4

苛立ちを鎮めるように書類仕事に没頭し、ようやく一息ついた頃。
寝台の近くまで足を運ぶと、セラ嬢は薬で深い眠りに落ち、今日も穏やかに寝息を立てていた。
精巧な磁器の人形のような寝顔は、あどけなくも美しく、僕の胸を甘く締め付ける。
その柔らかそうな頰や、長い睫毛が落とす影を見つめているだけで、彼女をこの腕の中に永遠に閉じ込めてしまいたいという衝動がいつも以上に胸を焼いた。


「君の記憶が五年前に戻ればいいのに」


僕を純粋に想ってくれていた、あの頃のセラ嬢に会いたい。
目の前にいる彼女は紛れもなく同じ人なのに、僕に向ける眼差しだけが、あの頃とは決定的に変わってしまった。
王太子にはあんなにも可愛く縋りつき、涙を溢れさせるのに、僕との間には何枚もの冷たい壁が立ちはだかっている。
ここ二日で少し縮まったように感じた距離さえ、今日の出来事でまた深く溝を刻まれた気がした。

そっと彼女の眠る寝台に腰を下ろし、肩に落ちた艶やかな髪を優しくかき避ける。
緩く着崩れた寝着のドレスの胸元に指をかけ、紐をゆっくりと解いていった。
布が左右に開かれると、白く清らかな肌が部屋に灯る褐色の光に照らされ、下着に包まれた二つの柔らかな膨らみが露わになる。
僕は迷うことなくそこに手を添え、温かく弾力のある谷間に唇を落とした。
彼女のすべてを隅々まで知り尽くし、僕の身体で染め上げたい。
柔らかい感触と甘く優しい彼女の体温が僕を包み込み、今日あった嫌なことのすべてが霧のように薄れていくようだった。
けれどその時、セラ嬢の唇から甘く溶けるような吐息が漏れる。


『……ん、薫……さま……』


その名前を聞いた時、僕の胸に込み上げてきたのは、ただの怒りではなく黒く煮えたぎるような殺意だった。

あの男……ルヴァン王国の王太子。
次に会った時には、ぐちゃぐちゃに斬り刻んでやりたい。
二度とセラ嬢の愛らしい顔を見ることができないようにその目を抉り、二度とこの子の可愛い声が聞こえないように耳を削ぎ落とし、二度と彼女の芳しい肌の香りを嗅げないように鼻を殴り潰したい。
そして二度とセラ嬢を抱きしめ、その柔らかい肌を撫でられないように、その腕すら斬り落とせたら、どんなにいいだろう。
彼女を僕から奪おうとする者は、すべて消し去ってしまえたらこの苛立ちも少しは抑えられるかもしれないのに。

あの男はまるで自分の所有物のようにセラ嬢を婚約者だとほざいていたけれど、セラ嬢の心も体も、すべて僕だけのものだ。
今この瞬間も、僕の手の届くところで、僕の好きにできる。
ただ、まだ本当の意味で手を出さないのは、彼女を側室として迎える初夜を、大切に取っておきたいからだ。
セラ嬢の初めてを、僕だけがゆっくり深く味わうために。

だけど、そこに最悪の疑念が浮かび上がる。
もしかしたらセラ嬢は、もうあの男に汚されてしまったのではないか……?
その可能性を想像しただけで、理性が軋む音が聞こえるようだった。


「……そうだったら、さすがに許せないんだけど」


この小さな唇があの男の名前を呼ぶだけでも、胸が引き裂かれるような苦痛なのに、この唇があの男の唇と触れ合ったかもしれないと思うと、怒りが湧き上がる。
僕でさえまだ十分に見ていないのに、この白く美しい身体は、もうあいつの目に触れさせただろうか?
指を這わせられたりしたのだろうか?
それに、下についた君の可愛い花弁や花芽……僕はまだ布越しにその香りやぬくもりを感じただけなのに、あの男に晒し、あいつの指やそれ以上のものを受け入れ、甘い声を上げていたとしたら。
そんな想像が頭を支配した時には、僕は苛立ちのまま立ち上がり、剣を取り出す。
近くのソファーの上に置かれたクッションをあの男に見立てて、迷わず剣を深く突き刺していた。


