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王宮に上がってから、気付けば二ヶ月近くが過ぎていた。
来月から復学してはどうかと、薫様からお声をかけていただき、二つ返事で了承してからもう数日が経つ。
そんな折、今日は千鶴様からのお誘いを受けて、昼食をご一緒させていただくことになった。

案内されたのは、柔らかな陽が差し込む小さなお茶会の間。
白いレースのクロスが掛けられた丸テーブルの上には、色鮮やかなサンドウィッチや、小さな焼き菓子、フルーツを添えたタルトが並べられている。
淡い香りの紅茶が湯気を立て、部屋の空気は静かで落ち着いていた。

千鶴様は人払いをされ、部屋には私と二人きり。
最初は胸の奥が固くこわばるような緊張を覚えていたけど、千鶴様はあたたかい微笑みで迎えてくれたから、言葉を交わすうちに少しずつ肩の力が抜けていくのを感じていた。


「この前、とても面白い演劇を見たの。月影の誓いっていうのだけれど、セラさんはご存知ですか?」


ぱっと顔を上げて、私は思わず微笑んだ。


『私も観に行きました、とてもいい演劇でしたよね。悲恋でしたけど、心に残るお話でした』

「わかります。悲恋で終わるお話を見たのは初めてだったので、感慨深かったです」


千鶴様は、そっと息を吐き出すように言葉を続けた。


「今まで見てきたお話は、どれも綺麗に終わるハッピーエンドばかりでしたけど……私、思うんです。実際は本当にハッピーエンドかどうかなんて、死ぬ寸前にならないとわからないですよね」


確かにその通りだと思った。
想いが通じてハッピーエンド……物語ならそれが一番美しく終わる形かもしれない。
けれど現実は切り取られた場面だけが幸せでも、その先は誰にもわからない。
生きている限り未来は続いていて、その先に幸せがあるかどうかはきっと最後まで知ることはできない。


『確かに千鶴様のおっしゃる通りです。あの物語の主人公達はとても悲しい終わりを迎えましたけど、もしかしたらその後の人生はハッピーエンドで終わっていたかもしれないですよね』


そうであってほしいと思う。
別々の道を選んだとしても、それぞれが自分の場所で温かな日々を見つけたのだと信じられれば、胸の痛みも少し和らぐ気がしていた。

けれど、私と総司は……?
このまま歩き続けた先に、私たちの幸せは本当にあるのかな。
総司がいない世界に、私の幸せはない。
総司も私といることが幸せだと言ってくれている。
でも二人でいても幸せではない未来が続いているのなら……その時、総司はどう思うのだろう。

ふと、胸の奥に漠然とした不安が広がり、私は紅茶の湯気を見つめながら小さく息をついた。


「何か……悩み事?」

『あ、いいえ。違います。あまりにもこのお紅茶がおいしくて』

「ふふ、気に入っていただけて良かった。この紅茶は私がセルディアで見つけてきたものなの」

『セルディアで?』

「ええ。その演劇、セルディアで観たの。本当は国内で観る予定でしたけど、私が体調を崩して当日行けなくなってしまって。それでせっかくならと、まだ訪れたことのなかったセルディアで鑑賞することにしたんです」


千鶴様の言葉を聞き、私の胸の奥であの日の記憶が静かに蘇っていった。
セルディアの劇場、あの日は総司と二人、お忍びで出かけた。
人混みを抜ける時に自然に繋がれた手の温もり。
劇場の灯りに照らされた横顔。
あの時は、これからもずっと一緒に未来を歩んでいけると信じて疑わなかった。


「セラさんはどちらで鑑賞されたの?」

『私もセルディアです。チケットはもう諦めていたのですが、偶然お友達に譲っていただけて』

「そうなんですね。実は私、あの時のチケットをまだ持っているんです。記念にと思って」


千鶴様が小さな手帳を取り出し、その内ポケットから紙片がちらりと覗いた。
それを目にして思わず胸が熱くなったのは、私も同じようにあの日の思い出をそっと手帳に挟んで大事にしていたから。


