ロックガール、ダイアゴン横丁へ行く


ホグワーツ入学を決めたあたしは翌朝、梟(シェリルさんが貸してくれた!灰色をしたモッフモフ!)でホグワーツに返事を出した。
今どき梟で手紙って…魔法界は発展しているようでしてないのかな。まあ、なんかロックでいいか。はいはい。

昨晩はあのあと、ママといっしょにシェリルさんとパパから魔法界についてちょっと教わった。
パパみたいな魔法使いの家に生まれながらも魔力がない人のことを『スクイブ』、ママみたいに元々から魔法とは無縁で、魔力を持たない人のことを『マグル』と言うらしい。
というわけであたしは『スクイブ』と『マグル』の子供ってワケ。へー、なんか強そうな名前?…でも魔力を持たない両親から生まれてるんだから弱いのか??とりあえずギターは同年代では上手いと思います。

パパとシェリルさんの家---『エーカー家』は御先祖が純血(これはむずかしくてよく分からなかった。学校行ったらなにか分かるのかね?)とマグル生まれらしく、女性の方がより強い魔力を持って生まれてくることが多い。とか。
逆に男性はスクイブが多いらしく、パパもその1人ってことだそうで。
それからエーカー家は代々、守りの魔法に強いんだって。盾とか、守護霊とかってシェリルさんに言われたけど魔法に関しての知識がないからよく分かりませんでした!!これ、入学前から遅れをとっていないか?大丈夫なの?落ちこぼれコースまっしぐらじゃないよね?!

エーカー家ってそんなにすごい(?)家だったのか〜…。じゃあ去年おばあちゃんの家に遊びに行ったとき会った親戚のみんなも結構な確率で魔法使い……ん?
親戚?

「ねぇシェリルさん、ハルは?ハルも魔法使い?それとも…スクイブ?」

ハル、とは。
ハロルド・エーカーという、あたしと同い年の男の子。正真正銘シェリルさんの息子のことである!つまりあたしの従兄弟。
最後に会ったのは先述した去年の親戚の集まりだった。シェリルさんに似て顔が綺麗で(腹立つことにハンサム!)、性格は…うん、まぁ…。生意気で…厳しめかな…。てか、ド真面目。

「ハルも魔法使いよ。エリンといっしょで今年入学なの」
「へぇ!アイツもいるならなんとかなりそう!」

マグル育ちだし魔法界のことちょーーっとしか知らないからイキナリ見知らぬ人しかいない全寮制の学校ってちょっと不安だったけど(いくらそれにロックを感じていたとしても!!まだ11歳ですから!)、ハルがいるなら安心かも、と思った。
でもハル、真面目だからな〜。勉強勉強うるさく言われるかもしれない。言われないようガンバろう。適度に。

「来週、ハルと学用品を買いに行くんだけど、もちろんエリンも行くわよね?」
「行くー!!!」
「ジェフは仕事だろうし…そうね、クロエにも付いてきて貰いましょ!」
「ヒャッホーイ!楽しみすぎー!!」

この瞬間からシェリルさんの前で猫を被るのをすっかりやめてしまうあたしであった。てへ。

***

翌週、再びシェリルさんがうちに来た。
今度はハルも一緒だった。
ハルは最後に会ったときより背と髪が伸びていて、大人っぽくなった気がする。

「ハーイ、ハル!」
「相変わらずうるさいな」
「ひでぇヤツ!」

生意気なところはなんにも変わっちゃいねーじゃねーか!イギリス紳士なら女性に優しくしてほしいね!!

「キミ、これからダイアゴン横丁に行くってのにギターも持っていくわけ?」
「えっ ダメなの?!」
「ダメっていうか…邪魔じゃないのか」

あたしがいま背中に背負っているのは、相棒のギター(深緑のエレキ。5歳の誕生日に買ってもらった例のやつ!)が入ったギターケース。これを背中に背負わず出掛けたことはほっとんどない。ギターないと死ぬ。むり。

「相棒を邪魔だと思ったことはないよ!」
「あっそう…」
「てかダイアゴン横丁ってなに!!!」

うっわヒドイすごい呆れた顔〜!白い目で見られてる〜!うちのパパだってそんな顔しないよ。お前顔は綺麗なんだからもっと笑っとけよ!ちくしょうが。
だいたいあたしはマグル育ちで、魔法界のことはまだよく知らないんだってば!

「まぁ、いいや。行けば分かるし!」
「いいのかよ」
「たっのしそうだなァ〜ん♪」
「おい!ギターを弾くんじゃない!」

だいたいこの一瞬でどうやって出した、などと吠えるハル。
あたしは構わず昨日テレビで観たアメリカのカッケェバンドの曲をジャカジャカ弾く。まだサビしか弾けないけど〜。
ギターさえあればどこでもライブ会場ってもんよ!ふふん!

「アンプ繋いでないから音小さいし、いいでしょ〜」
「よくない!」
「こら二人とも!」

シェリルさんだ。後ろにはママもいる。
仲良いのか悪いのか…と半ば呆れるシェリルさん。良くないと思います。悪くもないけど良くはないです。あれやっぱ不安になってきたよホグワーツ。
そしてママにはもう出かけるからギターをしまいなさいと言われました。
ライブ、強制終了。かなしみ。

「だから言ったのに」
「ハル…あとでしばく」

コイツのいいところの顔だけじゃね?と思う。
絶対しばく。

***

ロンドン!なう!
からの!ダイアゴン横丁!なう!

も〜あたしはルンルンだった。最初に「漏れ鍋」ってパブに着いたときからずっと。最高にハイなハイトーンロックヴォーカル曲が頭で鳴ってる。
シェリルさんが杖で壁を叩いて、ダイアゴン横丁の入口が出てきたときは思わずギター取り出した。そしてハルに怒られた。殴りたい。

最初にマグルの紙幣から魔法界の紙幣へ両替するためグリンゴッツ銀行に向かったんだけど、そこでゴブリンと出会った!超いっぱいいる!ちっちゃ〜いのに働き者で、あたしは感動した。だって普通に暮らしてたら絶対会えない人たちだよ!?レア中のレアでしょっ!あまりに感動したのでギター取り出したらハルに怒られた。今度は殴った。グーパン。

次は制服の採寸。これは楽しかったな〜!巻尺が勝手に動くのめっちゃ面白い!蛇みたいだ!
ハルは当たり前じゃんみたいな顔してたけど、あたしから見れば誰も触ってないのに物がひとりでに動くことがも〜〜〜珍しくて面白かった。
採寸してる間、ママとシェリルさんは教科書やそのほか必要な道具(鍋とか!…なんで鍋?)を買いに行ってくれた。ふたり分だし量多いと思うんだけど、そのへんも魔法でなんとかなるもんなのかな?そういえばシェリルさんがトランクに魔法かけてたかもしれない。
魔法便利すぎる…!

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