理解力のかたまり
佐助さんが外出してどれくらいが経過したのだろう。
ぼんやりと、布団の上で枕元に置いていた携帯を眺めた。
メールボックスや着信履歴には、私に何かあったと気付いた人からの連絡を待つ記録だけが残り、それの一つすらものぞき見ることもしなかった。
これから、どうしよう。
ただ、寝る暇すら惜しんでそればかり考えていた。
収入は無い。
それは、二人ともで、少しばかりの貯蓄でどうにかやりくりして事が収まったら実家に帰って仕事を探すなりしていくしかないのだろうかと頭は結論づけていた。
隣に、佐助さんがいない事などまったく頭の端にもない未来予想。
唐突に、頭に何か降ってくる。
ちょっと待って。と、ねえ何かわすれていないか。と、誰かが私にもしもを突き付けてくる。
ベッドから飛び起き、横目でちらりと玄関を見てから、佐助さんのもともと来ていた装束と金物をかためておいた箱を覗き込む。
捨てるに捨てられず、武器など捨ててしまえばどこかで事件になるかもしれないからとずっと保管してどちらも一切触れることのなかった段ボール箱。
中身は、手裏剣や小刀を包んでいた私の使い古したストールと、さっき佐助さんが着ていった服一式がふんわりとそこに残っていた。
すぐに、思い出す。
佐助さんは、唐突に玄関の向こうに現れたのだ。と
そうだ、唐突に現れたのだから唐突に、消えてもおかしくはない。
それは、誰も予測できないことで、誰も止められない事だったのだろう。
不思議と、涙は一筋も出なかった。
私は、ベッドに残ったままだった携帯を手に取り、数日ぶりに電話としての機能を使う。
「あ、もしもしお母さん?」
しんぱいかけてごめん。
さすけさん、かえっちゃった
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20141222
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