ロックガールと英雄の邂逅
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「着いた!着いた!!」
汽車が駅に停車した瞬間、今にも踊り出したい気分になった。いやぁ〜、ロッカーだって踊りますよ?
あたし今、ワクワクしかない。
窓に映るのはこの間採寸してもらったピカピカの制服とローブを身にまとった自分の姿。あたしってば魔法使いみたいだ!まだ魔法使えないけど!
荷物は置いたままでいいとのことなので、あたしはギターと杖を持ってハルと汽車を降りる。
うっひゃ〜流石に人多いなぁ〜!人気バンドのライブ会場みたいだ!波に飲まれそう。
「イッチ年生はこっち!イッチ年生はこっちだ!」
「うわ〜お、あの人おっき〜い!何を食べたらあんなに背が伸びるのかな?」
「ハグリッドじゃないか!」
「えぇー?!また知り合い?!」
ちょっとちょっとハロルドくん。もしかして顔広かったりするんでしょうか?小顔のくせに?いや顔広い小顔って変だわ。ってそうじゃないか!ワハハ!
…普通に羨ましいぞコラ!
「ハグリッド!久しぶり!」
「おお、ハルじゃねぇか!元気にやっとったか?」
「ああ、元気だ。母さんも元気だぞ」
「そりゃよかったわい!…お前さんがエリンだな?」
「そう!あたしが未来のロックスターことエリンだよ!」
「エリン、こちらルビウス・ハグリッド。母さんの友達だ」
「へえ、シェリルさんの友達!」
シェリルさんにこんな友達がいたなんて!
まず身体の大きさがロックだし、このもじゃもじゃ具合もなかなかにロックだ。いいねいいね!楽しそうな人だ!
「お前さんの話はハルとシェリルから聞いてるぞ」
「え?なになに将来有望なロッカーだって?」
「言ってない」
「言えよ!」
「言う必要ないだろ」
「あるやい!むしろそこが重要!」
キュイイイイーーーン!
あたしはギターを取り出して掻き鳴らす。ポケットから取り出して元の大きさに戻すまでおよそ2秒!演奏開始までは3秒!
ちなみにこれはパパが作った曲で結構激しいナンバーだ。ライブでやると超盛り上がる!
「バカ!ギターを出すな!歌うな!しまえ!」
「いっっったい!」
頭を思いっきり殴られた。グーだよグー!
コブになりそう!
「ここは駅のホームだぞ!騒ぐんじゃない!ハグリッドにもみんなにも迷惑だ!!」
「いいじゃん!!ちょっとしたゲリラライブだよ!」
「よくないっ!入学前から問題を起こすな!」
「二人とも落ち着け!どう、どう…っ」
「ハグリッド!どうしたのこの騒ぎ…」
「ハリー!」
…ハリーだってぇ?!
ピタリと演奏する手を止めて駆け寄ってきたらしい男の子を見た。ハルも動きが止まっている。マヌケめ!マヌケだけどハンサム!殴りたい!…ハルのことはさておき、ハリーだよ。
くしゃくしゃの黒髪に緑の瞳と眼鏡。背はあたしとあんまり変わらなくて(あたしの方が大きいかも?)、ひょろりとしている。ほっせぇ。
「…キミがハリー・ポッターか。みっともないところを見せてすまない」
「え?いや…うん、すごい騒いでたみたいだから気になって。喧嘩?」
「気にしないでくれ……… 無理だと思うが…」
ああー!!ハルに先越されたぁぁーーっ!!!
ちくしょうこの後頭部の痛みにライブ中断、許せんぞハロルド・エーカー!
「ハァイ、ハリー!あたしエリン!!ねえねえちゃんとご飯食べてる?細くない?男の子ならもっとご飯食べな!!そんな腕じゃギターも持てないよ〜」
「えっ?ギター?」
「エリン、いい加減にしろ!」
もっぱつ頭に食らった。今度は平手だったけど、殴られた場所がさっきと同じなので痛さ倍増。死ぬ、死ぬ!やめろ!脳細胞が死んでいく!
「やめてよ!バカになる!」
「すでにバカだろ」
「なんだって?!」
「二人ともやめなよ…」
「「……」」
「お前さんたちハリーの言うことは聞くんだな…」
ハグリッドは呆れて言った。
そうだね、ごめんね。今度からはハグリッドの話も聞くね。
そして今更だけど周りからの視線が痛いです。