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時間が戻ってからの日々は、殆どが二回目の時と相違なかった。
学院では千ちゃんと友達になり、セラが中庭で命を落としたあの忌まわしき事件も前回時同様、無事に回避することができた。
春に開催された剣術大会では当たり前のように僕が優勝を勝ち取り、大会前にセラが僕への贈り物として懐中時計を用意してくれたことも同じ。
唯一異なることと言えば、僕が選択科目で音楽を履修したことぐらいだった。
音楽は嗜んだことがなかったものの、声楽だけは習ったことがあると嘘をつき、ちゃっかり僕もセラと同じ音楽のクラスを受講している。
こうすることで、学院祭でのあの事件を回避しようと考えていた。
そして回帰して半年程が経った今、ようやく専属騎士に斜任した僕は、セラから懐中時計と手紙を貰ったところ。
どんな時でもセラは僕の為に一生懸命で愛らしくて、何度同じことを繰り返したとしても、僕の心はこの子の仕草や言葉にまた想いを重ねてしまう。
「ありがとう。手紙も懐中時計も大切にするよ。でもまさかこんな贈り物を貰えるなんて思わなかったよ。いつ用意してくれてたの?」
『ふふ、それは内緒だよ』
実際はこの子の買い物に護衛でついて行ったわけだから、隠れて買っているところまでばっちり見ている。
それでも敢えて驚いたふりをすれば嬉しそうにしてるから、そんなところも可愛いくて口元が緩みそうだ。
「大会が終わってようやく少しホッとしたよ。これからは毎晩二人で過ごせる時間が作れるようになるね」
『本当におめでとう。私、総司が頑張ってここまで強くなってくれたことも嬉しいし、私と一緒にいてくれることも嬉しい。これから夜に二人でいられることもとっても嬉しくて、今凄い幸せだよ。専属騎士になってくれてありがとう、総司』
もう駄目かな、僕の頭はこの子が可愛いくて堪らないということしか考えられなくなっている。
セラを護ることを真剣に考えてはいるけど、今夜だけはただ素直に自分の感情に溺れたいと思えた。
「僕の方こそ君にそう思って貰えて嬉しいよ。だいぶ待たせちゃったけど、待っててくれてありがとう」
『ううん、総司が頑張ったから叶ったんだよ』
「でもセラが毎日頑張ってることを知ってたから僕も頑張れたんだよ。君だって相当努力したから、首席で学院に合格出来たんじゃない」
『私も総司が頑張ってるから頑張れたんだよ。総司に護ってもらうんだもん、少しでもそれに相応しい女の子でいたいからね』
「セラはそのままでいいって言ったのに。でも出会った時より君はもっと素敵な女の子になったかな」
『えー?それ本当かな?』
「勿論本当だよ」
『じゃあこれからもずっと私のこと好きでいてくれる?』
セラは基本的に直ぐ恥ずかしがるけど、時に強請るような瞳で僕を真っ直ぐ見つめて愛らしい言葉をかけてくる。
その度に僕はまんまと誘われて、ここ最近は芽生えてしまいそうな自分の欲に気付かないふりをすることがだいぶ厳しくなってきている状態だ。
その理由の一つがセラの見せる表情が時折酷く艶っぽいからだけど、今も頬を撫で耳に触れるだけで、セラは顔を赤らめくすぐったそうに瞳を細めていた。
「当たり前じゃない。嫌いになれって言われても僕はずっとセラが好きだよ」
『でも総司は学院でも女の子に人気あるから、少し心配になる時があるの』
「別に人気なんかないけどね。それにセラ以外に興味ないし、そんなことは心配しなくていいですよ」
『うん。総司が私を好きって言ってくれる限り誰にもあげない。総司はもう、私のだもん』
頬を撫でていた僕の手に自分の手を重ねたセラは、柔らかい頬を自分から僕の手に擦り寄せてくる。
あまり触れてしまうと止まらなくなりそうだから我慢していたものの、結局は無理らしい。
