7
建国祭の喧騒を離れ、城の手前まで戻ってくると、そこには見慣れた人物が立っていた。
「二人とも、戻ったか」
夜の静寂の中、穏やかな声が響く。
堂々とした立ち姿に、優しげな笑み。
そこにいたのは近藤さんだった。
彼の姿を見た途端、セラの表情がぱっと輝いた。
『お父様!』
嬉しそうに駆け寄ると、その腕に抱きつく。
その仕草が可愛らしくて、思わず口元が緩んだ。
近藤さんは驚きつつも、すぐに優しくセラの背を撫でていた。
「随分と楽しそうだな。建国祭は楽しめたのか?」
『はい!とっても楽しかったんです』
弾むような声で、彼女は今日の出来事を嬉しそうに話し始める。
『あのね、総司が一緒にパイを食べてくれました』
「おお、そうか。美味しかったか?」
『もう、とっても!あとは初めてりんご飴も食べましたよ。それと、総司がこの髪飾りを買ってくれたんです。可愛いでしょう?』
そう言いながら、セラは髪飾りを指先でそっとなぞる。
細やかな細工の施された花の飾りが、月明かりに照らされて揺れた。
「ははは!とても楽しかったみたいで何よりだ!」
近藤さんは豪快に笑いながら、僕の肩をぽんと叩く。
「総司、ありがとうな」
「いえ、僕も楽しかったので」
僕は軽く肩をすくめて答えたけど、近藤さんに礼を言われるのは妙に嬉しい。
彼はただの公爵ではなく、僕にとっても恩人であり、大切な人だから。
そんな和やかな空気の中、ふと背後で足音がした。
「近藤さん、お戻りでしたか」
「ただいま戻りました。お嬢様の護衛も、沖田さんが無事務めあげましたよ」
そう言いながら近づいてきたのは、山南さんと山崎君だ。
「ああ、ご苦労だったな」
近藤さんは労いの言葉をかけつつ、ふと興味深そうに二人を見た。
「で、どうだったかね?総司の護衛の様子は」
護衛の様子を聞かれるのは当然といえば当然だけど、これは僕の今後に関わる大事な評価になるに違いない。
山南さんと山崎君を見ると、二人は一瞬だけ視線を交わした。
「素晴らしい護衛でしたよ」
山南さんが微笑みながら、静かに言葉を紡いだ。
「特に群衆の中での対応は見事でした。お嬢様の周囲の人の流れを常に把握し、危険が及びそうな場面ではすぐに間合いを詰めて防いでいました。あの状況でお嬢様に一度も接触させなかったのは、相当な判断力と技術がなければできません」
「城下の混雑した通りでは、無意識にお嬢様を外側へ誘導し、人波の影になるよう立ち位置を調整していました。加えて周囲の視線を把握し、不審な動きを見せる者にはさりげなく威圧をかけるなど、細やかな気配りもされていましたね。俺も長年お嬢様の護衛を務めさせて頂いてますが、沖田さんの危機察知能力と判断の速さには驚かされました。お嬢様が不安を感じることなく祭りを楽しめたのも、すべて沖田さんの働きのおかげでしょう」
まさかここまで評価してもらえるとは思ってもみなかったから、思わず目を見開いてしまう僕がいる。
けれどこうして客観的に評価されると、護衛としての自分の行動がどう映っていたのか知ることができるから、少し興味深くもある。
近藤さんは彼らの報告を聞いて、満足そうに頷いた。
「うむ、そうか!流石は総司、たいしたものだな!」
そう言うと、僕の背中をばんっと叩く。
「これからもセラを頼むぞ、総司」
「もちろんですよ」
「いつもありがとうな!」
近藤さんは僕の肩をがしっと掴み、感謝の言葉をかけてくれる。
こういうところ、本当に変わらないな。
アストリア公国を統治する立場にありながらも、誰よりも人情味に溢れた人。
温かい近藤さんの言葉に、僕も自然と笑顔になった。
そしてふと、そんな僕を見つめるセラの視線に気づく。
彼女は僕の方を見上げながら、嬉しそうに微笑んでいた。
