その言葉は、希望を齎すのか、それとも絶望に導くのか。
この時点の彼らは知る由もなかった。

今まで誰も確認したことが無いと言われている絢爛なるローレライの言葉を、真に受けて、本当なのかと問う。
天才と呼ばれた男だけは不審に思ったが、神に等しいローレライの言葉に縋りたいのは天才と呼ばれた男も他の者と変わらず、よぎった不審と不安はすぐさま胸の奥深くに沈めて、それを上回る期待が入り混じった視線で神を見上げた。


神は言った。

『お前たちが望むのであれば』


何故そこまで親身になってくれるのか、天才と呼ばれた男は疑問に思った。
しかしその思考はすぐさま、神の言葉によって、切断されてしまう。


『どうする? 行くか、行かないのか』


行く―― 一行の全員が声を一つにそろえた。
全員の胸中を満たすのは、降り積もった後悔。もしも、あのときに戻れるのなら。大切な人を喪わないように、行動するのに。アニスはイオンを、ナタリアはアッシュを、ティアとガイとジェイドは――ルークを。大切な人を、取り戻したかった。


ローレライは唇をゆっくりとつりあげて、微笑んだ。
神の微笑みに、全員が祝福を夢見た。


『そうか。では、行くといい――幸運を』


神は両手を広げて力を降り注ぐ。
眩い白光に全身を包まれた一行は同時にその場から姿を消した。


神――否、絢爛なる愚者はくつくつと嗤った。
禍々しい笑みは、神というよりも、魔王に相応しい。


過去を変えることが、希望に繋がると、誰が決めたのか。



罠にかけたのは、神の呼称を持つ、愚者だった。


迷宮の扉は開いている

(迷宮に入ることを望んだのは、彼らだった)




PM(−イオン、ルーク)逆行話。
2010.11.13


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