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死神派遣協会管理課のオフィス。




「紅茶をお持ち…キャーッ!」


マリアはカップを倒し、ウィリアムのデスクに紅茶を零してしまい、デスクの上の書類は紅茶に染まって文字は滲んでしまった。




ウィリアムの眼鏡がキラリと光る。




「もう結構です。貴女は動かないで下さい」「全く貴女は…お茶の一つも淹れられないのですか」


「すみません」


「貴女はいつも無駄な動きが多すぎますし…」




不機嫌な表情のウィリアムに淡々とお説教されるマリア






「貴女は、グレル・サトクリフより問題児ですね」

本来ならば回収課のグレルやロナルドが新人教育をするのだが、人手不足な為にマリアの教育係はウィリアムが担当する事になった。




グレルやロナルドは砕けた所もあり、優しさもあり、新人女子死神には好評だ。




「はぁ…私もサトクリフ先輩かノックス先輩がよかったなぁ…」


「何をブツブツ言っているのですか?マリア・ファントムハイヴ。行きますよ」





魂を回収に向かう。


魂の回収作業が終わる。

涙目のマリア


マリアは死亡予定者のシネマティックレコードを見て涙が出てしまったのだ。





「マリア・ファントムハイヴ、死神に情けは無用ですよ。全く。何回言えば分かるのですか」



冷たい表情のウィリアム。



「貴女がモタモタしていたせいで残業です」



午後9時。


ウィリアムと鬼の残業とお説教タイムを終え、寮に帰るマリア






また明日も、スピアーズ先輩と一緒か…





次の日。



不機嫌な顔のウィリアム。


「30秒遅刻です。全く貴女は一体何を考えて居るのですか。早く行きますよ」


「すみません!」






二人はデスサイズを持ち、魂の回収に向かう。




現場に着き、ウィリアムがデスサイズを振りかざし、シネマティックレコードを見ている最中だった。






死神の天敵の悪魔が現れた。





審査されていた人間の傍でぼーっとしていたマリアに向かって悪魔が長い爪と牙を向けて攻撃をしてきた。



もうだめだ。

そう思った瞬間、マリアはウィリアムの左腕に抱き寄せられ、右腕ではデスサイズを使い、悪魔の動きを封じ込める。




「貴女は安全な場所へ」



ウィリアムに言われた通り、安全な場所へ急いで逃げた。






あっという間にウィリアムは涼しい顔で悪魔を始末し、マリアの元へやって来た。





「全く貴女は何をしているのですか!」



珍しく感情的に声を荒らげるウィリアム。

「私が居なければ貴女は悪魔にやられていましたよ!」


「ごめんなさい…」


いつもと違うウィリアムに驚くマリア




「全く…貴女は一人で魂は回収できない、いつも隙だらけでぼーっとして居て、忘れ物は多いし、すぐにお茶は零しますし、残業は増えますし、私の足を引っ張る」



すると突然ウィリアムはマリアを抱きしめた。




「…ですがそんな貴女を何故か放っておけません」






「マリア…」



いつもウィリアムはマリアをフルネームで呼ぶのに、ファーストネームで呼んだ。




ウィリアムは唇をマリアの唇に近付ける。





唇が触れるか触れないの距離でウィリアムはふっと我に返る。





「…今は勤務中でしたね」






いつも通り眼鏡をかけ直すウィリアム。

その頃、死神派遣協会回収課では、グレルとロナルドが話をしていた。






「スピアーズ先輩、マリアちゃんに超厳しいって有名っスよ」


「ウィル、案外マリアの事好きだったりして…」


「好きな子程イジワルしたくなっちゃう的なアレっスカ?」


「そうヨそうヨ、ウィルって絶対照れ隠しにツンツンすると思うワ」









「スピアーズ先輩、寒くなってきたから早く戻りましょう」


「そうですね。…また今日も残業ですね」








ウィリアムとマリアは夜風を感じながら、屋根から屋根に飛び移り、死神派遣協会へと戻った。









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