「ただいま」
「おかえりなさい、姉さん。式は楽しかったか?」
シエルが聞いてきた。
「えぇ!とっても!」
年頃だからか
最近友人がどんどん結婚して行く。
「マリアは相手に困らないでしょう?」
周りによく言われるが苦笑いして過ごした。
数日後
支度をするシエルとセバスチャン。
「サリヴァンの所に行くけど、姉さんも行きますか?」
「行くわ!サリーにちょうど会いたかったの!」
元気に飛び上がるマリア
3人で歩いてサリヴァン達の住む屋敷へ向かう。
シエルが扉をノックする。
「シエル、セバスチャン…マリアまでよく来てくれたな!」
サリヴァンの屋敷へ入る。
シエルとサリヴァンは話が終わった。
「マリア、最近仕事はどうだ?」
サリヴァンが話をかけてきた。
「順調よ、サリーは?」
「ボクは、最近赤ん坊を取り上げたな」
マリアとサリヴァンは同じ医者。話もよくするし仲も良い。
紅茶やお菓子を囲み2時間位医療の話をした。
「またいつでも来てくれ」
サリヴァンに見送られ、3人は屋敷を後にした。
「天気がいいからウインドウショッピングがしたいわね」
マリアの案でロンドンの商店街を見て帰る事にした。
「!」
すぐさま、仕立屋のショウウィンドウに目をマリアは奪われた。
「素敵なウェディングドレス…」
純白のウェディングドレス。
ファントムハイヴ邸に戻り、自分の部屋のベッドに横になりながら色々考えるマリア。
そろそろ、私も…
友人が次々結婚して行く。
母になった友人も居る。
さっき、サリーも「赤ん坊は可愛いな」と言って居た。
元々子供は好きだし、
私も小児科に勤めて居て毎日子供と接して子供は可愛いし、いつか自分も母になれたらと思う。
ウェディングドレスだって
着たい。
幸せな友人を見ると羨ましいし、私だって、って思う。
『一番好きな人と一緒になれたら幸せだと思うわ。……マリアアンタもいつか好きな人と幸せに…』
マダムレッドに言われた事が脳裏に浮かぶ。
結婚したいな。
ウェディングドレスを着たいな。
母になりたいな。
前まではこんな事思わなかったのに。
いや、本当は思って居て、認めたくなかったから心の奥底に秘めていたのかもしれない。
棚からヴィンセントとレイチェルの結婚式の写真を取り出す。
父と母のような結婚をしたいなぁ。
夜会では相手は見つけたくない。
穢れた目で私の見た目しか見ていないから。
願わくは…
いや、何でもない。
周りの男性。
エドワードは兄みたいだし
ソーマは年上だけど弟みたいだし
グレイかフィップスか
ドルイット子爵か?
好きな人は居るけど、おそらく叶わない。
シエルに相談しよう。
なんて考えてふと机を見ると、1枚のメッセージカードが置いてあった。
【明日、ローズガーデンにてお待ちしております】
美しい字体からセバスチャンだとすぐ分かった。
何かしら。
その日の夜は
やはり、近いうちにグレイかフィップスあたりをシエルに紹介してもらおうか…色々考えながら眠りについた。
次の日の昼
昼食を終えて、シエルは仕事で書斎へ向かった。
話は後でいいか、今はローズガーデンへ向かおう。
美しく咲き誇る赤い薔薇の前にはセバスチャンが立っていた。
「やっぱりセバスチャンだったのね」
「お呼び致しまして申し訳ありません」
「私、後でシエルに用事があるから早くしてちょうだいね」
「畏まりました」
「私と、結婚していただけませんか?」
いきなりセバスチャンはマリアに言った。
「はい?私の事からかってるの?それともシエルに言われたの?命令?」
「坊っちゃんのご命令ではありませんよ、私はマリア様、貴女が欲しい」
「貴方がそんな事言う筈がない」
「はぁ…何度言えばいいのですか…貴女はそうやっていつも素直にならない」
「だって…」
セバスチャンは無言でマリアの左手に指輪をはめた。
「貴女を、どうやら本気で愛してしまったようです」
「…本当?」
「嘘はつきませんよ」
「だったら…約束…シエルの魂は食べないで。私のたった一人の家族なの。だから代わりに私の魂をあげるから、お願い…」
「構いませんよ。ですが貴女の『魂』ではなくて『人生』を私に下さいよ」
「わたし、…いつかシワシワのおばあちゃんになっちゃうけどそれでもいいの?」
「構いませんよ。私が貴女に合わせますから」
「ずっと、ずーっと一緒に居てくれる??」
「永遠にご一緒致しますよ」
沈黙が続く
「…マリア、愛していますよ…」
セバスチャンは口を開いた。
いつもの意地悪な笑顔ではなく、今まで見たことのない優しい笑顔で。
彼の言葉は嘘じゃない、そう確信するとマリアの瞳から涙が溢れた。
「私、ずっとセバスチャンの事が好きだった。貴方と離れてもずっとずっとずっと毎日貴方の事を考えてた…貴方と結婚したいって思ってた……結婚するなら貴方じゃなきゃ嫌だと思ってた…私からも言うわ…セバスチャン、私と結婚してください」
マリアはセバスチャンの胸に飛び込んだ。
セバスチャンは手袋を外してマリアの涙を拭い、頬に優しくキスをして、抱き締めた。
あなたのそばに…