6
汗ばんでしまった額に触れて、総司は私の前髪を持ち上げて熱の籠った瞳で見つめた。
「セラ、もっと触ってもいい?」
『でも、総司も……』
「僕はいいんだよ」
総司は私の唇を塞いで、優しく舌を絡めてくる。
その心地よいぬくもりに身体の力が抜けて、総司の腕の中で目を閉じた。
総司のキスってどうしてこんなに気持ちいいんだろう。
他のことが何も考えられなくなって、ずっと触れていたいと思う。
優しくて、でも総司の舌に撫でられるとぞくっとして何かが沸き立つ。
幸せで大好きで、ずっと離れたくない。
『総司、大好き……』
「僕も大好きだよ」
総司は微笑みながらも、膣内に埋めたままだった指を柔らかく動かす。
奥を撫でられるだけで甘い震えが脳内突き抜けて、私は総司にしがみついていた。
『……ぁ……っ……そこ……いやぁ……っ……』
「いや?中は嬉しそうに僕の指を締め付けてるよ」
耳元で囁かれただけで、興奮と快楽が一度に押し寄せる。
総司の指が奥の奥まで届いて、何度もぐりぐりと押し込んでくるたび、気持ち良くて何も考えられなくなってしまう。
『……あっ……そ、じ……っ……』
必死に縋るように声を上げても、総司は手を止めてくれない。
むしろ指を深く曲げて、内側を擦り上げるように何度も撫でてくる。
そのたびにお腹の底がぎゅっと締めつけられ、甘い快感がせり上がって、声も抑えられなかった。
涙が滲むほど強い快感に、私は総司の腕の中で震え、快楽に飲み込まれていった。
「……もう限界そうだね」
濡れた指先がまた奥深くへ差し込まれ、同時に柔らかな舌が敏感な場所を舐め上げてきた。
『……っあ………』
舌の感触と、奥を探る指の律動。
二重の刺激が重なり合って、身体が勝手に反り返る。
「可愛い……こんなにびくびく震えて。舌で触ると余計にぎゅって締まるね」
舌先が小刻みに揺れ、敏感な先をねっとりと嬲る。
同時に中を抉るように指がぐりぐりと押し上げてくるから、甘い悲鳴が喉から漏れた。
『……や……だめぇ……っ……あぁ……っ』
唇で軽く吸われた瞬間、頭の奥で火花が散るように快感が弾けた。
びくんと全身がのけぞり、喉から声にならない声が漏れる。
波のように押し寄せる気持ちよさに、全身が震え、力が抜けていく。
絶頂が繰り返し押し寄せ、そのたびに総司は嬉しそうに舌でぬぐい取り、指でまた追い込んでくる。
『……ぅ、はあ……あ……』
「……セラ、可愛い……こんなに濡らして……」
甘く、執拗な声。
その声に縛られ、私は逃げることもできず、総司から与えられる快楽に飲み込まれていった。
指の奥への律動と舌先のくすぐり、そのどちらもが途切れずに繰り返される。
『……っ……やぁ……もう……むり………』
声で拒もうとしても、身体は正直だった。
奥を抉られるたびに、きゅうっと中で締めつけて、舌に触れられるたびに震えてしまう。
その動きに合わせて、指がまた深く潜り込んできた。
『……ぁ……っ……は……ああっ……』
「ほら、どっちがいい?舌で焦らすのと、指で奥を突くのと」
『……んっ……どっちも……だめ……なのに……』
「へえ、そうなの?そうは見えないけどな」
言葉どおり、指で奥をぐりぐりと押し上げながら、舌で敏感な突起を同時に吸い上げられる。
二重の快楽に、頭の奥で何かが弾けてがくがくと震える脚。
総司はその様子を見て、喉を鳴らして私を見つめた。
「可愛いくて堪らないな……。セラが気持ちよくなるところ……もっと僕に見せてよ」
指を執拗に動かしながら舌でさらに強く吸い上げる。
私だけ気持ち良くなってばかりで、恥ずかしさから思わず瞳に涙が滲むと、総司が私の傍に来て優しく抱きしめてくれた。
「ごめん……嫌だった?」
凄く心配そうな眼差しを向けられて、私はふるふると首を横に振る。
『ううん、総司に触ってもらえて嬉しいよ』
「本当に?」
『うん。すごく……気持ちいいよ……』
総司の瞳が揺れて、柔らかく唇が重ねられる。
どんな時も優しく触れてくれて、こうして私の気持ちも気遣ってくれて、いつも私を大切にしてくれる。
総司の眼差しや触れ方で、私を大切に思ってくれていることは十分伝わってきていた。
だからこそ、総司は決して私に何も要求してこない。
本当は総司だって気持ち良くなりたい筈なのに、私はまだ総司に何もしてあげられていなかった。
『私、総司にも気持ちよくなってもらいたいな』
「僕は君に触れたらそれで満足なんだよ」
『でもいつも私ばかりなら、私は総司にもう触ってもらうことはできないよ……』
「そんなこと気にしないでってば。僕はセラの可愛い姿を見られれば充分嬉しいんだからさ」
『それだと私が満足できないもん。総司が気持ち良くなってるところ、私も見たいの。だから、お願い』
総司を見上げて懇願すれば、総司の瞳が先程よりも大きく揺れる。
