指輪

「アルフォンスがね」

「アルフォンスが…」

「アルフォンスとね」




恋人との話を楽しそうに毎日毎日するマリア。



ウィリアムは神経質そうな顔で相槌を打つ。







正直、面白くない。寧ろ嫉妬をしているが、マリアは気付かない。






マリアの左手の薬指の指輪にもウィリアムは、不快な視線を送る。






でもウィリアムはマリアの惚気話を聞き続けた。
何ヶ月が経って、いつも通り恋人の話をするマリア。



だが様子が違う。






「アルフォンスが…」




マリアは涙を流す。






ベンチに座って居たウィリアムは立ち上がり、眼鏡を掛け直して言う。




「もうやめませんか?」


「ウィリアム…?」


「分かって居ますよ」


「ウィリアム…」


マリアは涙を流しながら、数週間前に別れたとウィリアムに告げた。


「…そうですか」




ウィリアムはマリアを無言で抱きしめた。





「…ウィリアム…」


「分かりますか?私がどれだけname##を思って居るか…」






ウィリアムはマリアの左手の薬指の指輪を外した。






「…私はマリアを悲しませるような事は絶対しません」


「ウィリアム…?」









穏やかな風が吹く。
「…私は…」





マリアが何か言いかけた瞬間、ウィリアムはname##にキスをした。








再びマリアを優しく抱きしめる。



優しいキス。








ウィリアムの手からマリアの指輪は落ちて、そのまま転がって行った。