19/赤いハイヒール

大学での成績が下がっている



悪魔から弟を守らないと



そんな事を考えながら屋敷の階段を降りているとバランスを崩した。






「きゃっ!」









セバスチャンが何処からか表れてマリアを受け止めた。





「大丈夫ですか?マリア様」


「大丈夫よ」





足元を見ると片足のヒールが折れている。

「あ…」




一瞬とでても悲しそうな顔をするマリア。


あの、いつも強気なマリアは泣きそうになったが堪えた。







そして赤いハイヒールを脱ぐ。





「壊れちゃったから捨てなくちゃ」


「私の方で処分致します」


「お願いね」




セバスチャンにハイヒールを渡すマリア。


自室へ戻ると別のハイヒールへ履き変える。




マリアはふーっとため息をついて机に伏せた。





あのハイヒールお気に入りだったのにな…






前に、マダムレッドと靴屋に行った。






『マダムレッド、この靴がいいわ!』


『アンタはこっちの可愛い靴のがいいんじゃない?』


『私、マダムレッドみたいに大人っぽいハイヒールがいいわ』








マダムレッドの事を思い出して悲しい気分になった。





マダムレッドとの記憶を思い出して、涙が一滴零れた。




その日の夜。



コンコン




マリアの部屋のドアをノックする音。





相変わらず机に伏せているマリア。


「はい」





セバスチャンがやってきた。




「セバスチャン、何か用?」


暗い顔をして、セバスチャンを見るマリア。



「マリア様、こちらを」






セバスチャンの手には赤いハイヒール。




「それ?!」


折れたヒールが直って居た。


「直してくれたの?」


「はい」




ハイヒールを受け取るとマリアは一瞬で笑顔になった。


「ありがとう!」



素直にありがとうと言うマリア。





セバスチャンは一瞬驚いたような顔をした。



「これはね、マダムレッドに買ってもらったとっても大事な靴なの…」

いつもとは違う、優しい顔をしたマリアが靴をぎゅうっと抱きしめる。






「たかが、物なのに大事な人から頂くと、思い入れができるのですか?」


セバスチャンはマリアに聞いた。



「もちろんよ」