ロックガールはやる気満々

▼ ▼ ▼


「そういえば、エリンは盾の呪文を知ってるかい?」
「あぁ、それならシェリルさんから入学前にちょっとだけ聞いたよ!」

宿題も片付いたので談話室のソファーでギターのチューニングをしていると、向かいのソファーに座って箒の手入れをしていたセドリック──セド兄が声を掛けてきた。
セド兄には魔法薬学事件(と、あたしは呼ぶことにした)以来、約束通りちょくちょく勉強を見てもらっております。あとクィディッチの話もときどきする!
セド兄はシーカーというポジションでいつもハッフルパフの勝利に貢献しているらしい(これは別の先輩に聞いた!)。
…とまぁ、セド兄の話はさておき!

盾。盾の呪文。たしか『プロテゴ』。
ホグワーツから手紙が来たあの日の夜、シェリルさんが言っていたことを思い出す。

「守りのエーカー。エーカー家が代々得意とする魔法、でしょ?
シェリルさんが言うにはあたしもいずれは使えるようになるらしいけど…」

その辺、実際どうなんだろうね?
本当にエーカー家ならみんな得意なのかな?

「セド兄は使える?できる?」
「まさか!上級生でも、なんなら大人の魔法使いでもできない人が多い呪文なんだよ」
「え、そうなんだぁ…あたし大丈夫かな…」
「エリンなら平気だと思うけどな」
「何を根拠にそう思うの!?」
「……なんとなく?」
「セド兄〜〜〜しっかりして〜〜」
「でもやっぱりエリンはエーカー家の生まれだし、大丈夫だよ。少なくとも僕よりはね」

大人でも使えない呪文を、どうやったらマグル育ちのあたしが使えるようになるのか。

「“エーカーだから”という理由で使えるようになるなら、神様は我が家を贔屓しすぎだと思うよ…」

あたしはあまり自分の家系のことを知らない。
シェリルさんも必要最低限──「エーカー家の魔法使いは、盾などの防御系の呪文に長けている」「女性の方が魔力が強い傾向にある」ということしか教えてくれなかった。
その話が本当であれば、あたしは「エーカー家の女性」なので実はすごいんじゃね?と思ってしまうんだけど…自惚れすぎはよくない!これはパパの教え!!

世の中にはあたしが知らないエーカーの話がいっぱいある。
スクイブとマグルから生まれた、まだ魔法のことをほんのちょっとしか知らないあたしには到底理解できないような、そんな話がいっぱい!
それこそハルは知ってるけど、あたしは知らないって話がたくさんあるだろうね…正直悔しいッ!!

「修行だなァ〜 歌もギターも、魔法も」

歌も上手くなりたいしギターももっと上手くなりたいし、魔法もたくさん使いこなせるようになりたい!
箒も乗りこなしたいし、魔法界のいろんなところに行ってみたい。
やりたいことも、やるべきことも盛りだくさん!

「1日24時間じゃ足りないよ!」
「エリンは入学したばかりだし、そんなに焦らなくても時間はまだまだ沢山あるよ」
「あたしが3年生になる頃にはセド兄みたいに学年のカリスマになってますように!!ていうかなりたい!」
「えぇっ?!」

さー、これから益々がんばっちゃうもんね!!
ALICE+