7
総司がなかなか来ない夜は長く感じた。
途中本を手に取ってみたり、可愛い髪型にしてみたり、色々と時間を潰してみたけど、気付けばもう一時。
今日はもう来ないのかもしれないと、少し寂しい気持ちになった。
でも会えないことより、総司が任務で怪我をしていないかが心配。
何かあったらどうしようという不安が、胸の中を渦巻いていた。
『おやすみなさい、総司……』
こんな時間から来ることはないと思うから、取り敢えずベッドに身体を沈める。
総司の身の安全を神様に祈りながら瞳を閉じて、睡魔に抗うことなく眠りについた。
でもそれからどれくらい経った頃だろう、気付けば私の直ぐ横で総司が私を見下ろしている。
深い口付けをされると、彼の口の中はお酒の味がした。
『総司……、お酒の味がする……』
「うん、少し飲んできたんだ。左之さんと新八さんに捕まっちゃってね」
『ふふ、あのお二人お酒好きだもんね』
「それで遅くなったんだよ。約束してたのにごめんね」
『全然大丈夫だよ。それにお酒を飲んだなら、無理して来てくれなくても大丈夫だったのに』
総司には会いたいけど、総司に無理はして欲しくない。
総司の瞳は虚ろだし、完全に酔っているのが分かるから、こんな状態で木を登ってきたのかと思うと心配になった。
でも総司は私を不服そうな顔で見下ろしているから、思わず目を瞬いた私がいる。
「セラは僕に会いたくなかったの?」
『え?』
「無理して来てくれなくても大丈夫だったのにって。そんなこと言われたら僕、悲しいんだけど」
多分総司は私が思っている以上に、結構酔っているのかもしれない。
子供みたいな物言いは可愛くて、少しだけ笑ってしまった。
『私も総司に会いたかったよ。凄く会いたかった』
素直に気持ちを言えば、総司は嬉しそうに微笑んでくれた。
その笑顔もいつもより無防備で少し可愛い。
でも優しく微笑んだかと思ったら、私の手首は強く掴まれ、首筋に熱い吐息がかかった。
『……総司……?』
「僕はこんなに君に会いたくて堪らなかったのに、どうしてセラはそんなに冷静でいられるの?」
『別に冷静なわけじゃ……』
「僕のこと好き?」
『うん、大好きだよ』
「良かった。僕も大好きだよ。今日はセラの中まで全部、僕の味でいっぱいにしてあげる……」
『…………』
完全に総司の瞳が獲物を狙うような情欲に溢れたものになっている気がして、私は一度固まる。
それでも顔が近付いてくれば条件反射のように目を閉じて、大好きな人の温もりを受け止めていた。
深く、熱く、息をすることすら忘れてしまうくらいに、何度も唇が重ねられる。
総司の息遣いもいつになく荒くて、お酒の味のせいなのか私までくらくらしてくる。
『……はぁ、総司……』
「……セラが好きだよ……」
息継ぎの合間に囁かれた言葉に、心が懐柔してしまいそう。
頬を撫でる手も唇もいつもよりずっと熱くて、余裕の無さそうな総司の表情が、私の心まで落ち着かない気分にさせていった。
「なんか……好き過ぎて……止まらない……」
『……そ、うじ……』
「ねえ、もっとキスしたい……」
『んん……』
私を抱き締める腕の力も強められて、身体の至る所が密着している。
キスも深く甘くて、完全に理性が溶けてしまいそうだった。
「君が好きで……大好き過ぎてどうしようもないんだ」
総司が余裕なく紡ぐ言葉はあまりに熱っぽくて、私のドキドキがおさまらなくなる。
嬉しくて恥ずかしくて、なんて答えていいのかも分からない。
ただ揺らいだ総司の瞳は、間違いなく私だけを真っ直ぐ見つめてくれていた。
「ごめん、……もう止められないかも……」
ごめんの言葉の意味が分からないまま、再び唇が塞がれる。
さっきまでとはまた違う、焦りを孕んだキス。
舌を絡め取られ角度を変えながら何度も口付けられると、私の身体にはぞくぞくとした感覚が走り、思わず総司の胸元の服を握りしめていた。
『あっ……総司……』
ゆっくりと服の裾が捲られ背中に総司の温かい手が回る。
温かい手のひらが肌に触れた瞬間ぴくりと身体が揺れ、下着の圧迫感が無くなると同時に私は焦りから総司の胸を押した。
『や……やだ……総司……』
「……怖い?ちゃんと優しくするよ」
『で、でも……』
「セラ、可愛い。大好きだよ。セラの可愛い顔、もっと見せて」
『……そ……じ……』
「セラの全部が好きだよ。君が可愛すぎて……もっと君に触りたい」
どうしよう……
今の総司は、完全にいつもの落ち着きがなくなってしまっている。
返事を返す間もなく唇が塞がれて、少し強引で熱を帯びたキスが繰り返されて。
総司の熱い舌が私の口内をゆっくり撫でる感触がまた私を変な気持ちにさせるから、頭が真っ白になりそうだった。
『あっ……』
ナイトドレスの紐が解かれると、お腹に回された総司の腕に身体の向きを変えさせられた。
もうされるがままになってしまっていて、ゆっくりとずらされてむき出しになった背中には総司の舌が優しく這っていった。
『……っ、いやあ……』
「嫌がるセラも可愛いよ」
『んんっ……擽ったい……』
「セラの身体綺麗だね。今日全部食べさせて」
全部……?