気付いた時には僕の部屋のベッドの上に彼女の身体ごと沈み、セラの唇を奪っていた。
『……ん……』
柔らかくて温かいセラの唇は、僕にとって何よりも気持ち良い、真っ先に触れたくなる場所だ。
飽きることもなく何度も角度を変えては重ねて、その存在を確かめ合うように甘噛みを繰り返す。
セラは素直にそれに応えて愛らしい顔で僕を見つめるから、脳が完全にこの子に侵食されていく気がした。
「セラ、好きだよ」
『私も大好き……』
潤んだ瞳はガラス玉みたいに綺麗で、この瞳にずっと僕だけを映して欲しいと思う。
どちらからともなく指先が絡められ再び唇が重なって、僕は堪らず彼女の口内にゆっくり舌を滑らせていった。
『……ん……ぁ……』
最初こそ肩を揺らしたセラも、僕を受け入れ口を開き柔らかく舌を絡めてくれる。
次第に深くなるキスにどちらからともなく息は少し上がり、お互い夢中になって相手を求めていた。
セラの全てに触れたくて飲み干したくて、頭がおかしくなる。
それでもぎりぎりのところで理性を保ち、伸ばした手は柔らかいセラの髪を優しく梳いた。
『総司……?』
「ん?」
『本当に大好き。世界で一番大好きだよ。今日、もうちょっと一緒にいてもいい?』
……まずいな。
過去に戻ってくるにつれ、セラの可愛さがさらに倍増している気すらする。
それは最初の頃より早く想いが通じたことや、僕がより良い行動を選択しているからというのもあるかもしれないけど、あまりの破壊力に僕が固まったままセラを見下ろしていると彼女の眉が少し下がった。
『駄目だった……?』
「いや、まさか。勿論一緒にいてよ、折角二人きりで会えるようになったんだからね」
『これからは毎晩こうやって総司といられるね、嬉しい』
そうだった。
我慢するのは今夜だけではないことに改めて気付いて、将来的に自分が何かしでかさないか些か不安を感じる。
そもそも目の前で少し恥じらったように微笑んでいるセラが、男女の営み的なものをどこまで把握しているのかも謎だ。
「セラは本当に可愛いね。僕も君が一番好きだよ」
素直な気持ちを言うことで、溢れてくる想いを少しでも抑えられたら良いけど、実際はそう単純なものでもない。
なぜなら僕が想いを伝えればセラは嬉しそうに微笑んで、また擦り寄ってくるからだ。
『総司、あったかい……』
耳元や首筋に頬を寄せたセラは、甘えるようにそんなことを言う。
そしてそっと僕の頬にキスをして、愛らしい表情で僕を見つめた。
「あんまりこういうことばっかりしたら駄目だよ」
『どうして駄目なの?』
「僕も男だから色々我慢出来なくなるよってこと。僕が止まらなくなったらセラだって困るでしょ?」
自分を牽制する為に本音をセラに告げると、セラは一度ぽかんとした表情で僕を見つめていた。
でも数秒後に意味を理解したのか、顔がみるみる染まっていく。
「はは、いい顔」
『……あんまり変なこと言わないで』
「別に変なこと言ってないよ。セラが何もわかってないみたいだったから教えてあげたんだけど?」
『私はただ総司のことが好きだから触りたくなっただけだよ。だって……好きや愛おしい気持ちって、言葉だけだと伝えきれないこともあるから……』
当たり前のことなのに、セラの言葉は目から鱗だった。
僕がこうして触りたくなるのも、情けなく欲情してしまうのも相手がセラだからで、その理由はこの身体に抱えきれないくらいこの子のことを愛してしまったからだと改めて気付いた瞬間だった。
セラを求めてしまいそうになる自分に罪悪感ばかり感じていたけど、それがこの子を想うが故だとしたら、この持て余した燻りも今は愛しく感じられる。
そしてきっといくら我慢しようとも、何度だって込み上げて僕を翻弄してくるものなのだろう。
「そうだね。でもそれなら僕もセラに触っていいってこと?」
『総司はいつも私に触ってくれてるよ』
「そうだけど、今日はもっと触ってもいい?」
