Cry with


一倍力が強くて、力を自分で調整などできなかったものだから友人などまったくできなかった。
近寄ったら、怪我をする最悪死ぬぞと陰口たたかれ。
幼馴染のあの子は、私に付き合って毎回大けがを負った。
十になって学園に入ってまた陰口を叩かれた。
あいつと手合せするとろくな目に合わない、いやだいやだ、あいつと拘わらない方がいい。
一年の時同室だった者は、学園に嘆願書を出して私を一人にした。
隣に座った者は、ぎりぎりまで身を離し言葉を発する度に肩を震わせた。

「なあ、お前なんで私についてきたんだ?」

幼馴染はどうでもないとへらへら笑って桃色の頭巾を解いて私の腕に巻きつける。
じんわりとにじむ赤色へと目線を落としていれば、ぱくぱくと空気が漏れる音がして何かを囁いているのだとわかってどこかほっとした。
三年になって長次と同室になった。
長次は、同室だった者が家を継ぐとかで幼馴染のように口数少なかったが私をない者とすることはなかった。
ただそこで、隣に居てくれる存在というのは幼馴染以外では本当に初めてだった。
その頃から、幼馴染と会う機会が格段に減ってきていた。

「、へ?」

五年の終わり、幼馴染がお使いの帰りに野盗に襲われて死んだと知らされた。
もう、死体の処理も親への通達も終えた後。
持っていたバレーボールに爪を立てて、小さな音で空気が抜けていくのがわかった。
彼女は口がきけなかった。
耳も聞こえなかった。
目で言っていることを理解して、文字と表情で気持ちを伝えてくる。
誰の陰口も聞こえてくることのない彼女は、私にずっとついてきて、唇読をもっと学び文字を書かなくとも意志疎通をする為に忍術学園へと入学してきた。
ただの、純朴な町娘だった。
最期をどうやって終えたかなど教えてはくれなかったが、女で年頃であった事を考えるとひどい様であったのだろう。
私についてきたせいで、行儀見習いではなくくのいちとしての片鱗をみせていた彼女。

「なあ、長次はくのたまにいた口のきけないやつを知っているか?」

任務中に罠で腕を少しばかり負傷して一緒に任務にでていた長次に応急処置を受けていた最中。
ふっと浮かぶ桃色は、今深い緑に変わってしまっていて少し目を細めた。

「…知っている」

「そうか、あいつ、よく私が怪我をすると同じように布を巻いてくれていたよ」

「ああ、」

「私の、幼馴染でな、つい先日死んだんだが」

私は今、お前でなくあいつが処置していると思ってしますほど好いていたらしい
そう声に出せないほど小さく唇を動かせば、長次からも聞こえるぎりぎりの声で周知だとつぶやいた。
そうやってこの世から消えた事を実感した瞬間、私は生まれて一番の大声を上げた。

20130321

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