『ふふ、私もまだ持っていますよ』


手帳を開き、チケットを取り出す。
千鶴様も同じようにそれを手にし、二人で並べて眺める。
ふっと微笑み合った、その一瞬の後だった。

千鶴様の瞳に、何か含みのある色が差したように見えた。
胸騒ぎを覚えながら視線を手元へ落とした直後、血の気が引いていく。
チケットに印字された日付も時刻も……全て同じだった。

遠く離れた小国、セルディア。
王族の目もなく貴族の顔も少ない、知り合いに会う心配などないと思っていた場所。
身分を隠し、商家の娘の格好で出かけたあの日。
公演日も公演時間もいくつもあったのに、よりによって全く同じ日の同じ時間帯に千鶴様もそこにいた。
偶然というにはあまりにも細く冷たい糸が、私の心を締めつけていた。


「私ね、あの日は二階席で観ていたの。王族専用の鑑賞席で、舞台からは少し離れていたけど、会場全体がよく見渡せたわ」


千鶴様の声をどこか遠くで聞きながら、私は冷静を装ってそこに座っていた。
なぜなら護衛をつれて演劇を観に行くことは、別に疾しいことでもおかしいことでもない。
ここで慌てては駄目だと自分に言い聞かせていた。


「そこでね、とても面白いものを見たの。セラさんと総司さん、最初はお二人ともいつもと雰囲気が違っていてわからなかったのだけど、見ていてすぐに気付いたわ」

『奇遇……ですね。お声をかけて頂けたら良かったのに……』

「そうしたかったのですけど、私もお忍びで来ていたから。それにお二人の仲を邪魔するなんて無粋なことはできなくて」

『いえ、そんな……私と総司はそのような仲ではないので』

「でもずっと手を繋いで観ていらっしゃいましたよね」


私は二階席があることなんて知らなかった。
そしてまさか二階席から一階席がそんなによく見渡せるなんて思ってもみなかった。
冷や汗が背中に伝い、蘇るあの日の記憶。
総司と指を絡めて舞台を見つめ、涙をこぼした私に、総司がからかうように唇を寄せたあの瞬間。
震える指先を必死に押さえ込むように、膝の上で拳を強く握りしめた時、千鶴様は微笑みながら続けた。


「私、途中から演劇よりお二人のことが気になってしまって。ずっと見ていましたよ、泣いているセラさんに総司さんが口づけしたところも全部」


喉が固くなり、言葉が出てこない。
千鶴様がこのお茶会に私を呼び、人払いまでして話したかった理由がようやく理解できた。
それでも私は、彼女の瞳から目を逸らせなかった。


「安心して?薫には余計なことは言っていないわ」

『千鶴様、そのことについては心から申し訳なく思っております。ですが、あの日はまだ薫様から婚約のお話を頂く前でした』

「そうですよね。むしろ薫がセラさんと総司さんの仲を無理矢理裂くようなことをしてしまって、私としては申し訳なく思っていたんです」

『いいえ……そんな……』

「でも薫は何故かセラさんがディラントの元大公子を慕っていたと勘違いしているみたいなの。総司さんがそう教えてくれたって。ふふ、おかしいわよね」


全てわかっている……その確信が、千鶴様の笑みに滲んでいた。
わかっていてあえて私にだけ告げるその理由を考えれば、胸の奥に冷たい恐怖が広がっていく。


「私、総司さんと初めて話した時から、ずっと引っ掛かりを感じていて……。あたかも誠実そうに見せるのは上手な方だけれど、あの方、本当はそんなに綺麗な人ではないですよね」