『総司が褒められてるの、私も嬉しいな』
「ははっ、そうなの?」
『だって、今日は本当に安心してお祭りを楽しめたから。全部総司のおかげだよ、ありがとう』
その言葉だけで、僕は十分報われる。
今日こうしてセラの嬉しそうな笑顔が見られたことが何よりも嬉しい。
「では、皆で城に戻るとしよう」
「私と山崎君はまだ用事がありますので、近藤さんとお嬢様は先に戻られてください」
「分かった。では今日はご苦労だった、ゆっくり休んでくれ」
『皆さん、ありがとうございました。おやすみなさい』
最後に僕を見上げて可愛らしく微笑んだセラは、近藤さんと並んで城の中へと入っていく。
僕は二人の後ろ姿を見送りながら、なんとも言えない満ち足りた気持ちになった。
そして、そろそろ騎士団の寮に戻るかと思った矢先。
「沖田君」
名前を呼ばれて振り向くと、山南さんが柔らかく微笑んでいた。
「君に今日の護衛のことでお話があります。今から少しお時間宜しいですか?」
山南さんはあくまでにこやかだったけど、その声音にはわずかに「避けることはできませんよ」という含みを感じた。
この流れは、あまりいい予感がしない。
僕の直感が、そう告げている気がした。
「ええ、大丈夫ですよ」
「では、城の一階の応接間で」
山崎君がやれやれと腕を組み、山南さんは静かに歩き出す。
僕は苦笑しながら頷き、山南さん、山崎君とともに城の一階にある応接間へ向かうことにした。
屋敷の一室で山南さんと山崎君に呼び出された僕は、少し落ち着かない心情で二人の前に座っていた。
建国祭での護衛の件で話があるらしい。
まあ、何となく話の内容は察しがつくけど。
「まずは、沖田君。本日の護衛、お疲れ様でした。セラお嬢様をしっかりとお護りいただき、ありがとうございます」
「いえ、それが僕の役目ですから」
少し落ち着かない心情でそう答えると、山崎君が腕を組みながら真面目な表情で頷いた。
「実際のところ、沖田さんの護衛は見事でした。お嬢様が危険にさらされる隙を一切作らず、周囲の動きにも常に目を光らせていましたね。人混みの中でも、少しでも危険な動きがあればすぐに位置を調整し、お嬢様を安全な場所へ誘導していた。あれほど自然に人目を引かずに警戒を維持できるのは、並の騎士にはできないことです」
山崎君の真剣な口調に、僕は内心で安堵した。
護衛としての腕前を評価されたのは、素直に嬉しいと思えた。
「加えてお嬢様が建国祭を心から楽しめるよう、細やかに配慮されていましたね。やはり君に任せて正解でした。お嬢様も安心しておられたでしょう」
「そう言って頂けるなら光栄です」
護衛としての職務を果たすのは当然だけど、セラが本当に安心して祭りを楽しめたのなら、それ以上のことはない。
でもそんな話がしたくて僕をここに呼んだわけではないだろうから、早く本題に触れてほしい。
だからこそ僕は、自分の方からそのきっかけを作ることにした。
「褒められるのは嫌いじゃないですけど、こうしてわざわざ呼び出されたってことは、何か問題もあったんですよね?」
僕がそう返すと、山南さんの目がほんの少しだけ鋭くなる。
それに気づかないふりをしていると、彼はゆっくりと口を開いた。
「沖田君は随分とお嬢様との距離が近いようですが、いつもあのように接していらっしゃるのですか?」
山南さんは穏やかな口調ではあるものの、どこか含みのある微笑を浮かべている。
まるで私たちは見ていましたよと言わんばかりの表情だ。
僕はふと今日一日を振り返った。
セラが手に持っていたパイを、悪戯心で齧ったこと。
僕の手からパイを食べるあの子が可愛すぎて、思わず頬を撫でてしまったこと。
そしてヴェールが舞い上がりそうになった時、咄嗟に彼女の後頭部を押さえ、顔を自分の胸中に隠したこと。