『私、総司のためならなんでもするよ。どうすれば気持ちいいの?』
「そういうことは言っちゃだめでしょ」
『どうして……?好きな人と一緒に気持ち良くなりたいって思ったら駄目……?』
自分の口からこぼれた言葉に、ふと息をのんだ。
あの夜の夢があんなにも苦しかったのは、一方的だったからだと、ようやく気付いた気がした。
そんなこと、頭ではとっくに分かっていたはずなのに、心のどこかで不安が残っていたのだと思う。
もしあの悪夢のせいで、総司に触れられても同じように怖く思ってしまったらどうしよう。
同じような嫌悪感を抱いてしまったらどうしようと、それが一番心配だった。
けれど今は違う。
総司の手が触れるたびに、私の心は温かく満たされる。
好きな人に触れてもらえるということが、こんなにも幸せなものなんだって改めて知ることができた。
その優しさに包まれている今の自分を感じて、ようやく心から思えた。
私は、もう大丈夫。
あんな愛情のない醜い触れ合いなんて、気に留める価値もない。
恐怖に縛られた心が少しずつほどけて、その代わりに総司の温もりだけが胸に残っていた。
「え……セラ?どうしたの?」
気がつけば、涙が頬を伝わっていた。
自分でも理由が分からなくて、ただ温かいものが溢れて止まらなかった。
「ごめん……やっぱり無理させた?」
不安そうにのぞき込む総司の声が優しくて、余計に胸がいっぱいになる。
私は首を横に振って、涙を拭いながら静かに微笑んだ。
『違うの。総司といると、もう何も怖くないなって……そう思ったら凄く安心して……涙が出ちゃったみたい』
心の奥に絡みついていた影がすっと消えていくようだった。
私の心を閉じ込めていた悪夢から、ようやく解き放たれた気がして。
そのまま総司の胸に顔を寄せ、小さく呟いた。
『本当は総司と最後までしたいよ。でも……今はまだそれができないから、せめて一緒に気持ち良くなりたいの。総司は……違う?』
私も総司に触れたくて、優しく総司を抱きしめる。
鼓動の音を心地よく思っていると、総司がそっと私の頬を撫でた。
「本当に……いいの?」
『うん。私のお願い、聞いてくれるよね』
少し困ったように眉を下げた総司の表情が、愛おしくてたまらなかった。
迷いを含んだその瞳が逸れそうになる前に、私はそっと彼の頬に触れた。
いつも総司がしてくれるように、そっと唇を寄せる。
うまくできるかは分からないけど、どうかこの想いが伝わりますように。
好きな人と触れ合うことは、ただの衝動や欲望を吐き出す行為なんかじゃなくて、心を分け合う優しい時間なんだと知ってほしかった。
『一緒に気持ち良くなろう?』
私の言葉に、総司は一瞬きょとんとしたあと、小さく息を吐いて笑った。
その笑顔があまりに柔らかくて、胸がきゅっとなる。
どうして笑っているのか分からなくて、首を傾げる私を見て、総司はそっと髪を撫でた。
「ほんと……セラには敵わないな。死ぬ気で我慢してたのに、全部台無しだよ」
『我慢なんてしなくていいのに』
「そうはいかないよ。君を傷つけたくないし、セラを僕の欲で汚したくないじゃない」
『汚れたりしないよ。だって、好きな人に触りたいって思うのは、ちゃんとした気持ちだもん。それに好きな人と触れ合える時間って、とっても幸せで優しい時間だと思うよ』
総司はその言葉に、少し照れたように目を伏せて笑った。
「セラがそう言ってくれると、救われるな。本当は、君に触れるたびに少し怖かったんだ。僕が自分の欲求を押し付けてるだけなんじゃないかって。でもセラが優しい時間だって言ってくれると……嬉しくなるよ」
総司がこんなにも悩んでくれていたなんて知らなかった。
いつも私を気遣って、「痛くない?」とか「大丈夫?」って優しく聞いてくれたのは、その不安の裏返しだったのかもしれない。
だからこそ、今度は私の番だと思った。
総司が勇気を出して踏み出してくれたように、私ももう一歩、心を差し出したい。
その温もりの中で、心の底から幸せを感じられる気がした。
『総司、触ってみても……いい?』
「うん、触って」
照れくさそうにそう言った総司が可愛くて、鼓動が早くなる。
でもいざ触ろうと思って手を伸ばしたけど、何をすればいいかもわからない。
そもそも、女の子が男の人の服を脱がしていいものかと躊躇して身体が一度固まる。
「ははっ、困ってる」
『……困ってるわけじゃなくて、やり方が……わからなくて……。総司……服を脱いでもらってもいい……?』
「ん、わかった。脱ぐね」
総司が服を脱ぐと、逞しい上半身が目の前に晒されて胸の鼓動が更に早くなる。
日々の努力でついた筋肉や、私を護ってくれた時の傷が視界に入り、その姿に見惚れてしまう。
『総司……とってもかっこいい』