「あんな奴、死ねばいい」


刃が布地を貫く重い感触が手に伝わり、裂ける音が部屋に響く。
何度も、何度も、僕は剣を振り下ろした。
一撃ごとにクッションの表面が大きく裂け、白い詰め物が飛び散り、続けて刺すたびにその傷口が広がり、ぐちゃぐちゃに抉れていく。
剣先が何度も同じ場所を抉り、布はぼろぼろに引き裂かれ、無残に飛び出した中身が床に散らばった。
まるで本物の肉体を切り裂いているかのように、僕は容赦なく剣を突き立て、引き抜き、再び深く刺し込んだ。
クッションはもう原型を留めず、ただのぼろ切れの塊へと変わり果て、部屋の空気に綿の粒子が舞う中でも、僕の胸の熱い苛立ちはまだ完全には収まらなかった。

やがて剣を戻し、息を整えながら、僕は再びセラ嬢の眠る寝台に戻った。
彼女はまだ何も知らず、穏やかな寝顔で横たわっている。


「君も酷いよね。前は僕と将来の約束をしてたのに」


あの頃は確かに、君の未来には僕がいた。
それなのに今、君はあの男の言葉を信じ、アストリアに帰れる日だけを支えに生きようとしている。
その願いが君の瞳を前に向かせていることくらい、嫌というほど伝わってきた。
僕が君の隣だけを望んでいるのと同じくらい、君は僕から遠ざかる未来を望んでいるのかもしれない。
その現実が心を容赦なく抉っていく。

いっそ、この手で終わらせてしまえば。
そうすれば、この醜い嫉妬も、胸を抉るような悲しみも、すべて終わるのだろうか。
そんな考えが心を蝕んだ頃には、僕の手は無意識のうちに彼女の細い首筋に触れていた。


「あんまり僕のことを蔑ろにするなら、殺しちゃうよ」


囁きながら、その首筋に添えた手にほんの僅かだけ力を込める。
指先に伝わる肌は驚くほど華奢で、今までこの手が握り潰してきた命とはまるで違う温もりを宿していて、そのあまりの儚さに僕の指はすぐ力を失ってしまった。

……駄目だ。
こんなにも愛しく想っている君を、この手で終わらせられるはずがない。
自嘲するように息を漏らし、首筋に添えた指先でそっと肌を撫でると、彼女は小さく身じろぎし、微かに唇を開いた。


『……そ……じさま……』


その掠れた声が耳に届いた時、時間が止まったような気がした。

……今、君は僕の名前を呼んだ。
夢の中であっても、その唇が紡いだのは確かに僕の名だった。
胸の奥が熱く震え、抑えようのない歓びに指先まで震える。
気づけば彼女の頬にそっと触れ、その温もりを確かめるように優しく撫でていた。


「そうだよ。君の一番近くにいるのは僕なんだから、ちゃんと僕を見て」


たとえ今、君が見ている夢の中で僕が幸せそうに笑っていなくても構わない。
その夢の片隅にでも僕が存在し、君の心のどこかに僕という存在が少しでも刻まれているのなら、それだけで僕は救われる気がした。
だからせめて、君の意識の中には誰よりも多く、深く僕を残してほしい。
そんな身勝手な願いを、僕はどうしても捨てられなかった。

僕は彼女の耳元に唇を寄せ、甘く優しい声で囁いた。


「今夜は少しだけ、僕が気持ちよくしてあげるね」


セラ嬢の身体を見ることはしないけど、僕の指先だけで、彼女が少しでも気持ちよさそうにする姿を見てみたい。
僕は彼女の片足を優しく持ち上げ、ゆっくりと開かせた。
緩く広がった脚の間に身体を寄せ、下着の布の端からそっと指を滑り込ませる。
そこは驚くほど柔らかく、つるつるとした感触が僕の指を包み込んだ。


「……はあ、柔らかい。それにつるつるで、毛もないんだね」


甘い吐息が自然と漏れた。
セラ嬢の秘められた場所は、まるで上質な絹のように滑らかで、触れるだけで心が奪われてしまう。
僕は首筋に唇を這わせ、優しく吸いながら、彼女の下半身の可愛い花芽を指先でそっと探り当てた。

最初は優しく、指の腹で花芽の周りを円を描くようにゆっくりと撫で回す。
力を込めすぎず、彼女の反応を見ながら優しく撫でていると、すぐに花芽が少しずつ硬く尖り始めるのを感じ、僕は興奮を抑えきれずに息を荒げた。
同時に、もう片方の手は寝着の胸元に滑り込み、布の上から頂の小さな突起を指で優しく摘まみ、転がすように愛撫を続けた。
両方の愛撫を同時に、彼女の身体のすべてを僕の愛で染め上げるように。