セラの瞳が揺らいだけど、少し戸惑いがちに頷いてくれた。
その様子が愛らしい分、この子を怖がらせたり無理をさせたくはないとも思う。
「大丈夫だよ。君の身体を傷物にするつもりはないし、嫌ならすぐやめるから」
『うん……』
虚ろな瞳で僕を見上げていたセラに唇を重ねて、徐々に深く味わうように舌を絡ませる。
胸の膨らみに手を添えれば、小さな舌は分かりやすく少し震えるから、それが余計に僕を煽っていった。
ナイトドレスの胸元に付いているリボンを解くと、上半身ははだけて清純そうな下着に包まれた膨らみが露わになる。
セラの顔はそれだけで余裕がなさそうに真っ赤になって、泣きそうな顔で僕を見つめていた。
「そんな顔されたら僕が虐めてるみたいじゃない」
『……だって、緊張しちゃって……』
「僕も緊張してるよ。セラが可愛い過ぎるから、余裕ないかな」
緊張と胸の高鳴りと中から込み上げてくる欲望が一体となって、僕に目の前のセラのことしか考えられなくさせる。
膨らみに唇を寄せその温もりを肌に感じながら、下着のホックを外した先の綺麗な肌に喉を鳴らした。
「……綺麗だよ」
ずっと見たかった。
それに、何度も想像していたんだ。
ドレスの下に隠れている柔らかな膨らみがどんな形をしているのか、それを僕に見せたとき、君がどんな表情を浮かべてくれるのか。
頭の中で何度も繰り返してきたはずなのに、こうしてこの目で確かめてしまったら、胸の奥からどうしようもない熱が込み上げてきた。
『や……あんまり見たら……』
小さく震える声。
頬を染めて伏せようとした瞳が、それでもふと僕を見上げてきて、その熱に潤んだ視線に思わず息を詰めてしまった。
「どうして?すごく綺麗だから、もっと見せてよ」
そう言いながらも、僕の方が困るくらいだ。
だってこんなにも愛らしい顔で、僕を真っ直ぐに見つめてくるなんて。
その視線だけで胸の奥が甘く締めつけられて、息が苦しいほどに愛しくなる。
『……総司、意地悪……』
僕から視線を外さず、ただ頬を赤くしている。
その仕草すら愛おしくて、どうしようもなく抱きしめたくなる。
「……そんな目で見られたら、僕の方こそ我慢できなくなるよ」
セラの手をそっと取って、細い指先に口づける。
そっと触れた瞬間、小さな肩がかすかに震えた。
『……総司……』
「ねえ、もっと僕を見て」
綺麗な瞳が躊躇いがちに僕に向かって開かれていく。
その熱に吸い込まれるように、僕は柔らかい唇に触れた。
隠そうとしたセラの腕を掴めば、その肌は赤く染まる。
二つの膨らみは思っていた以上に豊かに実り、薄い桃色の先端は小さく可愛いく膨らんでいるから思わずそこに手を添えていた。
『……あっ………、ん……』
「……あんまり可愛い声出さないでよ、止まらなくなる」
『や、総司……』
「いや……?」
耳元で囁くと、セラは耳まで真っ赤で涙目だ。
それでも首を横に振ってくれるから、僕の口元は弧を描いた。
「セラ、好きだよ」
本当に大好きだ。
こうして僕だけに真っ赤になった愛らしい顔を見せてくれるところも、精一杯僕に合わせてくれるところも、愛しくて堪らなくなる。
右手で胸の先端を弄びながら、もう片方の胸の桜色の部分にそっと唇を寄せれば、僕の下の小さな身体はわかりやすく揺れた。
『……や、……ぁ……』
舌先で転がし弱く吸い上げると柔らかかった先端が硬くなり、セラから漏れる声もやたら艶めいている。
こんなことをするつもりは毛頭なかった筈なのに僕も止まらなくて、自分でも酷く興奮していることが分かった。
何より清純なセラがこうして僕にだけは身体を許し、こんな姿を晒してくれる。
それだけで嬉しいから、愛らしい二つの膨らみに労わるように触れその形を変えていった。
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