ロックガールはやる気です

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その後、魔法薬学の授業は何事もなく進んだ。
とくにこれと言った失敗もなく、無事に薬を完成させることができたのでハッピーである!
組んだ相手がジャスティンだったというのも大きいな!手際がいいし器用だし、とっても助かった。
あたしひとりでやってたら教科書の手順一行読み飛ばして鍋が大爆発…とか起きてたかもしれない。
あたし今でこそお菓子作りは得意分野だけど、初めてクッキー作った時はオーブン爆発させかけたからね!今思い出してもコッワ!(あの時のママの顔ったら…怒りより恐怖に満ち溢れていたね!)そしてこの授業で大爆発とかコッワ!主に先生が!
…そんなことが起きないよう気をつけねば。マジで。ハッフルパフのためにも。うん。


無事に授業が終わり、あたしは課題の薬を提出してから先生に頭を下げた(ちなみに何が起きるか分からないのでハンナたちには先に帰ってもらいました。ハルは気がついたらいなかった!)。

「スネイプせんせぇ!本日は失礼しましたぁ!」

必殺・言われる前に頭を下げる!…あっ、いやふざけてないです至って真面目です!大真面目!

「フン…知識もなければそれを得ようともしない他の生徒よりはマシだった、ただそれだけのこと」
「はえぇ…ありがとうございます…?」
「褒めてはいない。…やる気は態度で示せ、我輩が言えることはそれだけだ。次も同じようなことがあれば、その時は容赦なく減点する」
「え、あ、ハイ!」
「もういい。行きたまえ」
「あ、ありがとうございました!」

あたしはほぼ逃げるようにして教室を出る。
扉がバタンと音を立てて閉まったところで、深〜いため息をついた。安堵のため息である。

「エリン!」
「大丈夫だった?」
「ハンナ…スーザン…!」

廊下を少し歩いたところの曲がり角でハンナとスーザンが抱きついてきた。
二人はあたしのことが心配で、談話室に戻るに戻れずここで待っててくれたんだって。ああ嬉しい泣いちゃう!てかすでに涙目!

「罰則でも言い渡された?」
「ううん、なにもなかったよ」
「それ本当?本当に本当?!」
「本当だよ」
「お、驚きだわ…」
「うん、あたしも超びっくりだよ」

思ってたより怒られなくてほんとびっくり!グリフィンドールは減点されまくったと聞いてたから余計にね。罰則覚悟だったけど何もなかった!あたしは先生ご贔屓のスリザリン生でもないのに。Why、なぜ?

「先生、真面目な人が好きなのかな」
「書き取りしてたのがエリンだけだったから、それで真面目だと思われたってこと?勤勉家って?」
「だとしたらあの先生は見る目がないわ!エリンが真面目だなんて!どちらかと言えば不真面目キャラよ」
「ちょっとハンナひどくない?え、悪口じゃないそれ??」
「イメージの話よ、イメージの」

今とっても傷ついたんですけど!!さっきの感動返してよ!もうっ!
ていうかあたし、これまでの授業ちゃんと受けてるんだけど?!みんながウトウトしてた魔法史だって起きてたしノートもとってたよ!?(楽曲制作のネタ探し半分だけどさぁ!)

「ま、なにもなかったのは期待されてるってことじゃないかしら?」
「やっぱそう思う?」
「そりゃあ思うわよ。ハッフルパフとしては減点より加点された方がいいし」
「「頑張ってねエリン!!」」
「え?ちょっと!ふたりも頑張ろうよ!ねぇ!!」

***

「というわけで、ちょっとぐらいはマトモにやろうと思ったのです」
「それで僕のところに来たの?」

談話室のソファーに座るハッフルパフのプリンスことセドリック・ディゴリー大先輩はちょっと困ったように笑ってそう言った。
いやだってセドリック優秀だって聞いたし、めっちゃ優しいし、予習や宿題ぐらい付き合ってくれるかなって思ったんだもん!
それにセドリックは談話室や中庭でやってるあたしのライブをちゃんと見てくれているのだ!そしてその度に感想をくれる。つまり、信頼できる人物!いえーい!
被ってた猫もすぐ脱ぎました。

スネイプ先生の期待(憶測ですけど)に応えるためにも、あたしのイメージアップのためにも、セドリックには是非とも協力していただきたいのです!えぇ!

「エリンと一緒に勉強するのは構わないけど…僕にうまく教えられるかな」
「セドリックは教え方も上手いと他の三年生から聞いたのでご安心ください」
「いつの間に…」
「ハッフルパフに点数入れまくって、ほんで脱・不真面目キャラするのでよろしくお願いします!」
「エリンはわりと真面目だと思うけどなぁ」

それね!?ほんとね!!ホラ分かる人はちゃんと分かってるじゃないかぁ!あたし不真面目じゃないんだよ〜!ド真面目でもないけどさ。
どちらかと言えば真面目よ!そう、どちらかと言えば。ねっ。
も〜嫌だわハンナってば!…と思いつつ、ほかの人にも『不真面目〜』『アホ〜』『不良〜』みたいに思われていたら…と考えたらすごく怖くなったのである。ちくしょう。

「そら、普通のお勉強は好きじゃなかったけど…魔法に関することは全部楽しいんだ」
「その気持ちがあれば、きっとすぐに成績上位になれるよ」
「そう?! ところでイキナリなんだけどこの魔法史のレポート見てもらっていい?一応できてるんだけどさ」
「ほらね。絶対伸びるよ」

セドリックはそう言って笑いながらあたしの頭を撫でた。
ワァ、こういうのパパ以外の男の人にしてもらったの初めて!ふつうに照れる!セドリックハンサムだし!
あたしのレポートを読む姿がもう絵になってるよね。なにこれどこの絵画?飾りたい。

「は〜 セドリックみたいなお兄ちゃん欲しかったなぁ」
「僕らは同じ寮だし、もう兄妹みたいなものだよ」
「ほんとに?」
「そうだよ。ハッフルパフは僕の第二の家族さ」
「へえ…あたしもいつか、そう言えるようになるかな?」
「うん。すぐになるさ」

ホグワーツに来て1ヶ月も経ってないし、まだ“家族”って言うよりは断然“友達”なんだけど…。
あたしも、セドリックみたいに。
ハッフルパフのみんなのことを胸張って「家族です!」って言えるようになりたいな!
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