ロックガールとはじまりの朝

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今日!から!授業!ダー!!

あたしはベッドから飛び起きた。
同室になったハンナとスーザン・ボーンズはまだ寝ているらしく、ベッドのカーテンが閉まっている。
着替えながら時計を見たらまだ起きるには早いかな〜?という時間だったので、2人を起こさないようにそっと部屋を抜け出した。もう少ししても起きてこなかったら起こしてあげよう!

談話室に行くと、先輩の何人かはもう起きて活動していた。ソファーで談笑したり、教科書を見て予習していたり。
あー、予習…してないな〜。教科書はザックリ読んだけど…マジでザックリとしか読んでない。
でもレイブンクローと合同の授業もあるし、困ったらハルに助けてもらおう!…なんてハルに言ったら「自分でなんとかしろ」って怒られそう。ぐぬぬ。

「おはよう、早いんだね」
「ジャスティン!おはよう!」

このクルクルカールヘアがキュートな少年はジャスティン・フィンチ-フレッチリー。
イギリスの超有名学校・イートン校に入学が決まっていたらしいけど、ホグワーツから入学許可証が届いたのでこちらに来たんだとか。
イートン校を蹴ってホグワーツって…す、すごいな。いろんな意味で!まずイートンに決まってたことがすごいし。

「ねぇ ジャスティンは授業の予習した?」
「うーん、教科書は一通り読んだけど…よく分からなくて」
「だよねぇ!あたしもだよ〜」

ジャスティンはあたしと同じくマグル育ちなのでスタートラインは一緒!
といってもジャスティンは真面目そうだから、あっという間に置いていかれそうだな…あはは…。さよならジャスティン。達者で暮らせ…
え?気が早い?

そのあとしばらく、ジャスティンと授業の話をした。
ジャスティンは飛行訓練が1番心配なんだって。それ分かる!箒は掃除にしか使ったことないもんねー。でもあたしはやっぱ心配よりワクワクのが上かな!…ほかの教科はやや不安だけれども。
…なんて話しているうちに、ハンナとスーザンが起きてきた。

「エリン、ジャスティン、おはよう」
「やあ、おはよう」
「う〜ん眠い…」
「起きてハンナ!!」

スーザンはちゃんと頭も起きてるみたいだけどハンナはまだ半分寝ているらしい…ああそっちは壁だよハンナ!

「ハンナ、三つ編みちゃんとできてないよ」
「え〜…?」
「もー やったげるからそこ座って!」

あたしはビジュアルも気にするロックガール!
ロッカーたるもの、かっこよくなきゃダメ、かわいくなきゃダメっ!
ハンナはせっかく可愛いんだから…こんなボロボロの三つ編みじゃほんとダメ!そんなのこのエリン・エーカーが許しません!

「エリンってアホだと思ってたけど意外と面倒見いいんだな」
「おいザカリアス殴るぞ。そしておはよう」
「はよ」
「あはは、ふたりとも面白い」
「おはようアーニー。何も面白くないよっ」

ザカリアス・スミスとアーニー・マクミラン。他の子たちと同じく、昨晩できた友達だ。
ザカリアスはとにかく口がよろしくない。一言余計。ハンナとスーザンは早々に「あの子苦手」と言っていたな。分からなくもないけど…。たぶん根はいい奴だと思うよ。と、適当なことを言ってみる。
アーニーはそんなあたしとザカリアスを見てなぜか絶対笑う。コメディアンか何かと勘違いしているな?!ザカリアスのことは知らないけどあたしはコメディアンじゃなくてロッカーですよアーニーくん。このギターが目に入らぬか!!

でも、まぁ。うん。
なかなか上手くとけ込めたと思う、自分でも。いや〜友達できなかったらどうしようかと思ったぜ!あたしホグワーツくる前から友達は多い方だったし、それにみんなでワイワイするのが好きだから7年間ぼっちで友達ゼロ…とか悲しすぎるもん。そうならなくて本当によかった!

「さーてハンナ、できたよ」
「ありがとう!」

手鏡を渡して出来を確認してもらう。
三つ編みの終わりに付けたライトブルーのリボンはあたしからのささやかなプレゼント!

「このリボン可愛い!」
「それあげる!あたしよりハンナのが似合うし」

すっかり覚醒したらしいハンナは鏡を動かしてあちこちから三つ編みとリボンを見る。

「本当?とっても嬉しいわ!ありがとう!」
「エリン、なかなか上手いわね。明日は私もお願いしちゃおうかしら」
「オッケー任せて!そうだ、あとでスーザンにもリボンあげるよ!似合いそうなの持ってるんだ」
「貰っていいの?」
「どうぞどうぞ!」

スーザンにはベージュのリボンが似合うと思うんだよね〜。あたしが持ってるアーガイルのやつ、スーザンのちょっと大人っぽい雰囲気にとっても合うと思うんだな!

「そろそろ朝食の時間じゃないか?」
「おっしゃー!ご飯だー!」
「大広間に行きましょ!」

みんなとワイワイ喋りながら大広間に向かう。
その途中、まだ知らない先輩や他の寮の人たちに声を掛けられた。駅でのことはさておき、昨晩の校歌の件ですっかり有名人になってしまったようだ。これもしかして校内ライブでもやったら結構な人数が集まってくれるのでは?!なんつって。

「あ、ドラコだ」

大広間の前でドラコと、その友達と思われる大きい男の子ふたりを見つけた。

やっぱりドラコはとても綺麗!ドラコとその周りは一際輝いてる。眩しいくらいだよ!
ドラコー!、と声をかけようとしたら3人はさっさと中に入ってしまった。あー…!!
慌てて追いかけるも、朝食の時間で混み合った大広間…捕まえるのはちょっと難しそうで。そうやってもたついてるうちにドラコたちはスリザリンの席についてしまった。

(わざわざ寮の席まで行ったらウザいかな…)

いつもなら、というか普段のあたしならこんなこと考えないけど、ドラコのこととなると少し思い悩んでしまう。
なぜかって?そりゃあ、嫌われたくないからだよ!!1番嫌われたくないもん、慎重にもなるでしょっ!いやね?ほかの人にも嫌われたくないけど、ドラコは…なんか、特別…よく分かんないけど……。
それに第一印象が最悪だったしさぁ…。これは自業自得ですけど〜!!チッ。
とにかく!これ以上ドラコにマイナスイメージを抱かれたくないのだ!

(焦らずいこう…うん、頑張れエリン!)

「エリンー!ご飯食べないのー?」
「はーい!今行くよー!!」
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