……うん、確かに。
言われてみれば、護衛の範疇を超えていた気がしなくもない。
「もしかして、最初からずっと見てました?」
そう尋ねると、山南さんは優雅に微笑み、山崎くんは当然だとでも言うように頷いた。
「ええ。お嬢様の護衛として、沖田君がどのように振る舞われるのか、一部始終しっかりと見させていただきましたよ」
「まさか、俺達の存在を忘れていたわけではないでしょう?」
完全に忘れていた。
確かに彼らも護衛として控えていたはずなのに、セラばかりに気を取られていて、すっかり意識の外になっていたことを今更ながら思い出す。
だからこそ、今になってじわじわと気恥ずかしさや後悔が押し寄せてくるわけだけど。
「まあ、護衛としての働き自体は素晴らしかったですよ。些細なことにもよく気付き、お嬢様のことを大変よくお護りくださいましたね」
山南さんはそう言って、穏やかに僕を労った。
山崎君もまた、少しばかり呆れたような顔をしながらも、渋々といった様子で頷く。
「確かに、あれだけ気を回せるのは見事です。立ち止まる場所の選び方も、考えなしにやっていたわけではないことがわかりました」
それは当然だ。
僕の第一優先はセラを護ること。
護衛としての役目はしっかり果たすつもりだ。
「ですが……」
山崎くんが、再び釘を刺すように口を開く。
「もう少し節度というものを意識してください。お嬢様のパイに勝手に齧りつく護衛がどこにいるんです?」
「そうですね。途中、何を見させられているのかと思う場面が、いくつかありましたよ?」
山南さんは笑いながら、けれど決して冗談だけではないような、そんな口調で言う。
「すみません、少しやり過ぎたかもしれないですね」
「少し……という域を超えていたようにも思いますけどね」
「そもそも沖田さんはお嬢様に対して、少々過保護すぎるのでは?」
山崎君のその言葉に、僕は苦笑を浮かべるしかなかった。
確かに今日はいつもよりも気を配ったつもりではあったけど、まさかそこを指摘されるとはね。
「自覚はありますか?」
「ええ、まあ……少しは。でもほら、あの子危なっかしいじゃないですか。階段の段差とか転びそうですしね」
「ほう……それで手を繋いでいたと?」
「え?」
「お嬢様とほぼ一日中ずっと手を繋いでいましたね。それはお嬢様が転んでしまわぬようにという、沖田君なりの配慮だったのでしょうか?」
「…………」
予想外の指摘に、一瞬だけ言葉を失った。
すると山崎君がすかさず追い打ちをかける。
「俺もお嬢様の護衛は長らく務めていますが、沖田さんのように手を繋いだことは一度たりともありません」
まあ、普通はそんなことしないよね。
でも普通にしていたら守れないことだってあると、僕は思う。
「確かに繋ぎましたけどね、手を繋いでいたのは祭りの間だけですよ。それに手を繋いだのは、はぐれないようにするためであって、他意はありませんし」
「なるほど、他意がなければ問題ないと?」
「そうですね」
「何言ってるんですか、問題大有りです……!問題はその繋ぎ方なんですから!」
僕が敢えてさらっと答えると、山崎君がぐっと前に出て反論してきた。
「なぜ、指を絡めていたんですか!?」
「え?あー、んー……指を絡めた方が、何かあった時もセラの手を離さずに済むかなって」
「普通に握るだけで十分でしょう!」
「なんか凄い怒ってるけど……もしかして山崎君、羨ましいの?」
「違います!」
山崎君は勢いよく否定してるけど、なんだか怪しいな。
「そうではなく、あんな……あんな絡め方をするのはおかしいと言っているんです!」
「じゃあ、指を絡めないで普通に繋げばいいの?」
