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それからの日々は、息つく間もないほどに忙しかった。
僕は山南さんの下で、政務と外交の基本を習っている。
剣を振るうだけでは護れないものがあるという現実を、痛感する日々だった。
山南さんの指導は厳しいけど、彼の言葉の一つ一つが、僕にとっては新しい戦い方を教えてくれているようだった。
そしてセラもまた、忙しい毎日を過ごしていた。
公務に加えて、慈善活動の監督や、王宮からの視察対応にも追われている。
それでもセラはいつも穏やかで、微笑むことを忘れない。
その姿を見るたび、セラを護るために精一杯努力しようという想いが強くなった。
目まぐるしい日々の中でも、僕達は確かに幸せだった。
同じ未来を見据え、互いに支え合いながら前へ進む毎日は、今までとは比べものにならないほど充実していた。
時に疲れ果てて言葉もなく肩を並べる夜でさえ、セラと過ごせる時間があるだけで心が満たされた。
それに今はもう、隠すことに怯えなくていい。
近藤さんも山南さんも、そして山崎君も、僕達の想いを知った上で見守ってくれている。
だから今はただ、ありのままの気持ちでセラに触れることができる。
それが、どんなことよりも深い幸福だった。
『……ん、総司……今日はもう寝ないと……』
「うん、あと少しだけ」
何も身につけていないセラを後ろから抱きしめながら、潤った場所に触れた指を動かす。
そこにある小さな膨らみを撫でるたびに、彼女の身体が敏感に反応して、顔も蕩けていく。
その表情はもう、僕にしか見せない顔だと分かっているからこそ、どうしようもなく胸を熱くさせてしまう僕がいた。
「セラ、こっち向いて」
少しだけ振り返ったセラの唇を奪い、柔らかく舌を絡める。
指の動きはそのままにゆっくり撫で続けると、セラの肩が小さく震え、吐息が漏れた。
『はぁ……、総司……』
「ここが気持ちいいんだよね。すごく濡れてる」
耳元でそう囁くと、セラは恥ずかしそうに顔を背けた。
潤った膣内の奥へ、ゆっくりと指を沈めていく。
きゅっと締まる感触が、指先を通して脳に直結するみたいで、僕の方が堪らなくなりそうだ。
『あ……んぅ……っ……』
「可愛い……声も震えてる。もっと僕に聞かせてよ……」
ぐちゅりと甘い音がして、僕の腕の中でセラの身体がびくんと跳ねる。
僕の二本の指は根本まですっかり彼女の中に飲み込まれて、その締め付けは吸い込まれそうな程だった。
「……奥までちゃんと受け入れてくれて、嬉しいな」
『……や……恥ずかしくなること……言わないで……』
赤く染まった頬を見て、ますます興奮する。
言葉で責められると、余裕なさそうにするセラはほんとに可愛い。
指先で奥を探りながら、手首を捻るようにして中を擦り上げる。
そのたびに、彼女の中は僕の指を締め付けることを繰り返した。
『あっ……総司……そこ……っ、だめ……』
「ここがいいんだね。じゃあ、もっと……こうしたら?」
指の腹でぐりぐりとその一点を押しながら、同時に下腹部をぐっと押し込むように刺激を与えてあげる。
外からと内から、二重に追い込まれてセラの声が高くなった。
『やぁ……っ……あ、もう………』
「イきそう?イクときはちゃんと僕に教えて」
『……っ、そ……じ、……もう……イっちゃ……あっ……』
余裕なさそうにそう言ったセラは、涙を浮かべて僕を見上げる。
その顔があまりにも愛らしくて、唇を落としながらさらに奥をぐりっと刺激した。
びくびく震えて果てたセラは、僕に塞がれた唇の隙間から、くぐもった声を出す。
彼女の甘い声が理性の枷を一つずつ壊していくようで、僕自身の疼きももう抑えられなくなっていた。
「セラ……僕、もう我慢できない……」
彼女の中に指を沈めたまま、僕は吐息を荒くしながら告げる。
セラは一度頷き、期待に揺れた瞳を僕に向けた。
『総司も気持ち良くなって?』
「ありがとう……このままするね、君も気持ちよくなるようにするから」
唇を重ねて、震える声を塞ぐ。
そして指を抜いた瞬間、僕は抑え込んでいた衝動に逆らえなくなった。
自分の硬く熱いものを、彼女の小さな入り口へと押し当てる。
互いの部分がぐちゅりと触れた瞬間、セラの身体がびくんと震えた。
『……あ、やあ……入っちゃう……』
「……煽ること言っちゃだめでしょ。挿れないよ、ここで擦ってもらうね」