『それは、どういう意味ですか……?』

「ふとした時に見せる表情が、とても冷たいと思いませんか?何を考えているのかわからないのに、その目の奥にある野望だけははっきりと見える。そんな、少し怖い人」

『総司が……怖い……ですか?』

「セラさんは、そう感じたことはないの?」

『ありません。総司は……優しい人です』


総司が怖いと思ったことはなかった。
先日、彼が怒りを押し殺した横顔は確かに少しだけ怖かったけど、あれはただの怒りのせい。
その後きちんと私に感情を明かし、またいつもの温かい彼に戻ってくれた。


「セラさんには優しく見せているのかもしれませんね。でも、薫もどうして総司さんを王宮に呼んだのかしら。勿論、セラさんと総司さんがそういう仲だとは思ってもないのでしょうけど」

『確かに以前までのことは認めます。ですが今はそういう関係でいるわけではありません』

「ふふ、本当に?」

『本当です』

「でも、総司さんはきっとセラさんを諦めてない。だからわざわざ近衛騎士として、今もセラさんの傍にいる……そうではないのですか?」

『違います。総司はただ私が一人で王宮に上がるのは不安だろうと、護衛としてついてきてくれただけです』

「私にはあの人がただ指を咥えて見ていられる人には到底見えませんけど。この前も私、言ったでしょう?薫も総司さんも、欲しいものは手に入れないと気が済まない人だろうって」


その言葉にそんな含みがあったなんて、今頃知ったところでもう遅いのかもしれない。
千鶴様の目的がわからないまま、ただ流れるこの時間は私の心をしめつけるものでしかなかった。


「薫はね、昔から自分のものに手を出されるのを極端に嫌うの。だから総司さんがどういうつもりでも、この事実を知ったら薫は激昂するでしょうね」

『ですが先程もお伝えした通り、それは婚約より前の話です』

「でもセラさんは今も総司さんを近衛騎士として傍に置いているでしょう?それを薫が許すかしら。しかも総司さんは薫を欺くために嘘までついたんです。その時点で信用のおける相手ではなくなってしまいますよね」


千鶴様の声は、やわらかい響きの奥にひやりとした鋭さを忍ばせていた。


「セラさん、一つ面白い話を聞かせてあげる」


私の耳に届くその声は、遠くから響くようで、なぜか背筋に冷たいものが走るものだった。


「まだ薫と私が子供だった頃、私たちには専属の乳母がいてね、薫はその人をとても気に入っていたの」


千鶴様は視線を少し落とし、まるで懐かしい話でもするように続ける。


「でもその乳母が自分の子を身ごもったと知ると……薫は急に変わったの。お腹を撫でて幸せそうにしている姿を、じっと睨むようになって……そしてある日、階段の上にいた乳母を突き落としてしまったんです」

『そんな……』

「子供は勿論流れたわ。乳母は床に伏せきりになって、薫の罪は両親によってなかったことにされたの。そしてそのとき薫が言ったんです、折角俺が好きでいてやったのに、簡単に壊れちゃったなって」


背中を氷の刃でなぞられたみたいな寒気が走る。
喉が渇いて、唾を飲み込む音さえ耳につく。
千鶴様の微笑だけが、妙に鮮やかに焼き付いて離れなかった。


「だからね、このことを薫が全部知ったら……総司さん、どんな処遇を受けるかしら」

『千鶴様……どうか、このことは薫様には……』

「ああ、でも……薫の方が総司さんに殺されしまう可能性もあるかもしれないですよね。総司さんは平気で人を殺せる方だろうって、薫も私の近衛達も皆話しているんです」


千鶴様は楽しそうに笑っている。
けれど、私にはその理由がわからなかった。
今はただ、総司を護らなければという思いだけが胸の奥で熱を帯びる。
総司に何かあれば……私は、きっと立っていることすらできなくなる。


『千鶴様』


自分でも驚くほどはっきりと、その名を呼んでいた。
その場で立ち上がり深く一度頭を下げ、それからもう一度真っ直ぐに彼女を見つめた。


『薫様にご不利益が及ぶことはいたしません。必要があれば総司をアストリアに帰していただいても構いません。ですから、どうか総司を護るためにも、薫様にはお知らせにならないでくださいませんか?そのために私にできることでしたら、なんでもいたします』