「え?なにが?ていうか、そんなにじっと見られたら恥ずかしいんだけど」
『ふふ、総司も恥ずかしいとか思うんだ』
「僕を何だと思ってるのさ。それなりに羞恥心くらいはあるよ」
その言葉にくすくす笑ってしまったけど、総司が下も脱ぐと、視界が捉えたものを見て目を見開く。
男の人の身体なんて、きちんと見たことなかったから、いくら暗くても恥ずかしくて、どうすればいいのか再び固まってしまう。
「無理しないでいいよ」
総司がかけてくれた優しい言葉を聞いて、私は首を横に振る。
顔には熱が集まってしまうけど、一歩前に踏み出すってもう決めたから。
私はそっと総司に抱きついて、首筋に腕を回した。
『総司のことが大好きだから、無理なんてしてないよ』
総司が私にくれた幸せを、私からも総司に届けたい。
少し震えてしまった指先で総司の下の中心をそっと撫でれば、総司の肩はぴくりと動いた。
『どう触ると……気持ちいいの?』
「なんでもいいよ。セラが触ってくれるだけで凄く気持ちいいから」
目の前で微笑む総司は、私が指先を動かすだけで切なげに眉を寄せて綺麗な顔を僅かに歪める。
その表情の変化が嬉しくて、試行錯誤しながら、熱のもったその場所に触れた。
手のひらで包んで上下に動かしたり、指先で先端を弄ったり、思いつく限りの方法を試してみる。
総司からは熱い吐息が漏れて、気持ち良さそうにしてくれるその表情を見られるだけで幸せだった。
「……ん……気持ちいいよ……」
『嬉しい……。総司にたくさん気持ち良くなってほしいから』
少し前までの私なら、男の人とこんなことをするなんて考えられなかった。
きっと中途半端な気持ちでは踏み出せない行為だし、結婚するまでは当たり前に触れごとはしないと考えていた。
でも総司に恋をして、こんなにも好きになって、今はこの行為に罪悪感は感じない。
むしろこんなにも尊い時間がこの世界にはあるんだと思えるくらい。
「ん、セラ……上手だね」
『本当……?あまり気持ち良くなかったらごめんね、やり方がよくわからなくて……』
「凄く気持ちいいよ。でもセラのこど気持ち良くしてあげたいんだけど」
『私はもう、たくさん気持ち良くなったよ』
「でも一緒に気持ち良くなりたいってさっき言ってくれたじゃない」
総司は私の手首をやんわり掴むと、そのまま私をベッドへと押し倒す。
目を見開いた私を組み敷いた総司は、熱を帯びた瞳で私を見下ろしていた。
「ちょっと試してみたいことがあるんだ」
『試す……?』
「うん。挿れたりしないから、力抜いてて」
総司によって開脚させられると、再び恥ずかしさが込み上げる。
剥き出しになった総司の下半身が私の下腹部にあてられると、溢れた蜜を塗るように擦られた。
「……うん、セラのここ……すごい濡れてるからできそうかな」
『何をするの……?』
「ここをね、こうやって」
総司の反りたった部分が私の敏感なところをなぞり、ぬるんと動く。
先端が擦れる快楽に身体がぴくりと揺れると、それを見て総司の口角が上がった。
「気持ちいい?」
総司がゆっくり腰を動かす度に、先端やその下の粘膜が擦れて、また身体が熱を帯びる。
彼にそっと持ち上げられた脚がそのまま閉じられて、総司の下半身を包み込むような体勢になった。
『あっ……気持ちいい……』
「良かった……これで暫く動いていい?」
『でも……総司は気持ちいいの?』
「僕も擦れて凄く気持ちいいよ」
密着した分、先程までより擦れて、総司が動く度に快楽が迫り上がってくる。
ぐちゅぐちゅと響く音や、私たちの体勢、それに動く度に気持ち良さそうに歪む総司の顔。
まるで本当に最後まで総司と肌を重ねているみたいで、彼の熱いものが私の敏感なところを擦る度に、頭がらくらくらしてくる。
「……は、気持ちいい……」
『……あっ……そ……じ……』
どうしよう、総司が気持ち良くなる番なのに、凄く気持ちよくて、もう……
『……あっ……だ……め、……もうっ……』
総司の息遣いや漏れる吐息が、私の感情をより昂ぶらせていく。
ぷちゅんと総司の熱くて硬い先端が私の突起全体を擦りあげると、大きな波が押し寄せてきた。
『……ああっ……』
何度も何度も擦られたその場所は気持ち良くなり過ぎて、再び限界を迎えてしまう。
身体がぐったりベッドへと沈み、そんな私を見下ろす総司は、尚も腰を動かしながら、余裕がなさそうに瞳を細めた。
「は、……また濡れて、余計に滑りが……っ」
『……はぁ……、う……』
「……あ、気持ちいい……セラ……、僕もイっていい?」
私が頷くと、総司は抱えていた私の両脚をぐっと掴み、腰の動きを早める。
そして切なげに顔を歪ませると、熱く反りたった彼自身から熱い液を吐き出した。
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