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専属騎士になってからの一日は、以前にも増して早く過ぎて行った。
セラの護衛に加え、特別任務や通常任務、日々の鍛錬も欠かせない。
セラとゆっくり過ごせるのは任務の入っていない夜か、寝る前の少しの時間だけだった。
とは言え、僕同様日々を忙しく過ごしているセラは、その少しの時間を幸せだと言って微笑んでくれる。
僕の負担を少しでも減らそうと課題や宿題を手伝ってくれたり、僕の帰りを待ち、疲れた僕に温かい飲み物を用意してくれる。
そんなこの子からの愛情に癒されて、僕も充実した毎日を過ごすことができていた。
『今日は久しぶりに総司とゆっくり一緒にいられるね。嬉しい』
今日は任務もなく、久しぶりにセラの隣でのんひり過ごせる日。
早めに寝支度を終えてソファーに腰掛けると、セラは嬉しそうに素直な想いを口にしてくれた。
「僕もだよ」
つい先日までは試験続きで、任務がない日も学業に追われていた。
そのせいで気づけば息をつく暇もなく、セラとこうして穏やかに時間を過ごせるのが、やっと訪れたご褒美みたいに思えた。
髪を撫で耳にかけてあげると、セラは甘えたような視線を僕に向けてくる。
その眼差しに誘われるように口付けを落とすと、最近持て余し気味の自分の感情が湧き上がってきてしまうのを感じていた。
『……ん……』
専属騎士に就任したあの夜以来、僕はセラに触れていない。
その理由は試験や任務で忙しかったし、彼女を疲れさせたくなかったし。
でも結局は自分が触れたいばかりで求めすぎて、セラにそれ目当てだと思われるのが怖かっただけだ。
ちっぽけな自尊心のせいで、この数ヶ月はずっと我慢していた。
でも本当はもっと触れたいし、きめ細やかなその肌も見たい。
可愛く乱れる表情も僕は全部欲しいから、頬を撫でてそっと問いかけた。
「ねえ、今日は僕のベッドで一緒に寝ない?」
僕達は普段、それぞれの部屋のベッドで別々に寝ている。
だからこの言葉の意味を一瞬で悟ったように、セラの瞳が揺れた。
少し逡巡するみたいに視線を伏せたけど、やがてきゅっと唇を結んで、小さな声で答えてくれた。
『うん』
その一言が、胸の奥に甘く広がる。
許されたんだと思うと嬉しくて、ソファに座る彼女をそのまま抱き上げていた。
『……あっ』
驚いた声を上げるのが可愛い。
隣接するドアを抜けて自分の部屋へ向かうと、セラをそっと僕の部屋のベッドへ下ろした。
『もう寝るの?』
「まだ寝ないけどね」
囁いてから迷わず身体を重ね、シーツの上の小さな身体を僕の腕の中に閉じ込めた。
「今からなら、ゆっくりここでセラと過ごせるかと思ってさ」
『ここで?』
「うん。君を気持ち良くしてあげるなら、ベッドの上がいいでしょ?」
その言葉にセラの頬がぱっと赤く染まる。
緊張で身体を固くしながらも瞳は潤んでいて、まるで怯える子兎が捕食者の影に息を潜めているようだ。
その仕草一つひとつが僕の中の興奮をかき立てて、理性を簡単に吹き飛ばしてしまう。
「セラはほんと……可愛いね」
頬に触れながら囁くと、セラは無言のままぴくりとも動かない。
この前はよくわかっていなかったセラも、今日は僕に何をされるのか、自分がどうなってしまうのかきっとよくわかってる。
だからこそ余裕が無さそうに僕を見上げたまま、しばらくの間、固まっていた。
「そんなに怖がられると複雑だな」
『別に、怖いわけじゃなくて……』
「じゃあ、嫌?」
セラはふるふると首を横に振るけど、もし本心では嫌だと思っているなら無理強いはしたくない。
だからセラの言葉を待っていると、彼女は視線を逸らして口を開いた。
『恥ずかしい……だけ……』
思えばセラは、出会った頃から僕の言葉や行動によく頬を赤らめてくれていた。
今も変わらず頬を赤らめてくれるから、変わらず僕に心を動かしてくれているなら嬉しいと思う。
「そっか。この前も恥ずかしかった?」
『死ぬほど恥ずかしかったよ』
「へえ、どうしてだろうね」
『どうしてって……あんなことしたら恥ずかしいのは当たり前でしょ?』
「あんなことって?」
『だから、総司が……』
言葉にするのは躊躇いがあるのか、セラは一度押し黙ると、瞳を細めて僕を見上げた。
『わざと言わせようとしてるでしょ』
「別に?ただ僕は、何がそんなに恥ずかしいのか聞いておきたかっただけなんだけど」
『それは、全部だよ。総司のことが好きだから、総司に触られたりすると凄くドキドキし過ぎて、どうしたらいいかわからなくなっちゃうの。でも……総司は違うの?』
