マリアが、ファントムハイヴ家を出て、2年経った。
シエルもセバスチャンも周りもいつもと変わらぬ日常を過ごしていた。
「坊っちゃん、お手紙です」
セバスチャンは手紙の乗った銀の盆を置いた。
シェルは手紙を手にとる。
「…姉さん」
手紙はマリアからで、念願の医者になったこと、王立病院勤務になった事、近くファントムハイヴ邸に戻ると書いてあった。
「セバスチャン、姉さんが近いうちに戻ってくる。準備をしておけ」
「かしこまりました」
それから2日後。
セバスチャンはいつも通り仕事をしていると、薔薇の香りとヒトの気配を感じた。
ヴィンセント、レイチェルの墓に真っ赤な薔薇をゆっくりと置く。
「お父様、お母様、ただいま」
マダムレッドの墓にも真っ赤な薔薇を静かに置く。
「マダムレッド、私、お医者様になったのよ。マダムレッドと同じ王立病院勤務なのよ」
今は亡き、父と母と叔母に近況を報告し、ファントムハイヴ邸へと向かう。
庭で紅茶を飲むシエル、横に立っているセバスチャン、回りで騒いでいる使用人達。
空気が変わる。
すっと表れたマリア
「姉さん?」
マリアは2年の間に身長がかなり伸びて居た。
大人びた顔に
すらりと伸びた手脚
腰まで伸びた髪
以前のように背伸びをしたわけではない、真っ赤なドレスと扇子が似合うレディになって居た。
「ただいま!」
スカートをつまんで挨拶をする。
「マリアさ〜ん?」
「マリアさ〜ん!」
「お嬢ちゃん、すっかり大人になっちまって」
「背が伸びたわねってエミリーが言ってる」
使用人達がマリアを囲んだ。
「みんな元気そうね。シエル、ちゃんと食べてる?2年前と変わらないじゃない」
マリアはシエルの元に向かうとシエルを強く抱き締めた。
セバスチャンはマリアを見つめていた。
また、新しい日々が始まる。