今日もがんばる毛利さん


「みょうじさん聞いて!体重増えたんだ!」

「何キロですか?」

「43!!」

「身長いくつでしたっけ?」

「167!」

「知ってますか?脂肪より筋肉の方が重いんですよ?」

「うん、こないだ元親君に聞いたよ」

「毛利さんて骨と皮しかないんですか?」

ぶわわっと表情がゆがんでいくのが分かる。
本当に見た目麗しいのにギャップが酷い人だと思う。
根が真面目なおかげがあったからだろう。
彼が片手で扱えるように武器に軽量化を施したのは私に、甲斐甲斐しく菓子折りを持ってきたのは撮影が始まる一週間前の事だった。
会うたびにこれ本当にありがとうねえ。名前なんて言うか聞いてもいいかなあ?あ、今度フランスに行くんだけどみょうじさんはお土産なにがいいかなあ?なんて気さくに話しかけてくるものだからこちらも自然と気さくに対応してしまう。
年上なのだが、どうもほわほわとした雰囲気が年上らしさを打ち消してしまうのだろう。
もう子供だったらぼろぼろと泣いているだろうレベルにまで表情をゆがませた毛利さんは、自分のひょろりとした腕を軽く摘まんでみせた。

「みょうじさんのが筋肉質なのは認める」

「嫌味言いたいんですか?」

「そもそも何が足りないんだと思う?筋トレもしてるし、毎日ごはんも増やしたんだ」

「ちなみに昨日の晩御飯は?」

「昨日?えっとー…」

そのままなんだったけなあ、と悩みだす毛利さんは気付いているだろうか。
いつも私との会話の最後は、私からの昨日何食べましたからの

「忘れたからメモ取ってくるね!」

で、終わる事を。
そのままスリッパをぱたぱたと滑らせていく毛利さんの後姿を見送り、横目に通り過ぎていく眠たげな表情を浮かべた長曾我部さんの姿を確認してからその場を後にした。
そそくさとスタジオの隅にまとめられた小道具を目の前に毛利さんの筋トレに付き合ってあげようではないかと道具箱をあさりだすのだ。

20130625

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