セラの濡れた場所に少しずつ押し込むたびに、セラの脚が震え、よりきつく僕の中心を包み込んでくる。
その狭さと柔らかさに、頭が真っ白になりそうだった。
「……あ、すご……」
腹部に手を添え、小さな身体をより近くに後ろから抱き寄せる。
セラの小さな突起を優しく擦るように律動を始めると、セラの唇からも甘い声が溢れた。
『……あっ……ん……』
「……気持ちいい?」
『……気持ちいい……、総司は……?』
「僕も凄く気持ちいいよ」
あの日、セラが僕を受け入れてくれてから、こうして僕も自分の欲望に忠実になってしまっている。
セラにしてもらうのは気が引けてこうして僕が動いているけど、これがまた最高に良かった。
なぜってこの方法なら一緒に気持ち良くなれるし、まるで本当にしているような錯覚に陥る時がある。
一線は越えられなくても、僕にとって紛れもなく幸せで大切な時間だった。
『……んん……っ、や……』
「はあ……、……あ……」
まずいな、すぐ持っていかれそうだ。
でもまだ終わりにしたくないと、セラの胸の飾りを指先で弄る。
セラの背中に唇を寄せ、汗の滲んだ白い肌を舐めると、小さな身体はびくんと反応した。
『……やぁ……だ……め……』
「……どうして?」
『また……きちゃ……う……』
「もうイっちゃうの?僕はまだイけてないのに?」
本当は余裕なんてないのに、敢えて意地悪でそう耳元で囁き胸の先端を弄ぶ。
すると唇を震わせたセラは、甘い声を放って全身をびくびくと揺らして果ててしまった。
『……ああっ……はあ……』
肩を揺らしてぐったりした様子のセラは、昼間の清純さが嘘のように感度が良くて、今夜も何度となく絶頂を迎えている。
斜め後ろから見たその果てる顔に欲情した僕は、腰を打ちつけるスピードを早めて、熱い吐息を漏らした。
「……う、……あっ……イクっ……」
びくんと陰茎が脈打ち、咄嗟に用意していたタオルで押さえてそこに吐き出した。
薄明かりの中で、セラが振り返り僕の胸のあたりに顔を埋めて小さく息をする。
そのぬくもりを感じながら、そっと髪を撫でた。
『総司……だいすき』
「僕も大好きだよ」
『早く総司と結婚したい。それで、早く総司と最後までしたい』
「……………」
やっぱり回帰を繰り返すうちにセラはだいぶ変わったと思う。
最初の頃は僕が触るだけで怯えてたのに、今はこんなにも僕を求めてくれて、それが妙に擽ったくて嬉しい。
「セラは僕が好きだから結婚したいの?それとも僕と最後までしたいから結婚したいの?」
『え?』
「傷付くなあ。もしセラが僕の身体が目当てだったら」
『ち、違うよ……!総司が好きだから……だから結婚したいし、最後までって……』
その必死な言葉に、思わず吹き出した。
昔から変わらない。
僕の冗談を真っ直ぐ受け止めて、慌てて否定するその仕草が、昔も今も可愛いと思う。
「うん、知ってる」
『それなら、変な言い方しないで。身体が目当てなんて、そんなことあるはずないでしょ?』
「冗談だってば。でも仮に僕の身体が目当てだったとしても、君になら喜んで差し出すけどね、僕は」
『もう、何言ってるの?』
「セラは?もし僕が君の身体目当てだったらどうするの?」
可愛いセラの表情がどう変わるのか見たくて、性懲りも無く意地悪な質問を投げかける。
するとセラは目を瞬いてから、唇を少し尖らせた。
『もしそうだったら……やっぱり悲しい。私が一番欲しいのは総司の気持ちや心だから』
セラらしい返答を聞いて、満足感から頬を緩める。
でも僕を見上げると、愛らしい顔で更に言葉を紡いだ。
『それに、もう手遅れだよ』
「手遅れって?」
『もし総司が私の身体目当てだったとしても、私はもう総司が好きなこと止められないから。たとえそうだとしても、傍にいられるならそれでもいいって思っちゃいそうで……』
大きな瞳が僕を捉えて揺れる。
そのまま小さな唇を親指の腹で撫でると、セラはそれに反応して瞳を細めた。
「駄目だよ、そんなこと言ったら。変な男に引っ掛けられそうで心配だな」
『引っ掛からないよ。私が好きになるのは総司だけだもん』
「じゃあ僕のことは信用してくれてるの?」
『うん。誰よりも信頼してるから未来の旦那様になって欲しいんだよ』
ここ最近のセラからの言葉は、僕を喜ばせてばかりだ。