やがて、セラ嬢の唇から甘く小さな吐息がもれ始めた。
彼女の頰が淡い桜色に上気し、白い肌が熱を帯びてくる様子が愛おしくてたまらない。
下着の中に滑り込ませた指は、彼女の蜜で次第にぬるぬると滑りやすくなり、くちゅくちゅと湿った甘い水音が静かな寝室に響き始めた。


「セラ嬢……僕の指、気持ちいい?」


僕は耳元で繰り返し囁きながら、花芽への愛撫をさらに続けた。
指先で花芽を優しく包み込むようにこね回し、時折根元を軽く摘まんで引っ張ったり、指の腹で小刻みに震わせたりと、さまざまな刺激を加えていく。
胸の先端も休むことなく、指で摘まんで優しく引っ張ったり、掌全体で柔らかな膨らみを揉みしだきながら、頂を親指で円を描くように刺激し続けた。

セラ嬢の呼吸が次第に乱れ、控えめな甘い喘ぎが唇から絶え間なく溢れ出すようになった。
腰が小さく揺れ始め、下半身から溢れる蜜が僕の指をたっぷりと濡らし、くちゅくちゅという淫らな音がより大きくなっていく。
花芽は熱く硬くなり、彼女の身体全体が敏感に震えているのが手に取るようにわかった。
すると、暫くしてセラ嬢の様子が明らかに変わった。
甘い声が一瞬途切れ、眉をきゅっと寄せ、唇を半開きにして小さく息を荒げ始める。
太腿が震え、秘部が動きを見せ、花芽がさらに熱く脈打つのが感じられた。


「イキそうなの?いいよ、たくさんしてあげるね」


心臓が高鳴り、彼女が僕の指で絶頂に近づいていることに、喜びと興奮が込み上げてくる。
彼女のぬくもり、甘い匂い、漏れる声、そして僕の指に絡みつく蜜の感触。
すべてが僕の想いを狂おしいほどに掻き立て、自身の欲望が熱く疼くのを感じる。
それでも今は、ただ彼女を気持ちよくしてあげたいという欲求が勝っていた。
セラ嬢が僕の名前を呼んだ歓びを、こうして身体で味わわせてあげたい。

指の動きを少し速め、花芽を二本の指で優しく挟んで上下に素早く擦ったり、指先で包皮を軽く剥くように刺激しながら、敏感な頂を集中して可愛がった。
胸の愛撫も強めに変え、頂を爪の先で軽く弾いたり、全体を温かく揉みしだいたりしながら、彼女を絶頂へと導いていく。
くちゅくちゅという水音が激しくなり、蜜がよりたくさん溢れてきた。
彼女の愛らしい顔が悦びに歪み、眉を寄せて唇を震わせ、小さな舌を覗かせながら、ついに身体がびくんびくんと大きく痙攣した。
眠ったままの彼女は甘い喘ぎ声を上げ、腰を震わせて絶頂を迎えた。
頰を真っ赤に染め、目尻に涙を浮かべたような愛らしいイキ顔に、僕はたまらない興奮を覚え、彼女を抱きしめるように身体を寄せた。


「すごいね、寝てるのにそんな可愛い顔でイッちゃうなんて」


僕は指の動きをゆっくりと優しく収め、余韻に浸る彼女の秘部を指で優しく撫で続けた。
熱く溢れ続ける蜜が僕の指をたっぷりと濡らしている。
興奮と深い満足感に包まれながら、僕はゆっくりと指を引き抜き、彼女の愛液で光る指を目の前にかざした。
透明で甘い香りのする彼女の体液。
その指を口に含み、丁寧に舐め取った。
彼女の味が舌いっぱいに広がり、胸の奥が温かく満たされていく。
セラ嬢の最も秘められた部分の味を、こうして体内に取り入れることが出来たその事実に、言いようのない幸福感が全身を包んだ。


「セラ嬢、大好きだよ。凄く可愛いかったよ」


幸せに満ちた吐息を漏らしながら、僕は彼女の乱れた寝着を丁寧に整え、額に何度も優しいキスを落とした。
眠っている彼女が、僕の指でこんなにも感じて、達してくれた。
たとえ夢の中でも、君の身体は確かに僕を求め、僕を受け入れてくれた。
彼女の甘い残り香と蜜の味が、まだ僕の唇に残っている。
この瞬間が、永遠に続けばいいのに……そう思いながら、僕は長い間、彼女の傍に寄り添っていた。

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