▼ワンコインランチをご一緒に

昼休み。
ちょっとランチに外へ出てもいいですか?と上司に問いかけたところ、いっておいでと言ってもらえたので初めてお昼ごはんをしようと外へ出た。
一時間という限られた時間で、店を見つけて注文して食べて、しかも混雑する時間であることはわかっていたがこんなにも頭の中でコンビニで買って帰ってしまうしかないかなどというもったいない選択肢がでてきてしまうのが悔しくて仕方ない。
なんとかどこかでと、不意に視線をうろつかせた先。
黒く少し安っぽい革のジャケットが視界の端に見えて思わず声をかけた。

「カラ松兄さん?」

「えっ、あ。ハローマイリトルシスター?」

一瞬誰かわからなかったのだろう、上から二番目の兄は、私だと認識した途端かけていたサングラスをクッと持ち上げた。
どうしてこんなところにと聞くまでもなく、いつものカラ松Girlsとやらの途方もない逆ナン待ちなのだろう。
昼でも一緒にどうか?と言えばそんな時間なのかときょとんとしてから、少し子供のように笑ってうなづいて見せた。

不思議なこともあるもので、カラ松兄さんと合流してからすぐに人のまばらになった少しこじゃれた定食屋ですぐに席に座ることができた。
兄さんは、唐揚げ定食。私は、日替わり定食で鰆の西京焼き。
味噌汁に冷ややっこ、お漬物にご飯がついてワンコインとお手軽で懐に優しいし量もしっかりしていてうれしい。

「え、いいよ。」

「兄らしい事をさせてくれ」

会計をすまそうとレジに立てば、千円札片手に先程までと違う作った笑顔で私を奢ってくれた兄は、とても彼氏力の高い男なのだろうけれど。

その千円は、きっと私のお給料。

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20160528

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