心外だ。プライバシー
ゴシップ。というのは、なんでもかんでも面白おかしく報道する。
地方のお祭りや政治・芸能人の服装や各業界事情。
流行は、最先端だとばかりに情報を流し込み、何度も何度も刷り込むように書いてしまえば偽りも真実になる場合がある。
事件や事故であれば言い回しを斜め上からとらえて過剰に記載し、それを読む者も半分冗談で半分真実であるかのように楽しむのである。
それが例え、熱愛報道の相手が(偽りとはいえ)親類関係の中であるとしても、だ。
「もうどうしようもないって。なんで当人の俺様よりおびえてるの?」
「だって、せっかくの…仕事…佐助さんの仕事が…」
私は、言いようのない圧力に押しつぶされてしまいそうだった。
まだ新人のモデル。とは言え、佐助さんは事務所の期待の星と言っても過言ではないだろう。
これからばんばんと仕事をこなしていく筈だったのは目に見えており、それを崩し壊したのは自分の存在となればなかなかにつらい。
山梨旅行を早々に切り上げて帰宅してすぐ。
マンションに入るエントランス前で数人の報道陣に見つかったときは、まさかもうここまでバレてしまっているのかと恐怖しか浮かばなかった。
側にいるのは変化をした佐助さんであって佐助さんではない別人であるのにも関わらず。
記者は名指しで私によってきたのだ。
この事実に、私の顔がすでにマスコミ間では当たり前に共有情報とされているのだと知った。
個人のプライバシーか、報道の自由か
「とりあえず名前はしばらく家から出ないで。必要なものは俺様が買ってくるし」
「ごめん…」
「謝んない。そんな顔見たくないし、」
笑って?と頬に寄せられた手は優しく、私を簡単に安堵させた。
人の噂も七十五日。
きっとあっという間なのだと、思い込むには長い時間になりそうだった。
next
20141021
[
back]