ここは現か己の夢か


此処は、何かがおかしい。

「明るい」

灰色の木の上に立てば見渡す限り見慣れぬ建物と、夜中なのに明るい空。
星がほとんど見えないその様子に、物の怪の世にでも迷い込んだのかと殺したはずの感情が不安感を持つ。
目を覚ました時に居た女と同じように、歩き回る人は南蛮らしき衣服を身にまとい殺気も危機感も何も感じられない。
昼間自分と背格好の似た男に化けて街中を歩き、目にうつった全てに怯えた。

「気味ワルい」

必死小さな何かをいじる者。
一人で何かを喋る者
女の化粧は見たことの無い造形。
まったく読めない文字。
髪色もばらばらで時たま桃色や紫色が居て、この中ならば自分の赤毛もさして目立たないのにと少し思った。

「そんな睨まなくたっていいじゃない。もう手あげたりしないからさ」

ほとんど何も理解出来ない中、唯一自分の知り得る世界ではないという事だけは明確だった。
情報は、命をも左右する。
昨晩自分の姿を見た女に取り繕い、情報を得ようと考え現在に至る。
また新たに誰かを捕まえても良かったが、面倒だなというのか正直なところ。
目の前の女は、額に白い布を貼り疲れきった表情で睨んでいるのだが力は無く弱い。

「俺様の話聞いて、ちょーっと教えてよ」

あくまでもこれは仮定、
此処が戦乱の世では無いなんていう信じがたい仮定に、彼女は「何百年前の話をしているのですか?」と当たり前のように口にするものだから
胸ぐらをつかみかけたのは、焦っている自分の感情故。


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20120912

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