silver ring

今日も教会で葬儀が行われる



「ヒッヒッヒッ…仕事日和だねぇ…」


クッキーをかじりながら葬儀を眺めて居る葬儀屋。











遺体を墓に埋葬する。




遺族や友人が訪れる。






そこに喪服の女が現れる。




左手の薬指には指輪。






葬儀屋は女をじっと見ていた。
数日後、葬儀屋の元に一人の女が訪れた。




「いらっしゃ〜い…ヒッヒッヒッ…小生に何か用事かい?」


「私は、マリア。この間お葬式をした…」



顔を見て、先日の喪服の女だと葬儀屋は思い出した。




「嗚呼、この間の」


「彼を綺麗にしてくれてありがとう。お礼が言いたくて」


「小生の仕事だからお礼はいらないよ。…それより…」




マリアの腕を引っ張り、腰に手を回す。




驚くマリア。

小生、君に興味を持ってね」



葬儀屋は髪をかきあげる。



「こんな指輪、捨てておしまいよ。小生が全て忘れさせてあげるから」





マリアの顎を持ち上げ、キスしようとする。









マリアは葬儀屋の手を払う。





「貴方、何を言ってるの?!」

「…この世には居ない人、死んだ人の事をいつまでも想っていたって仕方ないだろう?」

「貴方に何が分かるの!私はあの人をずっと一緒に居るって誓ったの!」


マリアは葬儀屋を突き放し、逃げて行った。




店に一人残される葬儀屋。












マリアの強く真っ直ぐで凛とした瞳。







きっと君はいつまでもいつまでもこの世には居ない彼を想い続けるだろう。


馬鹿馬鹿しい。
くだらない。






でも、左手の薬指の指輪とくだらない想いに雁字搦めな君はとても美しくて綺麗だよ…








小生はそんな君が欲しくて仕方ない。