ガシッ!
「…くっ…」
私とした事が。
害獣と戦って腕を負傷してしまった。
壁に寄りかかるウィリアム。
血がポタポタと垂れる。
「大丈夫ですか?」
通りかかった女性。
「はい、大丈夫…」
ウィリアムを眩暈が襲った。
「近くに私の家がありますから、手当てしましょう」
必死に意識を保ち、彼女に支えられ私は歩いた。
目が醒めると私はベッドの上に寝ていた。
右腕には包帯。
「大丈夫ですか?」
マリアはウィリアムを心配そうに見つめる。
「…大丈夫です…」
「あ、消毒しなくちゃ」
マリアは包帯をほどくと驚く。
あんなに深かった傷がほとんど治って居た。
「お気になさらず」
ウィリアムはスーツを羽織ると一礼してマリアの部屋の玄関をあとにした。
「ありがとうございました」
数日後
コンコンとドアをノックする音がする。
「はい」
ウィリアムが居た。
「この間助けて頂いたお礼です」
箱に入ったクッキーをマリアに渡すウィリアム。
「では」
一礼するウィリアム。
「あの!」
「はい」
「ありがとう。貴方の名前は何?」
「いえ。私はウィリアム・T・スピアーズと申します」
「私はマリア」
「マリアさん…ですか」
ウィリアムは去って行った。
数日後、マリアの元へウィリアムがまたクッキーを持ってやって来た。
「たまたま仕事で近くに来ただけですので」
「ありがとう。」
ウィリアムはたまたま仕事で近くに来たと言っては、クッキーを持って頻繁にマリアの元へ訪れる。
「ウィリアムさん」
「はい」
「ウィリアムさんって宇宙人?」
「私は死神です」
「?」
「このデスサイズで人間の魂を狩るのです」
あっけらかんと話すウィリアム。
ウィリアムさんは真面目そうで嘘はつかない。
それに怪我の治りも早かったし…
「…だから怪我の治りが早かったんですね」
「はい。死神は回復力がとても早いのです」
お互いの仕事の事とか、コーヒーの話とか普通の何てことない話。
毎回話すうちに二人の仲は深まる。
クスクス…
「ウィリアムさん、今笑った!」
「いえ、今のは違います!」
焦るウィリアム
数年後も変わらずウィリアムはマリアの元へクッキーを持ってやってくる。
「ウィリアムさんはずっと若いままね」
「死神は歳を取りませんからね…」
ウィリアムは少し切なそうに言った。
10年後も変わらずにウィリアムはマリアの元へ訪ねて来た。
「私、おばさんになってしまったわ」
「そんな事ありませんよ」
ウィリアムは真顔で言った。
どれ位時が経ったのだろう。
いつしか貴女は私のそばから居なくなった。
マリアは死んでしまった。
毎月毎月、マリアの墓にクッキーと花束を持って来るウィリアム。
「マリアさん…」
私が人間として貴女と出会って居れば一緒に時間を過ごして、一緒に生きて行けたでしょう…
しかしそれはできない。
別れが来る前にせめて貴女に「好き」と一言伝えられればよかったですね…
自分の不器用さが嫌になった。