姉さんがファントムハイヴ邸へ戻って来た。
「みんなおはよう」
吹っ切れたような笑顔。
「朝食をお持ち致しました」
笑顔のセバスチャン。
笑顔のマリア。
シエルは二人に気付いた。
「大学に行ってくるわ」
馬車に乗るマリア。
見届けるシエル。
コポコポコポ…
セバスチャンはカップに紅茶を注ぐ。
「セバスチャン」
「どうかなさいましたか?」
「いや、何でもない」
悪魔が人間を好きになったり
愛するはずなんてない。
「で、マリア、セバスちゃんとはどうなったのヨ?」
「どうなったって…どうもしないわよ」
ロンドンのカフェで紅茶を飲みながら話をするグレルとマリア。
「もー、せっかくの恋愛だってのにつまんないワネ。まぁ相手がセバスちゃんだしネ」
「あら、こんな時間。アタシそろそろ仕事に戻らなくちゃウィルに叱られちゃうワ…」
グレルは紅茶の料金を払うとカフェを後にする。
「またね、グレル」
「姉さん!」
シエルとセバスチャンが居た。
「一人で出歩くなって言っただろう、姉さん」
シエルは呆れ気味に言う。
「違うわよ、グレルとお茶してたのよ」
「グレルと?…だったらまぁいい」
クスクスとセバスチャンは笑う。
「何だセバスチャン」
「いえ」
そして三人は馬車に乗ってファントムハイヴ邸へ戻る。
マリアは向かい合わせになったセバスチャンを見つめる。
セバスチャンはシエルと仕事について喋っている。
なんで私、悪魔なんか好きになっちゃったんだろう。
ちょっと優しくされただけなのに…
私って単純だな。
揺れる馬車の中、色々考えているうちに瞼が重くなるマリア。
いつの間にか隣のシエルにもたれかかって眠ってしまった。