言い切ったあと、胸が強く脈打った。
覚悟を口にしたはずなのに、どこかで震えている自分がいる。
けれど千鶴様は、そんな私を目の前にくすりと笑った。
その笑みはやわらかく見えて、奥底では私の本心を見抜こうとしているような深い視線だった。


「残念だけれど、一度王宮に入ったら、そう簡単にアストリアには戻れないですよ」

『……それは、どうしてでしょうか』

「近衛騎士は王族の護衛よ。王宮の出来事や、王族に関わることは外に漏らせない決まりがあるわ。守秘義務は絶対。そのため、他の地に移ることは規則で厳しく制限されているんです」


淡々と告げられる言葉が、心に重くのしかかる。
簡単には戻れないという現実が、鋭く突き刺さった。


「セラさん、本当は総司さんに王宮入りしてほしくなかったのではないですか?」

『……え?』

「近衛騎士の話、総司さんが押し切ったのではないの?」


薫様の婚約者である私は、きっと総司に何もしてあげられなくなる。
いくら総司を支えたいと願っても、立場の違いが壁になる。
だから総司の未来を縛りたくなかった。
自由に幸せな道を選んでほしかった。

けれどあの夜の総司はとても苦しそうで、必死に私の傍にいたいと望んでくれた。
あんな姿を見せられて拒めるわけがない。
大好きな人にそう言われて、どうして背を向けられるだろう。
一緒にいることが幸せだと言ってくれた総司の言葉と、あの温かいぬくもりに、私は縋ってしまった。
それは紛れもない私の弱さだ。


『いいえ、私が総司に来てほしいと頼みました。総司の幸せを考えれば、アストリアに残るほうが良いとわかっていたのですが、それでも……私が手放せなかったのです』


それが間違いだったと今は分かっている。
あの時、辛くても悲しくても、総司のために断るべきだったと。
そう思ったのは、この前総司が怒りを押し殺していたあの表情を見た時だった。
このままここにいれば、いつか私の大好きな総司の笑顔が消えてしまうのではないかと心が苦しくなった。


『なので総司は悪くありません。すべて私一人の独断で決めたことです。責任は私にあります』


千鶴様はじっと私の目を見た。
その瞳はやわらかい色をしているのに、底には逃げ道を許さない鋭さが潜んでいた。


「それは本当に?」

『はい。本当です』

「意外です。セラさんはそんな貪欲な方には見えないもの。だって今も自分のことより総司さんのことを心配してる。そんなあなたが、自ら総司さんを縛るような選択をなさるかしら?」


言葉の棘は優しさに隠されている。
嘘だと気づかれているのかもしれないと思った時、視線を逸らしそうになった。
でも、それではいけない。


『はい、私の意思で決めたことです。あの時は王宮で一人生活することが堪らなく不安で、総司が逆らえないことをわかっていて私が命じてしまったのです』


千鶴様は少しだけ目を細めて、そして静かに微笑んだ。


「……わかりました。それでしたら、薫には言いません」

『……本当ですか?』

「ええ。そのかわり」


その笑顔は、まるでいたずらを思いついた子どものようだった。
何を要求されるのか、胸の奥がじわりと緊張で熱くなる。


「私とお友達になってくださる?私、セラさんと仲良くなりたいの」


思わず目を見開いた。
もっと違う、厳しい条件を突きつけられると思っていたのに。


『それは勿論……ですが、本当にそのようなことでよろしいのですか?』

「だって私、セラさんに特別な要求はないですし……それに薫ばかりセラさんや総司さんと仲良くしているから、少し面白くないの」


ほんの少し唇を尖らせたような仕草が、不意打ちのように可愛らしくて、一度言葉を失った。
普段は完璧な微笑を崩さない方だからこそ、彼女からの言葉とその反応も意外だった。