この子と過ごしていると、感情の揺れが少ない僕も、驚く程心が動かされるから、その想いのままに彼女の手を握った。
「僕はセラが好きだよ。好き過ぎて君の心も身体も、全部僕のものにしたい。僕のことだけ考えて欲しいし、触れるのも触れられるのも僕だけにしてほしい。本当はその瞳に映るのも僕だけがいいんだけどね」
自分でも驚くほど素直な言葉だった。
普段なら冗談めかしてごまかしてしまうのに、今日は違った。
セラの瞳を見ているうちに、隠していた欲や独占の感情がふと零れ落ちてしまっていた。
セラは少し瞬きをして、それから小さく笑った。
くすりと音を立てて、けれどその頬がほんのり赤く染まっている。
「冗談だと思ってる?」
そう問いかけると、セラは小さく首を傾げて、柔らかな声で答えた。
『ううん。総司がそう言う時は、冗談じゃないって知ってるよ』
僕の心の奥を知っても、セラの眼差しは温かい。
受け止めてくれることがどれほど救いになるか、本人はきっと知らないんだろうけど。
「こんなこと言われて、セラは僕のことが怖くないの?」
『怖いって、どうして?』
「だって君のことを全部自分のものにしたいっていう意味だよ。そんなこと言われたら、普通は怖いでしょ」
『ふふ。全然怖くないよ。だって総司がそう言う時、優しい顔してるから』
「え、そう?」
そう呟くと、セラは小さく笑って、僕の頬にそっと手を添えた。
その手の温もりが、胸の奥まで沁みていく。
彼女の瞳にはまっすぐな光が宿っていて、僕はその光に射抜かれたように動けなくなった。
『うん。総司が私を見る時、すごく優しい顔してくれてるよ。たまに少し切ない顔もするけど……それも、好き』
「切ない顔なんてしてるかな」
『うん。多分、私のことを想ってくれてる時の顔?大事にしてくれてるのかなって思える顔だよ』
この子は本当に、僕の心を掴むのが上手い。
そしてあまりに純粋にそう言うから、僕の方が気恥ずかしくなってしまう。
「僕は君を大事にしてるよ。誰よりも」
『ありがとう。総司が大切にしてくれるから、私は幸せ』
微笑んだ僕はそっとセラの髪に指を滑らせ、耳の後ろにかかった一房を撫でるように戻した。
セラは少しくすぐったそうに首をすくめて、それからまた僕を見上げた。
『私も総司が誰よりも大事で、誰よりも大好きだよ』
胸に擦り寄ってくるセラを抱きしめて、大好きな香りを吸い込む。
今目の前にいるセラを連れて、このままどこか遠くに行けたらいいのにと考えてしまうくらい、この時間が幸せだった。
「明日は星界学で天体観測をする日だね」
セラの肩越しにそう言うと、彼女は僕の胸に頬を寄せたまま、こくりと小さく頷いた。
前の世界でも、あの日、僕たちは同じように学院の展望庭園に出向いた。
夜風が冷たくて、セラの指先を温めようと人目を盗んで手を重ねたことを思い出す。
その夜、遅れてきた王太子の課題を僕たちが手伝った。
そのお礼にと王宮へ招かれ、あの王女と出会い、そして国王陛下に目を留められた。
あの瞬間から、僕たちの穏やかな未来は音を立てて崩れ始めたんだ。
二度と、同じ過ちを繰り返さないように。
僕はセラの髪を撫でながら、そっと言葉を紡いだ。
「もし王太子が遅れて来て、課題を僕たちが手伝うことなったらさ。お礼がしたいって言われて王宮に招待されるかもしれないでしょ?」
『……うん?』
「そうなっても、絶対に断ってね」
静かに聞いていたらセラは、目を瞬いて首を傾げた。
『うん……?』
「ちゃんとわかってるのかな。適当に予定があるとか言って、うまく断るんだよ。いいね?」
『総司は、王宮に行きたくないの?』
「そうだよ。王宮に行って、君が誰かに見初められたら困るでしょ。特に王太子とか、国王陛下とかにね」
あの未来を二度と辿りたくはない。
セラはそんな僕の気持ちを読み取ったのか、静かに微笑んで、指先で僕の胸の布をつまんだ。
『私のこと、心配してくれてるの?』
「当たり前でしょ。君が誰かに奪われるなんて考えたくもないし」
『ありがとう。じゃあ絶対に気をつけるね。お誘いには乗らないようにするから』
回帰していることは伝えられなくても、危険を回避できるよう誘導することは変わらずできる。
この力を最大限に使って、セラと歩む未来を護っていこうと、微笑むセラにキスを落とした僕がいた。
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