5
今日から総司専用になったこの部屋のベッドの上。
今の状況に頭が追いつかない中、総司の指先にされるがまま身体を熱くさせる私がいる。
私を気遣うように温かい眼差しを向けてくれる総司を、怖いとは思わない。
でもこの先何をするのかを考えると、不安と緊張はおさまらなかった。
「セラ、気持ちいい?」
両方の胸の先端を指先で遊ばれれば、感じたことのない感覚が全身を駆け巡って、もう身体に力も入らない。
これが気持ちいいという感覚なのだとしたら、呑まれてしまいそうで怖いとも思った。
それにさっきからずっと下腹部が疼くような、もどかしい辛さがある。
総司に触られる度に、思わず腰が動いてしまう私がいた。
『ん……でも……もう……』
「やめてほしいの?」
『うん……ちょっと変な感じになっちゃうから……』
「変な感じって?」
『分からないけど……なんか……お腹の辺りが辛くて……』
いずれ結婚して子供を作ることになった時、こうして男女が肌を重ねるということは知っている。
けれど具体的に何をするのかは何一つ分からないという知識不足の状態だった。
けれどあの意地悪な大公子様の言葉を思い出せば、あの人が言っていたのはこういう触れ合う行為のこと?
そうだとしたら思っていた以上に恥ずかしいことを言われたのだと、余計に顔に熱が集まった。
それでも総司はいまだ私の胸を弄ぶから、再び腰や膝を立てた脚が動いてしまう。
そんな私を見下ろす総司は、少し困った様子で柔らかく微笑んだ。
「セラって、やっぱり何も分かってないんだね」
『……え?』
「まあ、そんなところも可愛いんだけど」
胸に乗せられた手が退けられて安堵した時、総司の唇が降ってくる。
柔らかく絡められる舌を受け入れると、どうしてか先程までは感じなかったぞくぞくとした感覚が身体に走った。
片脚を総司の脚に挟まれると、温かい手が優しくナイトドレスの下の太ももを撫でていく。
そしてその手は内股を撫でてすぐ、私の下着越しに下半身の小さな膨らみに添えられた。
『んんっ……』
優しく往復する指の動きに私の指先は震えてしまう。
それでも繰り返されるキスによって何も喋ることが出来ないまま、総司に誰にも触られたことのない場所を撫でられていた。
『……ふっ、……ん……』
なに、これ……。
凄く気持ち良くてそれと同時にもどかしくもあって。
先程まで腰が動いてしまっていたのは、身体がここを触って欲しくて疼いていたのだとようやく分かった。
でも総司にこんなことをされていると改めて意識すると、頭がくらくらして何も考えられなくなってくる。
この熱の逃し方も分からないから、込み上げてきそうでそうはいかない感覚に悶えることしか出来ないでいた。
『……や……、総司……』
「セラ……、可愛いよ。大好きだからね」
『……んっ……あ……』
どうしよう……恥ずかしい。
でも気持ちよくて、このまま自分がどうにかなってしまいそうで、不安でいっぱいになる。
総司と目が合った瞬間、胸が苦しくなって、耐えられずにぎゅっと目を閉じてしまった。
額にそっと柔らかな唇が触れて、ふわりとした温かさに少しだけ体の力が抜けていく。
けれどそれを見計らったように総司の手が下着の中にすべり込み、直接下半身の敏感な場所に触れてきた。
『ゃ……あっ……』
思わず声が零れる。
布越しとは違う指先の熱と生々しい感触に、背中までびくんと震えてしまった。
『あっ……だめ……だよ、……そんなところ……』
「……っ……、そんなところって……?」
耳元に落ちるいつもより低い声に胸がぎゅっと縮まり、優しくなぞられるだけで、身体が勝手に跳ねてしまう。
恥ずかしくて顔を背けたいのに、総司の息づかいがすぐ近くにあって離れられなくて。
目を閉じていても、彼がどんな顔をしているのか想像してしまうと、呼吸まで上手にできなくなりそうだった。
『……や……あ……』
「セラのここ……、僕は触れて嬉しいよ」
指先が円を描くように、ゆっくり優しく押し込まれていく。
そのたびに熱が広がって、腰から背中へと痺れるような感覚が駆け上がっていった。
恥ずかしくてたまらなくて、思わずそっと目を開けると、目に入った総司の表情に心臓が強く鳴った。
総司にも余裕がないのだと、すぐにわかった。
いつもの穏やかで飄々とした雰囲気なんてどこにもなく、熱に浮かされたような瞳で私を見つめている。
その視線に胸の奥がきゅっと締めつけられて、身体が余計に火照ってしまう気がした。
『……そ、総司……』
名前を呼んだだけなのに、息が乱れて声が震えた。
すると彼は小さく息を吐きながら、私の耳元に顔を寄せてきて、低く囁いた。
「……ごめん。セラが可愛すぎて……もう、触るのやめられない」
