ロックガール、図書館へ行く

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今週、レイブンクローと合同で飛行訓練が行われることになった。
飛行訓練、つまり箒で空を飛ぶアレである!
クィディッチのなんたるかも知らないあたしが、果たして空を飛べるのだろうか?

…そんなこんなで。
「箒のことならあの本を読むといいよ」とセドリックに薦められたものを探しに、あたしは図書館に来ていた。何気に初図書館。
すっご〜い、本が沢山ある〜!!当たり前だけどー!

「えーと、クィディッチ今昔…クィディッチ今昔…」

セドリックが言うにはこの辺りの本棚だったと思うんだけど。うーん、ないなぁ。誰かが借りてるのかもしれない。セドリックがオススメしてくる本だもの、きっと人気なのさ…!

目当てのものは見つからなかったけど、せっかく来たんだし何か面白そうな本でも探してみようかな〜なんて思った矢先。

(あれ、ハルじゃん)

図書室の奥の席に見知ったピンクブラウンを見つけた。
どうやら勉強中らしく、ひたすら何かを書いている。辺りに積んであるぶ厚〜い本のタイトルを見る限りあれはDADAのレポートらしい。やっべぇそういえば宿題出てたわ!談話室戻ったらやろう!
…ハル、ちょっと見せてくれ……ないよなぁ。うん、アイツはそういう性格だ!諦めよう。

「はろ〜」
「…エリンか。キミがこんなところにいるなんて珍しいじゃないか」
「ちょっと探してた本があったんだけど、どうやら誰かが借りているみたいでね」
「へぇ。なんて本だ?」
「『クィディッチ今昔』っていうんだけど…」

「それなら私が今読み終わったところよ」

ハルからひとつ空けた席に座っていた栗毛の女の子が言った。
彼女はパタンと本を閉じて、それをそのまま「どうぞ」とあたしに向けた。
この子…とてもモフモフしている!!髪の毛が!ちょっと触りたい。

「ありがとう!今日はもう読めないと思ってたからラッキー!」
「なんでその本を探してたんだ?」
「飛行訓練が心配だって話したらその本を勧められたの。ほら、あたし飛んだことないし」
「なるほどな」
「貴女は魔法族だと思っていたけど、もしかしてマグル生まれなの?」

栗毛のモフモフちゃんは言った。
んん?この子あたしのことを知ってるの?今そんなような口ぶりだったよね?

「うん? あたしはスクイブとマグルの生まれで、完全にマグル育ちだよ。こっちのハル---ハロルドはそうじゃないけど」
「そうだったのね。私はマグル生まれなの。だから箒で空を飛ぶという文化に馴染みがないからとっても不安で…一年生は自分の箒を持てない決まりだし、実技を予習するのはむずかしいからこの本で---あら、私ってばつい…ごめんなさい」
「ううん、気にしないで。あなたとってもお喋りなのね!」
「私、興奮すると早口で喋る癖があって…パパとママにも言われていたのに」
「いーのいーの!ところで、あなたはあたしを知ってるみたいだったけど…」
「貴女とても有名よ。ロックガールのエリン・エーカー。グリフィンドールでもたびたび話題に上がってるわ!」
「おお、それは光栄!」

中庭でのライブにはグリフィンドールの人も遊びにきてくれてるもんな!
そういえばグリフィンドールには校歌のときお世話になった双子がいるんだよね。まだちゃんと会ったことないけど、どんな人たちなのかな?

「貴方も名前をよく聞くわ。ハロルド・エーカー。レイブンクローの一年生では貴方が一番点数を稼いでるって」
「そりゃ…どうも」
「私はハーマイオニー・グレンジャー。よろしく」
「グレンジャー?あの変身術を成功させたグレンジャーさん?」

まさかこんなところで出会えるなんて!
…と思ったけど、変身術を成功させてしまうぐらい優秀な子なんだから図書館にいても別におかしくないか。むしろあたしのような奴がいる方がヘンだね!
…自分で言うとちょっと虚しいのはなぜだろうね。

「えぇ、そのグレンジャーは私だわ!グリフィンドールでは私しか成功しなかったのよ!ハッフルパフとレイブンクローはあなたたちだけだったのよね?」
「そうだな」
「あたしは完璧じゃなかったから、成功したとは言いがたい気もするけど」
「でも金色の綺麗な針にしたんでしょう?素晴らしいわ!」
「ま〜ね〜!!!分かってるねハーマイオニー!」
「おいグレンジャー、こいつは褒めるとめんどくさいぞ」
「あら、本当のことを言っただけよ」

う〜ん、ハーマイオニー、めっちゃいい子。うん。
ハルはあとで殴ります!後頭部を殴って少し脳細胞を減らしましょう!!むかつく!

「っと…そろそろ静かにしないとマダム・ピンスに怒られちゃうわ」

しーっ、と人差し指を立てるハーマイオニー。
3人でこっそりマダムの方を見ると、あれまぁ眉間に皺が寄ってらぁ!どこぞの先生みたくなってますね!怖いっすね!
ハーイ、静かにしまーす!だから許してっ!

「じゃあ あたしは夕食までこの本を読もっと!」

あたしはクィディッチ今昔を、ハルはレポートの続きを。そしてハーマイオニーは近くの棚からこれまたむずかしそうな本を取って読み始めた。

三人とも集中しすぎて夕食がはじまっているのにも気付かず、慌てて図書館を飛び出すまで…あと1時間半。
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