おこぼれ


「ほらみろよ。私ツいてる」

そうドヤ顔で袋をひっさげるなまえは、コンビニにたまにおいてある500円ぐらいのくじの景品を見せつける。
この女。くじ運がめっぽういい。
収集癖がないくせに部屋にフィギュアや大型のグッズが散乱しているのは、くじやなんかを1,2回引いただけで上位賞を引き当ててしまうからに他ならない。
くじではないグッズの半数は、友人からの誕生日プレゼント。
自分で買うのはだいたい500円程度の安価なグッズのみでよくあれだけ揃えていると尊敬に値する。
そして、UFOキャッチャーもうまい。
箱ものを取るのが得意らしく、俺の好きな特撮ヒーローの小さいフィギュアや古い作品のリメイクフィギュア、ふたりで必死こいてやったゲームのデフォルメフィギュアなど、付き合い始めてから増えたうちのディスプレイたちは七割がなまえによる戦利品である。

「どこ飾ろうっ、造形綺麗っうひゃ!」

「どうせ箱から出さねえんだろー」

だってもったいないとぼやくとコンビニ袋を右手に持ち替えて左手で手を握ってくる。
その自然な所作を受け入れつつ、本来の目的として購入してきた自分用の缶ビールとなまえ用の缶チューハイとつまみの入った袋を持ちかえれば、へへっという嬉しそうな声が右下から聞こえてきた。

「今へへって言ったよい」

「え?言ってないよ」

「言った。いい加減認めろ」

「そんな漫画みたいな笑い方しないし」

中二病は高校で卒業したと言うなまえは時折嬉しそうにそう笑うのだが、一度その笑い方が好きだと言えばそんな笑い方したことないと反発してきて以降一切認めようとしない。
まあ、わざとそんな笑い方をされたらそれもぞわりとしてしまうのだが、その笑い方をするときは心底うれしい時なのだろう。
手を握る力がぎゅっとこもったのがわかった。

「今度、チョッパーマンのくじなんだって。A賞で飛んでんの、サンプルかわいすぎた」

「B賞は?」

「空飛ぶモビー」

「よし、金渡すから当ててこい」

「任せろ、置かれた瞬間当ててやんよ」

(マルコ隊長ー!任務完了しましたー!)
(よくやった)
(ついでにモビーに乗ったチョッパーマンゲットです)
(好きなケーキ買ってやる)
(太っ腹ーーー!!)

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20130628

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