その声が耳にかかっただけで、全身が甘く震える。
熱い指先がくちゅりという音と一緒に滑り、敏感なところをゆっくりと撫でると、堪えられずに声が零れた。
『……あっ……ん……』
直接触れられている場所からじんわり広がる熱が、どうしようもなく心地よくて、身体が勝手に震えてしまう。
「……嫌じゃない?」
耳元で掠れた声がそう聞いてくる。
けれど同時に彼の指先はさらに強く揉みほぐすように探ってきて、その動きにあっさりと心を奪われてしまった。
『……うん……でも、……気持ちよくて……どうしていいのか……わからなくて……』
か細い声で必死に伝えると、総司が震える吐息を洩らした。
耳元にかかる呼吸が荒くて、胸の奥まで痺れるみたいに熱い。
「……僕も同じだよ。セラが可愛すぎて……触れているだけで、どうしようもなくなる」
吐き出す声が切なく揺れていて、総司の興奮がそのまま伝わってくるようだった。
彼の指が動くたび、甘すぎる感覚が波のように押し寄せて、私の唇からまた声が零れる。
「……凄い濡れてるよ。気持ちいい?」
『うん……あっ……』
「いいんだよ、たくさん気持ちよくなって」
囁かれた大好きな声に身体が反応して、もう一点の感覚にしか集中できなくなる。
同時に胸の先端を指先で弄ばれると気持ち良さは倍増するから、私は一人息が上がっていくのを感じた。
総司の指先は、どうしてこんなにも巧みに私を惑わせてくるのだろう。
ただ撫でられているだけじゃない。
柔らかいところを、摘むように細かく揺らされると、くちゅくちゅと小さな音がして、全身がびくりと震えてしまった。
「……セラ……音、聞こえる……すごい……溢れてくるね……」
羞恥で顔が火照り、身体が余計に敏感になってしまう。
摘まむような刺激が重なるたびに、ぴくん、と腰が小さく跳ね上がってしまって、もう自分では抑えられなかった。
『……っ……あ……ん……総司……だめ……』
必死に言葉を紡いでも、総司の手は止まってくれない。
むしろ答えるように指先がさらに深く沈み、細かく揺れて甘い音を立てる。
その音に自分の身体が反応してしまうことが恥ずかしくてたまらないのに、同時にどうしようもなく気持ちいい。
「……セラ、今の……可愛い……」
総司の声は苦しそうで、でもどこか嬉しそうで。
荒い息が首筋にかかり、背筋をぞくりと震わせた。
『……や……あっ……も……むり……っ』
小さく震えながら縋るように総司の服を掴む。
けれど彼の手は離れてくれない。
むしろ強く抱き込まれて、耳元で押し殺した声が囁かれた。
「……無理なの?でも……ここ、嬉しそうにぴくぴくしてる。僕がたくさんいじってあげると、もっと気持ちよくなるんだね」
そう囁きながら、指先が敏感な先端を摘んで、ゆっくりと揺らす。
くちゅくちゅと濡れた音が響いて、余計に全身が火照ってしまう。
『……あぁ……っ……やめ……恥ずかしい……のに……』
声を震わせても、総司は優しく笑うだけで、動きを止めない。
むしろさらに深く追い詰めるように、何度も何度も細かく指を動かしてくる。
「……こんなに気持ちよさそうな顔、僕以外には絶対に見せないで。……セラは、僕だけのものだから」
その一言で胸の奥が甘く痺れて、羞恥よりも快感の方が勝ってしまう。
涙がにじむほどに切なく、身体は汗に濡れ、熱に捕らわれてどうにかなってしまいそうだった。
総司の指先が敏感な場所を、優しく容赦なく撫でてくる。
何度も、何度も同じところを探るように揺らされるたび、頭の奥が痺れて、声が抑えられなくなった。
『……あ……っ……総司……もう……おかしく……なっちゃう……』
「……いいよ。……僕の指で、おかしくなって。全部、僕に見せてよ……」
『やあ……』
「……ほんとに、可愛いね……。僕の指で、こんなに蕩けちゃって」
甘い囁きと共に、総司の指先が敏感な先端をひときわ強く、優しく抉るように撫で上げた。
それはあまりにも的確で、優しいのに逃げ場を奪うとどめの動きで。
「……ねえ、可愛い先っぽ……僕の指で擦ると気持ちいいでしょ?」
『……あぁっ……や……っ……だめ、だめ……っ』
「……こんなふうに細かく揺らしたら……もっと気持ちよくなれるよ」
指先が、奥を細かく震わせるように揺れて、そこだけを何度も優しく擦り上げる。
痺れる快感が波のように広がり、もう頭の中が真っ白になる。
「……こうすると……もっと気持ちいい?」
『……あぁぁ……っ……そ、そこ……だめぇ……っ……もう……』
「……っ、いいよ……イッて……ほら……」
『……っ……あぁ……そう……じっ……やぁっ……』
お腹の奥からせり上がった甘い衝撃に、全身がびくんと大きくのけぞる。