とんでもないことを囁かれて、このままだと本当に大変なことになると総司の拘束から逃れようとした。
でも後ろから力強く抑えつけられて、そのまま総司の手は私のお腹を撫で胸の膨らみへ直接添えられた。
『あっ……』
胸の先端を指先で弄ばれて、目を見開く。
下半身が総司の脚にがっしり絡められて身動きも出来ないまま、気付けば両胸は総司の手の中で思いのままに形を変えられていた。
『……やあ……待って……』
総司の手を上から掴んで剥がそうとしても、全然駄目で、再び胸の先を摘まれれば身体は自然とびくんと揺れる。
力が入らなくなって、その代わりに変な気持ちがお腹の奥から湧き上がる。
こんなこと駄目なのに、総司の手は止まらなかった。
「セラ、大好きだよ。可愛いね、ここも柔らかくて凄く可愛いよ」
『あっ……やぁ……総司……』
「可愛い声、もっと沢山聞かせて」
言葉と一緒に肩に軽く歯が立てられる。
熱い吐息が後ろから首筋に触れて、甘い声で繰り返される愛情溢れた言葉に身体が余計に熱くなった。
ずっともう何分も胸ばかり触られて、総司の舌は私の首や耳を這う。
いつもの総司よりもずっと強引で甘くて余裕がなくて。
こんな総司、私は知らなかった。
『ううっ……だめ……』
「セラ、今日はいっぱい気持ち良くしてあげる……」
『もう、離して……』
「離さないよ。大好きだから、セラに触りたいんだ」
そう囁く声はどこまでも優しくて甘くて、だけど少し意地悪だった。
ゆっくりと背中や首筋をなぞるようなキスが余計に全身を敏感にさせていくようで、私の身体は少し震えていた。
しばらくして、後ろから私を抱き締めていた総司が、私の腕を掴み再び組み敷くような体勢に変える。
開かせられた脚のその片方は総司の肩に乗せられて、私は思わず目を見開いた。
『や、なにっ……』
驚いたのも束の間、私に身体を寄せるように顔を近付けてきた総司は、柔らかくキスを繰り返す。
いつもの優しいキスに少しだけ安堵して身を委ねていると、総司の手が私の内股を撫でて誰にも触られたことのない中心へと伸ばされた。
『んんっ……』
うそ、そんなところまで……?
