死神派遣協会、医務室にて。
一人の女死神が服を脱ぎ、銀髪の死神を誘惑していた。
「貧血かと思って運んだら…お止め。小生は君には興味ないさ。」
「何であんなガキと付き合ってるのよ!」
「君には関係ないだろう」
医務室を後にする銀髪の死神。
死神派遣協会の入口にて。
「テイカー!遅いよ!」
「ちょっとねぇ…それより珍しいねぇ。馬鹿なマリアが定時に上がれるなんて」
「だから馬鹿じゃないってば!」
「冗談だよ。さぁ行こう」
お揃いの黒いリボン。
手を繋ぎ歩き出す二人。
あれから二人は恋人になった。
レストランでワインを飲むアンダーテイカー。
眺めるマリア
「何だい?マリア」
「私も来月にはワインが飲めるなって」
「お子様なマリアにはジュースがお似合いだと小生は思うけど」
「子供扱いも馬鹿呼ばわりもしないでよ!テイカーの馬鹿っ」
頬をぷくっとするマリア
優しく微笑むアンダーテイカー。
「ごめんよ。何か欲しいものはあるかい?」
「すぐそうやってごまかす。私怒るよ?」
「おっはよ〜マリア」
「おはようございます。アンナ先輩」
先輩死神のアンナ。アンダーテイカーの同期でもある。
「ねぇ、マリア、今日一緒にご飯行かない?」
「いいんですか?」
「いい所知ってるのよ」
「はい!私ずっとアンナ先輩とご飯行きたかったんです!」
廊下を歩くアンダーテイカーにマリアは駆け寄る。
「テイカー、今日は私一緒にご飯行けないよ?」
「え?どうしてだい?」
「アンナ先輩とご飯行くんだ〜」
嬉しそうに笑うマリア
「マリアはアンナと仲がいいのかい?」
アンダーテイカーは嫌な予感がした。
何故なら…
先日アンダーテイカーを誘惑した死神は
アンナだからだ。
「マリア、アンナにはあまり近付かない方が…」
嫌な男と思われるかもしれないが、アンダーテイカーはマリアにアンナには気をつけた方がいいと話そうとしたらもうマリアの姿はなかった。
その日の夜。
「美味しいです!」
もぐもぐとパエリア食べるマリア
「ねぇ、マリアって凄いよね」
「何がですか?」
「あのテイカーと付き合ってるなんて凄いよ」
「そんな事ないですよ」
照れるマリア
アンナの黄緑色の瞳が妖しく光る。
「だってテイカーって昔からモテモテで凄かったんだよ」
「私が死神派遣協会に来る前のテイカーってどんな感じだったんですか?」
「知りたい?昔のテイカー」
アンナはワイングラスを見ながら言った。
深夜。
マリアは死神派遣協会女子寮の自分の部屋に着くと、ベッドに倒れ込んだ。
伏せたまま。体は小刻みに震える。
興味本位であんなこと
聞かなきゃよかった…
マリアは奈落の底へ突き落とされた気分だった。
次の日。
アンダーテイカーはマリアをお迎えに死神派遣協会女子寮の入口に立って居た。
マリアは来なかった。
回収課に行くとマリアがデスクで仕事をしていた。
「マリア、今朝はどうしたんだい?」
朝はいつも一緒に出勤するのに。この日は違った。
「別に…」
アンダーテイカーの顔を見ないで答えるマリア
「魂の回収に行ってきます」
回収課を後にしたマリア
それから、マリアはアンダーテイカーを避けるようになった。
「マリア、仕事が終わったら書類の整理して欲しいから死神図書館へ行って欲しい」
デスクの上にメモが置いてあった。
夕方、メモに書かれた通り、##nameは書類を抱えて死神図書館へ行く。
重い扉を開くと
アンダーテイカーとアンナがキスをしていた。
散らばる書類。
「マリア!」
アンダーテイカーはマリアに気付き、追いかけようとするがアンナが腕を離さない。
「あんなガキの所へは行かせない」
アンナは鋭い眼差しでアンダーテイカーを見る。
息を切らし、死神派遣協会の建物の裏への芝生の上へ座り込むマリア
涙が止まらない。
「離しておくれ」
「嫌」
「マリアの態度が違うのも君が何かしたからだね」
「そうよ。テイカーが振り向いてくれないから」
「そんな事して何になるんだい。君は寂しい人だね。何度も言うけど小生は君に興味はない」
「何であんなガキなのよ!馬鹿だし使えないし小さいし!私の方が役職は上だし、背だって高いし、何より貴方に私が一番釣り合うわ」
「確かに、書類を書き間違えたり仕事はできないねぇ。肝心な眼鏡も忘れるし、寒いのにコートも忘れる。寝坊はするし、月曜日なのに日曜日と勘違いする。使えないと言えば否定はできない。要領もよくないねぇ…でも…」
アンダーテイカーは黒いリボンに触れる。
「馬鹿な子程可愛いって言うだろう?」
「マリア」
アンダーテイカーの声がした。
「…テイカー…」
泣きじゃくるマリア
「アンナから全部聞いたよ」
アンダーテイカーはマリアに触れようとするが、マリアはアンダーテイカーの手を払いのける。
「お情けはいらない。アンナ先輩とヨリを戻したんでしょ?」
「マリアは本当に馬鹿だねぇ…」
ため息をつくアンダーテイカー。
「小生はアンナとは何もないよ」
「アンナ先輩と付き合ってたけど私のせいで別れたんでしょ?あと…昔もう退職しちゃった死神と大恋愛してたけどその人が忘れられな…」
アンダーテイカーの人差し指でマリアの唇は塞がれる。
「おかしいと思わないかい?その話」
「大恋愛をして忘れられない人が居るならならアンナとは付き合わないだろう。それとアンナと小生が付き合っててどうしてマリアのせいで別れるんだい?」
「私がいじめられてて可哀想だからお情けで…付き合ってあげたって…」
「そんな話どう考えても矛盾してるだろう?マリアは馬鹿だねぇ…すぐ何でも信じ込むマリアは本当にお馬鹿さんだ」
「全部…嘘?」
「当たり前だろう」
アンダーテイカーはマリアの金色の髪を優しく撫で、自分とお揃いの黒いリボンに触れる。
「テイカー…お情けじゃない?」
「お情けなんかじゃないさ」
「本当?」
「本当」
「忘れられない人は居ない?」
「小生の忘れられない人ねぇ…居るよ。名前は…マリア」
「小生にはマリアだけだよ」
「テイカー…」
「マリアは馬鹿だから、小生が色々教えないと駄目だし、小生が四六時中そばに居て守ってあげないとマリアが危ないねぇ…」
「ねぇテイカー、毎回毎回馬鹿馬鹿言わないでよ」
「本当の事だろう。有り得ない話をすぐ信じるのだから。マリア、寮を出て小生と暮らさないかい?」
「え?いきなり何?」
「小生と二人で暮らすのさ」
「…?わ、私同棲はちょっと…」
突然の発言に戸惑うマリア
「同棲じゃなくて、結婚するんだよ小生と」
「え!?」
「本当はマリアの誕生日にと、思ったんだけどね」
アンダーテイカーはマリアの左手を取ると、コートから何か小さなものを取り出した。
それはダイヤモンドが輝く指輪だった。
薬指にダイヤモンドが輝く指輪をはめる。
「マリア、ずっと小生の隣に居ておくれ」
そして二人はキスを…