足ががくがくと震えて力が抜け、総司の腕の中に崩れ落ちるしかなかった。
視界が真っ白に弾け、呼吸すら忘れるほどの甘い快感に飲み込まれていった。
汗ばんだ身体は心地よい脱力感で、ぐったりと動かない。
そんな力の抜けた私を、総司の腕がしっかり抱きとめてくれていた。
「……セラ……すごく可愛い……」
苦しそうに囁く声が、耳の奥まで染み込んできた直後、唇を深く奪われた。
舌が絡んで、息を吸うことさえできないほどの深い口づけ。
さっきまで感じていた甘い余韻が、そのまま総司の唇の熱に溶かされていくようだった。
『……ん……っ……』
熱に浮かされたように夢中で唇を重ねる総司。
総司の舌が絡んでくるたび、胸の奥まで熱くなり、自分でも信じられないくらい素直に応えてしまう。
まだ震えの残る身体で総司に縋りついていたけど、総司は切なく愛おしげに見つめてくれるから、胸の奥がどうしようもなく甘く満たされていった。
「セラ、可愛い過ぎるんだけど……」
『……あ……あの……、ごめんなさい……』
「なんで謝るの?」
『私、きっとはしたなかった……』
記憶の中の私は上半身を曝け出し、脚も開いていて、とても淑女とは程遠い。
自分があんなになってしまうなんて考えても見なかったけど、あの時はあの感覚に溺れて身を委ねたくなってしまった。
「はしたなくなんてなかったよ。僕はいつもと違うセラが見れて満足なんだけどね」
『でも……』
「本当にさ……、堪らなくなる」
引き寄せられるなり深く唇が重ねられて、また総司のことしか考えられなくなっていく。
お互いの息も上がり、総司もいつもより興奮しているのか少し余裕のない触れ方のような気もして、いまだドキドキはおさまってくれなかった。
でも唇が離れると、情欲を帯びた瞳で私を見下ろす総司は瞳を揺らしながらも私の髪を優しく撫でてくれる。
その触れ方はもういつも通りで、私を安心させてくれる心地良い温もりだった。
「なんか気付いたら思っていたより触らせて貰っちゃったけど大丈夫だった?」
『う、うん……』
「良かった」
総司の様子もいつも通りでやわらかく微笑むと、私の下着とナイトドレスを元通りに直してくれる。
そして私の横に寝転び、腕の中で大事にするように頭を撫でてくれた。
『総司?』
「なに?」
『私は総司のために何がしてあげられる?』
「え?」
『総司はどうされたら気持ちいいの?教えてくれたら……するよ?』
私を見てずっと目を瞬いていた総司だけど、私の最後の言葉を聞くと少し驚愕した面持ちになってしまった。
「そんなのいいから。別に君に何かして貰おうなんて思ってないよ」
『だけどまだ総司に何もしてあげられてないから、私にも出来ることがあるならしたいなって思ったんだけど……』
「そんなことセラにさせる気もないし、させたくもないよ。だから気にしないで」
『……でも……私も総司に触りたいから……』
「セラ。女の子から触りたいなんて、そんなはしたないこと言ったら駄目だよ」
はしたないことと言われたら、それ以上しつこく聞けなくて思わず押し黙る。
さっきの私の格好こそはしたないと思っていたけど、女の子側から男の人の身体に触ろうとするのはそれ以上にはしたないってこと?
「ははっ、凄い考えてる顔してるね」
『よくまだ分からなくて……。総司はなんで分かるの?』
「僕はまあ、周りから聞くし。左之さんや新八さんとか酔うと凄いからね」
『ふうん、そう……。まさか他の子としたことあったりしないよね?』
「してないってば。なんでそうなるのさ」
『してないならいい……』
いくら昔の話だったとしても、総司が他の女の子とキスしたり身体に触っていたら本当に嫌でどうにかなりそう。
総司の触り方が気持ち良過ぎて慣れてる気がしてしまったけど、総司の言葉を信じたいから余計なことは考えるのはやめた。
「僕はセラとしかこんなことしないよ。他の子となんて気持ち悪くて出来ないしね」
『本当?』
「当たり前じゃない。じゃあセラは僕以外とでもこういうことしちゃうの?」
『しないし、絶対したくないよ……。総司以外とは出来ない』
「僕も同じだよ。キスも身体に触るのだって君とだけだ。それはこの先も変わらないよ」
『うん、私も』
柔らかい唇が重ねられると、心音は早くなるけど心は満たされていく。
総司の胸の中はもう私の居場所で、どんな場所よりも安心出来るし幸せを感じられた。
思いの外体力を消耗したのか、今になって身体が急に重くなる。
その心地良い倦怠感に身を任せて、瞳を閉じた私がいた。
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