my precious

土曜の午前9時半。
待ち合わせ場所にウィリアムは立って居た。



ウィリアムは私服もスーツ。




待ち合わせ時間の午前10時。
マリアがやって来た。






「ごめん!ウィル!待たせた?」


「いえ、大丈夫です」






行き着けのカフェ、美術館、図書館、いつもと同じデートコース。



ウィリアムは話す事はいつも仕事の話。




「また害獣のせいで仕事が増えて残業でした」


「同期の問題児のせいでまた仕事が増えて…」








聞いてて飽きない。




私はウィルと一緒に居て楽しいけど、友達からは「それ恋人じゃないよ」って言われる…

夜8時半。


マリアのアパートの玄関の前。




「では、私はこれで」


「待って!ウィル」


「どうしました?」


「お茶、してかない?」


「…構いませんが」








「キスもしてないの?」
「夜の9時までに帰宅とか子供じゃん」
友達に言われた言葉がぐるぐる廻る…



確かに私はもう大人なのに帰る時間は早いかな…。




でも私はウィリアムが好き。


ウィリアムは…?



私に女の魅力がないのかな?


モヤモヤした感情が渦巻く。




夜9時。


冷めた紅茶に沈黙が続く。




ウィリアムはそわそわしていた。





「ウ、ウィル、明日休みでしょ…よかったらと、泊まってかない?」


「着替えが…」


「ストライプのパジャマとか歯ブラシとか全部揃ってるよ!」




やだ、何で私こんな事言っちゃってんの。
積極的な女とか思われちゃったかな…








「もう遅いですし、いいでしょう」



冷静に答えたウィリアム。


夜10時。


ストライプのパジャマを着たウィリアムとマリア。沈黙が続く。








沈黙を破ったのは、マリアだった。




「ウィルって、私の事好き?」


「何故そんな事を?」


「だって私達付き合って1年経つのに…何もないじゃない…友達にその事話したら『それは恋人じゃない』って言われて…」


「マリアは友達に言われた事に左右されるのですか?」





ウィリアムは怒ったみたい…

私、嫌われたかも…






「私も…同僚に同じ事を言われましたよ」



眼鏡をかけ直すウィリアム。


ウィリアムはマリアから目線を逸らす。




「私は…マリアの事が好き…と言うより愛しています…もちろんマリアに触れたい気持ちがあります」




ウィリアムは頬と耳を赤く染める。




「…ですが、私にとってマリアはとても大事なのでどうしたらいいか分からなくて…」





ウィリアムのこんな顔初めて見た。
可愛い。


そして何より私の事が大事に思っていてくれて、凄く嬉しかった。



「ウィル!私、嬉しいよ!」


「…」



無言のウィリアム。





恋人じゃないとか友達に言われた台詞とモヤモヤした感情は一気に消えて言った。







その夜、私はベッドで。ウィリアムは私のソファーで眠った。




次の週の土曜の午前9時半。
待ち合わせ場所にウィリアムは立って居た。



ウィリアムは今日もスーツ。




待ち合わせ時間の午前10時。
マリアがやって来た。






「ウィル〜!」


「さぁ、行きましょう」








手を繋ぐウィリアムとマリア。






「マリア、今日は貴女の行きたい所へ行きましょうか」


「ウィル、私、図書館に行きたい」


「それじゃいつもと同じじゃないですか」




微笑むウィリアム。











他人がどうのこうのとかじゃなく、私達らしく恋人になればいい。





















マリアを見つめながら


“私はマリアを一生大事にし、一生大切に愛します”


と、誓ったウィリアムであった。