
何故かといえば私には、五男か六男という二択しか存在しないからだ。
純粋に私を今でもかわいがってくれる五男。
末弟という事もある上に兄の中で一番世間の流行を知っている六男。
その上四人は、それぞれ男性特有の好きなことや自分の世界を持ちがちで、私は中学を卒業したあたりからなんとなく距離をおいていた。
別に嫌いなわけではないが、特に一緒にいて共通の話題もないというのが正解である。
「どっかいくの」
休日、高校時代の友人から買い物でも行かないかとの招集がかかり久しぶりに出かけようと玄関でお気に入りのパンプスに足をすべらせた。
こつんこつんのかかとを鳴らすのが好きな私は、ピンヒールではどうしても頼りなくて、太めのヒールばかり持ってしまう。
足にどこの猫だろう赤茶色の猫を従えた四男がそんな私に声をかける。
この人が私に自分から話しかけるなど珍しいなと思ったが、そのまま友達と買い物と答えればふうんといつものようにそっけない返事が返ってきた。
「なに?買ってくるものとかある?」
「ん、…母さんが父さんの靴下買ってきてって」
「了解。一松兄さんは?何かあるなら買ってくるよ」
「別に」
そういって背を向けて去っていく兄を見送り、少し暖かくなってきた外へ花粉のむずがゆさを感じながら出かける。
友人との買い物の最中、父の少しおじさんくさいいつものメーカーの靴下と一緒に家族全員分の靴下も買っていれば、友人からあんたも結構家族大好き人間よねとあきれて小さく笑われた。
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20160527
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