「わ、私と付き合って下さい!」
「構いませんが」
眼鏡を掛け直すウィリアム。
同期である管理課のウィリアムと回収課の私はこうして付き合いはじめた。
ジョークも通じない程の真面目で、バレンタインデーには律儀に全員にお返しをし、厳しくもさり気なく同僚のフォローをするウィルが好き。
本当は優しいの。
優しいからこそ私なんかと付き合ってくれたんじゃないかって最近思う。
でもね
最近ウィルの様子がおかしい。
そわそわしてよそよそしいし、忙しい事を理由に避けられてる気がする。
そろそろフラちゃうのかしら…
その日、定時に仕事を終えて、オフィスを出ようとしたらウィリアムが立って居た。
「マリア、仕事は終了しましたか?」
「うん」
「は、話があるので…この後時間はありますか?」
絶対フラれる。
ウィルが挙動不審とか初めて見た。
「いい…わよ…」
私は返事をするしかなかった。
ウィリアムはマリアの手を取り、教会へと向かう。
ウィリアムは重い扉を開き、マリアをエスコートする。
「どうぞ」
「え?!はい…」
何で教会?
美しいステンドグラスの前でウィリアムは深呼吸をした。
そしてマリアに跪いて、マリアの手の甲に口づけをする。
「マリア、よろしければ私と結婚して下さい」
そしてマリアの薬指にエンゲージリングをはめた。
「ウィル…」
「…本来ならもっと早くプロポーズする予定でしたが、どのようなシチュエーションが一番マリアに喜ばれるか考えて居たら時間がどんどん過ぎてしまって。ジューンブライドに間に合わずに申し訳ありません」
マリアはウィリアムに抱きついた。
「ウィル!ジューンブライドなんか関係ないよ!ウィルと結婚できるなら私いつでもいい!私ね、てっきりウィルにフラれると思ってたの…だからウィルと結婚できるなんて嬉しいよ!」
「何故です?」
「最近ずーっとウィルの様子がおかしかったから」
「…申し訳ありません。」
「プロポーズをどんなシチュエーションでしようかってずっと考えてくれてたんだ?」
笑いながらマリアは言う。
目線を反らしながらウィリアムは頷いた。
「ええ」
それは、6月の出来事だった。
それから半年後。
6月にプロポーズをした教会には、タキシードに身を包んだウィリアムと純白のウェディングドレスに身を包んだマリアが居た。
神父の前で永遠の愛を誓う。
そしてウィリアムはマリアのベールをめくり上げ、誓いのキスをする。
カランカランカランカランカランカラン…
教会のベルが鳴り響く中、仲間に温かく見守られながら階段を降りる二人。
階段を降りる最中、ウィリアムが耳元でマリアに囁いた。
「マリア、私が一生幸せにします」
それから数ヶ月後…
アパートのドアを開けるウィリアム。
「ただいま戻りました」
「お帰りなさい」
ウィリアムに笑顔で駆け寄るマリア。
「ウィル」
「どうしました?」
「今日ね…病院に行ったの」
「具合が悪いのですか?大丈夫ですか?」
あたふたするウィリアム。
「違うわよ。…あのね…3ヶ月だって!」
「さ、3ヶ月?!」
ウィリアムは眼鏡がズレたまま驚く。
「…明日、産休届を出さないと行けませんね」
眼鏡を直すウィリアム。
「まだ早いよ、ウィル」
「でも初めてですし、無理してはいけませんので…」
ウィリアムは愛おしげにマリアとマリアの腹部を見つめた。
その頃、同僚と後輩の死神が話して居た。
「サトクリフ先輩、先を越されたっスね!」
「あぁ〜ん!悔しいワ!で・も・ウィルの結婚式でマリアのブーケをアタシが取ったから、次はアタシの番ヨ!」