違うわけがない。
そんな可愛い言い方をされたら、胸が掴まれたような感覚が身体に湧き上がってしまうくらい、僕の心は揺さぶられてしまうからだ。
「僕だっていつもドキドキしてるよ。こうやって心臓が煩くなるのはセラが初めてだし、セラだけなんだ」
小さな肩を抱き寄せると、彼女は息を詰めて僕を見つめてくる。
その表情が愛おしくて、安心させたい気持ちと触れたい衝動が同時に込み上げる。
「僕にとって、セラだけが特別なんだよ」
唇を重ねると、彼女は素直に受け入れてくれた。
最初は触れるだけの優しい口づけだったのに、互いの熱が抑えきれなくなって、自然と深くなっていく。
彼女の唇がかすかに開いて僕の舌を招き入れてくれるから、舌先が柔らかく絡み合い甘い痺れが身体を駆け抜けた。
「……セラ……」
名を呼びながら、もう片方の手でそっとナイトドレスの肩紐を緩める。
柔らかな生地がするりと滑り落ちれば、白く細い肩があらわになった。
月明かりに照らされたその肌は眩しいほどに綺麗で、僕は息を呑んだ。
「大丈夫だよ。痛いことはしないし、ただ気持ちよくしてあげたいだけだから」
触れるたびに彼女の体温が僕の手のひらに伝わってきて、心臓がまた早鐘を打つ。
下着を脱がせると、愛らしい膨らみが二つ、僕を誘うように揺れていた。
その場所に優しく触れるだけでセラの瞳は潤むから、その表情に庇護欲を掻き立てられる気がしていた。
『は……すがし……』
「…………」
縮こまっているセラは、僕が思っている以上に羞恥心を感じるらしい。
どうしたら多少紛れるのか考えた結果、僕はふと思い立って一度セラから身体を離した。
「もしかしたらセラだけ脱ぐから恥ずかしいのかもね」
『……え?』
「上だけなら僕も脱ぐよ」
そう言ってすぐ、僕が上半身を纏うナイトウェアをベッドの下に脱ぎ捨てると、セラは目を見開いて余計に顔を赤くした。
『余計に恥ずかしいよ……』
「え?」
『どこを見ていいかもわからなくなっちゃった』
耳まで真っ赤にしながらそう呟くセラを見下ろしながら、僕は思わずぷはっと吹き出す。
「ははっ、ほんとにセラはどれだけ恥ずかしがるのさ」
セラは少し恨めしげに僕を見上げた時、何かに気付いた様子で僕の腕をじっと見た。
『……この傷、誘拐された私を助けてくれた時にできた傷だよね?』
セラを再び組み敷いた僕の腕に、彼女の手がそっと触れる。
セラは優しく労わるように、指先でその傷を撫でてくれていた。
「そうだね。だから僕にとって勲章みたいなものかな」
『……傷、残っちゃってごめんね。あとこの肩と左胸のところは、階段から落ちた私を庇ってくれた時の傷だよね』
「そうだっけ?よく覚えてるね」
『総司のことはちゃんと覚えてるよ。私を護ってくれた時についた傷だもん』
セラが潤んだ瞳を隠すように俯いてそう言うものだから、僕はふっと笑って彼女の手を取った。
「セラの手のひらにも傷があるね」
この傷もこの子が誘拐された時、僕が護りきれずについてしまった傷だ。
僕にとっては自分に傷が付くより大切なこの子の身体に傷がつくことの方がよっぽど怖い。
その傷をそっと撫でると、揺れた大きな瞳が僕を見上げた。
「僕はセラの身体に傷ができることの方が嫌だよ。この傷を見るたびに、時間が戻ればいいのにって思うくらいにさ」
実際僕は、二度巻き戻った時間を繰り返している。
一度目と二度目の世界で深い傷を負ったセラを思い出せば、この身体に傷がつくことがどれほど自分にとって耐え難いことか、身をもってわかっているつもりだ。
本当ならこの傷が付く前に戻って、あの聖夜の夜から僕が護れたらどんなにいいかと思うけど。
それができない代わりに、目の前にいるセラだけは今度こそ護りたいとその傷口にそっと唇を寄せた。
『ありがとう、いつも大切にしてくれて』
セラの腕が伸びて僕の首筋に回されると、僕達の身体は密着する。
肌に直接感じるセラの体温や柔らかい胸の感触が、心の中をセラ一色に染め上げた。
「セラ、好きだよ」
そう呟いた僕を見てセラは嬉しそうに微笑んでくれる。
再び唇を重ねながら柔らかい膨らみに手を添えれば、目の前の身体は小さく揺れた。
『……ぁっ……』
重ねた唇の隙間から、可愛いく艶めいた声が聞こえる。
何度も舌を絡ませながら優しく胸の先端を撫でれば、次第にセラの息は上がっていった。
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