死神派遣協会、保育ルームの前に人だかりが出来ていた。
「何かしら?」
グレルが近付くと赤ん坊を抱いたウィリアムが居た。
「アラ〜、ウィルに似て男前ネ!アタシにも抱っこさせてぇ〜」
ウィリアムの赤ちゃんを抱っこするグレル。
「グレルさん、今日から妻が職場復帰致しますので、よろしくお願い致します」
深々グレルに頭を下げるウィリアム。
ウィリアムは結婚してからかなり穏やかになった。そして子供が産まれたら、笑顔を見せるようになった。真面目な所はずっと変わらないが。
「ア〜ン、ウィルったらすっかりパパになっちゃって…ねぇ!ロナルド聞いてる?!」
「聞いてるっス」
「話したい事がいっぱいあるから今日一緒にランチしまショ?」
「サトクリフ先輩すみません!」
「あー…そっか…アンタも奥様とラブラブランチだものネ…」
同期のウィリアム、後輩のロナルドが職場結婚し、気がつくと死神派遣協会は職場恋愛が多くなっていた。
アタシだけ取り残された気分だワ…
落ち込み気味で魂回収の仕事にも身が入らず、下界をうろつく。
ふと、グレルの目の前に、真っ赤なドレスを着た赤毛の女が立って居た。
その女は涙を流して居る。
「何泣いてんのヨ。せっかくのお化粧が台無しじゃナイ」
グレルは女に近付いて話かける。
「アンタには関係ないでしょ」
手で涙を拭う女。
涙を拭った手と反対の手には真っ白なウェディングブーケがあった。
「ふ〜ん…好きだった人の結婚式に出て悲しくて仕方ナイってとこかしら?」
「ち、違うわよ」
「じゃあ何で泣いてるワケ?それ、ウェディングブーケでショ?」
「………そうよ。その通りよ。それのどこが悪いわけ?」
「アンタ、名前は?」
「私はマリア。アンタは?」
「アタシはグレルヨ」
「グレル…ね…」
「マリア、アタシと同じだワ…アタシも本命が結婚しちゃってネ…」
「グレルも…なんだ…」
「それだけならいいケド、後輩にも先越されちゃったのヨ!…アタシだけ取り残されちゃってるカンジヨ!」
グレルは興奮気味にマリアに話す。
マリアは笑った。
「何ヨ?」
「なんかグレルって面白いわね」
「…アンタも面白いワヨ」
「そうね。情けなくて面白いかも」
「じゃあアタシも情けなくて面白いわネ」
「グレル、これあげる」
マリアはウェディングブーケをグレルに渡した。
「私、いらないから」
「いいのォ?アタシこれでウェディングブーケ3つ目だワ!今度こそアタシの番だワ!」
「え?!グレル2回もウェディングブーケ貰ったの?」
「そうヨ」
マリアは爆笑した。
「マリア、何でそんな笑うのヨ?おかしい?」
「だって…男が…ウェディングブーケ2回も…貰うとか…面白いじゃない!」
マリアは、笑いを堪えながら言った。
“似た者同士”
それが二人の始まりだった。
それから数ヶ月後、死神界の仕立て屋にグレルとマリアの姿があった。
真っ赤なウェディングドレスを試着するマリア
「私、赤が好きだから結婚する時は絶対赤いウェディングドレス着たかったの!」
鏡の前でにっこりするマリア。
「よく似合ってんじゃナイ。さすがアタシのマリア」
そこには黒いタキシードを着たグレルが。
「グレル、赤じゃないの?」
「赤と黒って映えるじゃナイ?目立つしイイと思うんだケド変?」
「そんな事ないよ!グレルカッコいいよ!」
「マリア、アンタブーケはどうするのヨ?」
「もちろん真っ赤な薔薇!」
真っ赤な薔薇のウェディングブーケを注文しながら話し込む二人。
「まさか私の結婚相手が死神になるとは思わなかったよ」
「アタシもまさか人と結婚するとは思わなかったわヨ。でもアタシ達、とっても気が合うじゃナイ?赤が好きだし…他の好みも全部一緒」
「うん!すっごい気が合うもんね!それにグレルとならずっと飽きないよ!」
「マリアが死ぬ直前までずっと飽きさせないし、幸せにするワヨ」
死神界に伝わるジンクス。
死神同士が結婚すると、一生幸せになると言い伝えのある教会にて、まもなく死神と人間が挙式する。