30/帰宅

姉さんがファントムハイヴ邸へ戻って来た。










「みんなおはよう」






吹っ切れたような笑顔。




「朝食をお持ち致しました」




笑顔のセバスチャン。


笑顔のマリア。







シエルは二人に気付いた。






「大学に行ってくるわ」




馬車に乗るマリア。




見届けるシエル。



コポコポコポ…




セバスチャンはカップに紅茶を注ぐ。




「セバスチャン」


「どうかなさいましたか?」


「いや、何でもない」






悪魔が人間を好きになったり


愛するはずなんてない。




「で、マリア、セバスちゃんとはどうなったのヨ?」


「どうなったって…どうもしないわよ」






ロンドンのカフェで紅茶を飲みながら話をするグレルとマリア。




「もー、せっかくの恋愛だってのにつまんないワネ。まぁ相手がセバスちゃんだしネ」








「あら、こんな時間。アタシそろそろ仕事に戻らなくちゃウィルに叱られちゃうワ…」






グレルは紅茶の料金を払うとカフェを後にする。



「またね、グレル」








「姉さん!」





シエルとセバスチャンが居た。


「一人で出歩くなって言っただろう、姉さん」


シエルは呆れ気味に言う。



「違うわよ、グレルとお茶してたのよ」


「グレルと?…だったらまぁいい」





クスクスとセバスチャンは笑う。



「何だセバスチャン」


「いえ」





そして三人は馬車に乗ってファントムハイヴ邸へ戻る。







マリアは向かい合わせになったセバスチャンを見つめる。




セバスチャンはシエルと仕事について喋っている。






なんで私、悪魔なんか好きになっちゃったんだろう。
ちょっと優しくされただけなのに…
私って単純だな。





揺れる馬車の中、色々考えているうちに瞼が重くなるマリア。






いつの間にか隣のシエルにもたれかかって眠ってしまった。