「だから、そもそもそういう問題ではありません……!」
また怒られた。
いや、正直言うと、山崎君が何をそんなに怒ってるのかはよくわからない。
護衛として最適な方法を取っただけだし、セラも嫌がっていなかった。
むしろ僕が手を引くたびに、少し恥ずかしそうにしながらも、ちゃんとついてきてくれた。
それにセラの手は温かくて、繊細で、指を絡めた瞬間に少し震えたのを僕はちゃんと感じていた。
でも今それを思い出すと口元が緩みそうだから、考えることに無理矢理蓋をする。
すると山崎君がさらに熱くなりかけたところで、山南さんが「やれやれ」とでも言いたげに微笑みながら口を開いた。
「落ち着いて下さい、山崎君。沖田君からすれば、お嬢様を守るために必要な行動だったのでしょう?」
「もちろんそうですよ。人混みの中ではぐれないようにするのは基本ですしね」
「確かに君の判断は理に適っています。沖田君が真剣に護衛していたことは、見ていればよくわかりました。ただ……」
山南さんは微笑みを崩さぬまま、鋭く観察するような目を向けた。
「それが本当に護衛の範疇でのことなのかは気になりますね。指を絡めるというのは、護衛というよりも特別な感情を持った者同士がすることだと思いませんか?」
「んー、それはどうでしょうね。人それぞれなんじゃないんですか?」
「沖田君。そろそろしらばっくれるのはやめましょうか」
「…………」
……まずいな。
正直なところ、セラに対する自分の気持ちを気づかれたくない。
でもこうして面と向かって指摘されると、山南さんを相手にごまかしきれるか怪しいところだ。
「沖田さん」
山崎君が鋭い目で僕を睨む。
「まさかお嬢様に何か特別な感情をお持ちなんですか?」
「え?特別な感情?」
僕はわざと首を傾げる。
「それは勿論大切に思ってるよ。護衛対象としてね」
「……本当にそれだけですか?」
「うん、本当」
山崎君はまだ納得していないようだったけど、山南さんが苦笑しながら手を軽く上げる。
「まあまあ、そこまでにしておきましょう」
「ですが宜しいのですか?」
「大切に思う気持ちは、護衛として必要不可欠なものです。お嬢様が安心して祭りを楽しめたのは、沖田君がそれだけ気を配っていたからでしょう」
「それは、そうかもしれませんが……」
「ただし、沖田君」
「はい?」
「次回の護衛では、もう少し周囲の目を気にして頂かないと困ります」
「……はい、気をつけます」
周囲の目か。
それを気にするなら、本当はセラの手なんて繋ぐべきじゃなかったんだろう。
でも彼女の手を引いたときの、あの頼られてる感覚。
指を絡めたときの、あの温もりと照れくさそうに俯く顔。
それを一度知ってしまったら、どうしても手放したくなかったんだよね。
僕の護衛の行動に問題があるとしたら、僕がセラに抱く感情そのものなのかもしれない。
「それと沖田君。お嬢様はとても純粋な方なので、あまり弄ばないであげてくださいね」
山南さんの穏やかな声が、柔らかくも静かな圧を帯びて響き、僕は軽く目を瞬いた。
確かに、少し悪戯を仕掛けたことは認める。
パイを齧ったり、ヴェールが飛ばされそうになった瞬間にその身体を抱き寄せたり。
でもそれはただの護衛の一環であって、決してあの子を弄んでいるつもりなんてなかった。
いや、そもそも僕が彼女を弄ぶどころか、逆に振り回されている気すらする時がある。
セラが少し恥ずかしそうに僕を見上げた時。
無邪気に微笑んで「ありがとう」と言ってくれた時。
不意に真剣な顔で僕の言葉に耳を傾けてくれる時。
その度に、僕の心が明らかに揺れる。
甘く切なく、時に焦れるような感覚を覚えながらも、それを悟られないように誤魔化すことが大変なくらいだ。
でもそんなことは山南さんに言えるはずもない。
