27/告白

ガシャン!



割れるティーカップ。




「申し訳ございません」


シエルに深く頭を下げるセバスチャン。



「どうした?お前らしくないぞ」









ここ数日間、セバスチャンの様子がおかしい。
普段は有り得ないミスをよくする。

今まで見た事がない。




姉さんもぼーっとしているし。



何なんだ。

ぼーっと外を眺めているマリア。



「…さん…」


ふっと我に返る。




「姉さん、大丈夫か?」

「…シエル、いつから居たの?」


「さっきから居たぞ」






姉さんもセバスチャンも何なんだ?



シエルはまだ二人には気付かない。


マリアの家庭教師の時間。




セバスチャンは普段通りマリアに勉強を教える。


マリアも一生懸命勉強する。



ペンを落としてしまうマリア。




ペンを拾おうとすると、偶然、二人の手と手が触れる。







「…ごめんなさい…」


「いえ…」


「今日の夜、猫ちゃんの所へ来て」

「かしこまりました」



悩んだ末にマリアは自分の気持ちに素直になることにした。

マダムレッドの言葉を思い出して。
メイリンの優しさを思い出して。


背中を押してくれたグレルを思い出して…





真夜中。




庭のベンチで猫と戯れるマリア。





しばらくするとセバスチャンが来る。





猫はセバスチャンに飛び付く。





「マリア様、夜風がお体に障りますよ」


「ガウンを着てるから大丈夫よ…」



いつものやりとり。



「…」




二人の間には沈黙が続く。







しばらくするとマリアは口を開けた。





「…セバスチャン…」


「どうなさいました?マリア様」


「好き」


「私、貴方の事が好きよ」








セバスチャンは目を点にして固まる。









シエルは真夜中に目が覚め、ふとカーテンをめくると庭を見るとマリアとセバスチャンが居た。




「何してるんだ?」





しばらくするとセバスチャンは


「申し訳ございませんが私は使用人。マリア様の気持ちにはお応えできません…」



そう言った。




「そうよね…今のは聞かなかった事にして……ごめんなさい…」





マリアは走ってその場を後にした。






ぽつんとセバスチャンが立って居た。



次の日の朝。



シエルはマリアの部屋を訪れる。




コンコン




「はい」






ドアを開けるとマリアはトランクに荷物をつめていた。





「姉さん、どうしたんだ?」


「しばらくタウンハウスに行くわ」


「なんで突然」


「私ね…セバスチャンの事好きになっちゃったの」


「姉さん?!突然何を言うんだ」


「驚くわよね。でもフラれちゃった」



マリアは悲しそうに笑う。




シエルの中で一瞬マダムレッドとマリア重なった。




「じゃあね、シエル」




マリアは馬車に飛び乗った。




馬車の中から外を眺めるマリア。
涙が零れる。





何でこんなに辛いんだろう。
期待してたのかな?
悪魔が人を好きになる筈ないじゃない…




タウンハウスに行ったら、勉強に集中しなきゃ。