驚きから唇を離してもまたすぐに塞がれて、総司の指先は私の恥ずかしいところをそっと撫でる。
今まで経験したことのない感覚に、自然と脚は震えてしまった。
『……は……、ぁ……』
何度も何度も擦られて、その間口の中も舌で犯されると、頭の中が総司一色になる。
息も荒くなって自分が自分でなくなってしまいそうで怖かった。
それなのに総司の手は今度はするりと下着の中に入り、私の気持ち良くなってしまう部分を直接撫で始める。
甘く痺れる感覚に思わず声が漏れ、目の前の総司の肩にしがみついた。
『あっ……ああ……』
「すっごい濡れてる……嬉しいよ」
『総司、だめなの……そこ、だめ……』
「だめなの?こんなに気持ち良さそうなのに?」
『やあ……一回やめて……』
「やめない。セラの可愛い顔が見たいんだ、僕にだけは見せてよ」
総司は余裕がなさそうにそう言うと、私の首筋に噛みついたようなキスを落とす。
それすら気持ち良く感じてしまう私は完全にこの行為に呑まれていると気付いたから、込み上げた羞恥心から瞳をきつく瞑った。
でも迫り来る何かが私の僅かな余裕も奪うから、目の前の総司の肩を掴む手に力を入れて息を浅く繰り返す。
そんな私を見下ろす総司は、切なそうに顔を歪めて、私の唇を再び覆った。
「はっ……セラっ……」
『あっ……んん……』
とっても気持ちいい……
どうしよう、何かきちゃう。
もう抗えない、早くそこに辿り着きたい。
「ほら……気持ちいい?」
『あ、それ……やあ……』
「セラ、気持ちいいって言ってよ……」
『や……言えないよ……』
「どうして?僕にこうされるの気持ちよくないの?ここはこんなに喜んでるのにね」
耳元で囁かれる総司の言葉に、余計に辱められていく。
涙目で首を横に振っても拘束は解いてもらえずに、総司の指の動きだけが追い上げるように大きく上下に揺さぶられた。
「セラ、ぐちょぐちょだよ……。撫でてるだけなのにこんなに濡らして、いけない子だね」
『いやぁ……言わないで……』
「嫌だって言いながらも気持ちいいんだよね。顔が蕩けちゃってるよ、本当に可愛いよね……」
『うっ……やぁ……』
「僕以外にそんな顔見せたら駄目だよ?分かった?」
『……んんっ……』
「ほら、返事は?」
もう無理……
恥ずかしくて死んじゃう……
いつもの優しい総司が、すっかり意地悪な総司に変わってしまった。
『あっ……総司……だめ……もう……』
「セラ……イっていいよ」
『や……ああっ……』
「セラの可愛いイった顔見せて、大好きだからね」
身体に力が入って思わず指先を噛むと、そんな私の手を掴み代わりに総司の親指が口の中に入れられる。
無我夢中でそれを舌を這わせ、身体に力が入るのと同時にその指を噛んだ。
『んんっ、……あっ……だめっ、ああ……っ……』
凄く気持ちいい感覚に身体中を支配され、身体が弓形になる。
汗が湧き上がり息が上がり、心地良い怠さに包まれていた。
総司は直ぐに私に深いキスを繰り返し、もう何も考えられなくなる。
もう一度彼の手が私の下半身に伸ばされると、総司の指先が再び私の弱い場所へ触れた。
「上手にイけて偉いね。本当に可愛いな……。大好きだよ……」
『うう……』
「セラの中も触ってもいい……?」
『え……』
「……力、抜いてて。中も気持ち良くしてあげる」
『やあ……待って……』
何がなんだか分からない中で、もう完全に自分の中の許容範囲を超えている気がした。
それでも今の総司は嫌がってもやめてくれなくて、今もまた総司に上から抑えつけられた身体は、身動きも自由に出来なかった。
ゆっくり入り口から中に入ってくる指の感覚に身体は震えて、思わず涙が込み上げる。
でも総司はぐらりと揺れて私の上に倒れてくると、何故かそのまま動かなくなった。
『……総司?』
一瞬焦ったけど、耳を澄ませば規則正しい寝息が聞こえてくる。
私にこんなことをして寝てしまった総司は、今はあどけない寝顔で毒気を抜かれたように眠っていた。
『信じられない……』
あんなことしておいて……途中で寝ちゃうの?
やめてって言っても全然やめてくれなかったのに?
ちょっとだけムッとしてしまったけど、寝顔が可愛いから結局憎めない。
それに総司はあんなに無理矢理私に触っていた割に、ずっと大好きだよ、可愛いねって言ってくれた。
総司の気持ちは思わず私が恥ずかしくなってしまうくらい伝わってきたから、気持ち良さそうに眠っている総司の髪をそっと撫でた私がいた。
脱力してしまっている身体はとにかく重くて、総司の下から抜け出すのにも苦労した。
ベッドのど真ん中でうつ伏せで寝てしまっている総司は、多分このまま朝まで起きなさそう。
そっと彼にコンフォーターをかけて、私は仕方なくソファの上に膝を抱えて眠ることにした。
『寒い……』
寒いけど、総司の隣で寝て、万が一目が覚めた総司にあの続きを迫られたら少し無理かもしれない。
だから避難するためにも私はここで寝ることに決めた。
明日、どんな顔で総司に会えばいいか悩みながらも、身体の倦怠感が私を眠りの世界へと誘っている。
やたら恥ずかしくなってしまう気持ちに蓋をして、瞳を閉じた私がいた。
ページ:
トップページへ