僕はいつも通りの笑みを浮かべて、軽く言葉を発した。
「僕はただ、お嬢様をお護りしていただけですよ」
「本当にそうでしたら問題はありませんけどね」
山南さんは、どこか意味深に微笑む。
まるで全てお見通しだと言わんばかりに。
「それにしても……」
山崎君が腕を組みながら、少しだけ眉を寄せた。
「お嬢様が勘違いしたらどうするんです?」
「勘違い?」
僕が聞き返すと、彼は呆れたように首を振った。
「まかり間違って、お嬢様が沖田さんを好きになってしまったら、どうするんですって聞いてるんですよ」
「え?」
思わず目を見開いた。
そうなったら、この上なく嬉しい。
そんな考えが、一瞬で頭に浮かんでしまった。
でも、心の奥底で望んでいることを言葉にされるとは思わなかった。
僕はセラにそんな風に想ってもらう資格なんてないと、どこかで自分に言い聞かせていたからだ。
なぜならセラはあまりにも純粋で、まっすぐで、僕なんかが手を伸ばしていい相手ではない。
それなのに、一瞬でも期待してしまった自分に気付いて、苦笑を浮かべた。
だけど僕のその反応を見逃さなかった人がいる。
「おや?沖田君、満更でもなさそうですね」
山南さんが、楽しげな声で言う。
山崎君もじっと僕の顔を見て、僅かに目を細めた。
「むしろ、嬉しそうに見えますが」
どうやら、情けないことに少し顔に出てしまっていたらしい。
僕はひとつ息を吐き、少しだけ口角を上げた。
「まさか。お嬢様みたいな方が、僕なんかを好きになる筈がありませんよ」
軽く流すように笑ってみせる。
でも自分で言ったその言葉に、少しだけ胸が痛んだ。
セラが僕を選ぶはずがない、なんていうことは出会った時からわかっている。
わかっているのに、言葉にすると妙に現実味を帯びてしまうから、どうしたって苦しくなるみたいだ。
「それならいいのですが、この前お嬢様が変なことをおっしゃっていたので、気になってしまいまして」
「変なこと?」
「ええ。ご自分の婚約がいつ頃決まるのか、気にされていましたよ」
その言葉に、僕はわずかに眉を寄せた。
婚約……そんなことをセラが考えていたなんて、正直少し意外だった。
セラは恋愛ごとには疎いと思っていたから。
「それだけではありません。お嬢様は、自分に好きな人ができたら、その方との結婚は認めてくれるのかと、近藤さんに尋ねていました。もちろん、必ずしもそれが叶うわけではないと、近藤さんは答えておられましたが」
山南さんは、僕の反応を窺うようにそう言う。
僕は一瞬、何かを言いかけた。
けれど口を開く前に、いつもの調子を取り戻して、飄々とした笑みを浮かべる。
「へえ、あの子もそんなことを考えてるんですね」
まるで他人事のように、さらりと流す。
けれど、内心ではまだ引っかかっていた。
セラがそんなことを考えるようになったのなら、彼女が好きになる誰かはいつか本当に現れるのだろう。
そんな日は永久に来てほしくはないけど。
「僕はお嬢様のことを、妹のように可愛がってるだけですよ。他意はありませんし、心配には及びません」
そう言うと、山南さんは「そうですか」と微笑み、山崎君はまだ何か言いたげな顔をしていたものの、結局それ以上は突っ込んでこなかった。
でも、それでいい。
僕はセラを護るだけだ。
それ以上の何かを望んではいけないことは自分が一番よくわかってる。
……だけど。
あの子の中に好きになる誰かが現れる未来を想像して、胸がざわついたのはきっと気のせいじゃない。
今日のセラの笑顔を思い出し、二人の視線から逃れるようにさりげなく息を吐き出す僕がいた。
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