「駄目ですか?」

『いいえ。私も、千鶴様とお友達になれたら嬉しいです。それに、私と総司のことをお話にならないとお約束いただけるのは、本当にありがたくて……どうお礼を申し上げたらよいのか……』

「お礼なんて要らないわ。私ね、今回の婚約のこと、後から話を聞いてあまりに強引だと思ったの。セラさんの気持ちを思うと、少し心苦しくなってしまって……。私もいずれ両親や薫が決めた相手と結婚しなければならない身ですから、他人事とは思えなかったんです」


思えば千鶴様もいずれどなたかと結婚される身。
そして王女という身分柄、彼女もまた自由に相手を選ぶことは不可能だろう。
そのもどかしい気持ちや悲しい気持ちを千鶴様にも理解していただけるのは少し安堵できることでもあり、私は胸元の前で握った拳に少し力を込めた。


「それに、婚約したばかりでここでの生活にも慣れていないセラさんに、薫はしつこく迫っていそうだからそれも気掛かりで。この前の夕食の時も、薫に言い寄られて困っていたでしょう?」

『いいえ。私は薫様と婚約している立場ですから、もっときちんと向き合わなければと思っているのですが……』


口ではそう言っても、心の奥には総司の姿があった。
彼を一番に護りたいという気持ちが消えない限り、薫様との距離を縮めることなどできそうになかった。


「セラさん、私でよければ協力しましょうか?」

『……協力、ですか?』

「ええ。幸い、婚約期間はまだ一年以上ありますよね。その間にセラさんが薫に靡かなければ、薫も他に目を向ける可能性はあると思うの。もちろん、絶対とは言い切れないけれど」

『ですが……それは、あまりにも薫様に失礼なのでは……』

「ふふ、面白いことをおっしゃるわね。セラさんはもう、総司さんを王宮に連れてきてしまっている。それに比べたら、可愛い反抗ではないの?」


そう言われてしまうと、言葉が出なかった。
けれど千鶴様の提案に素直に頷くのはあまりに危うい。
総司は以前言っていた、千鶴様には気をつけろと。
弱みを握られたら、それを利用されると。
そして私は、すでに完全に弱みを握られている。
下手に逆らうことはできない今の状況は、どうしても不安にならざるを得なかった。


『千鶴様、優しいお心遣いありがとうございます。薫様にお話にならないでいただけるだけで十分ありがたいですし、そのうえで千鶴様にまで何かお願いしてしまうのは心苦しく……。ですから今はまず、お友達として仲良くさせていただけたら嬉しいです』


できる限り刺激しないよう、丁寧に言葉を選んだ。


「わかりました。ではまた、お茶にお誘いしてもよろしいですか?」

『はい、ぜひ』

「ふふ、嬉しいわ。あ、それと……このことは私たち二人の秘密にしましょう。総司さんにも、絶対に言わないでくださいね」

『総司に言っては駄目なのですか?』

「私、総司さんに嫌われているみたいなんです。変に勘ぐられても困りますし、私も総司さんは少し苦手。だから言わないでください。約束は守ってくださいますよね?」


その瞳が一瞬だけ、笑みの奥で光った。
もし私がこの約束を破れば、その時は薫様に全て話すと告げているように感じた。

総司に申し訳ない気持ちが押し寄せてきたけど、それでも頷くしかなかった。
総司を護るためなら、どんなに苦くても要求を飲み込むしかない。


『はい、お約束は必ず守ります。なので千鶴様、どうか……あの件はご内密にお願いいたします』

「勿論です。そもそも言うつもりならもっと早く話していますよ。私はセラさんの味方です、是非仲良くしてくださいね」


そう言って千鶴様はとても愛らしく微笑んでくださった。
その顔に胸がとくんと高鳴って、少しだけ変な気持ち。
複雑な心境になりながらも、私はそっと千鶴様に微笑みを返した。


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