3.

「え、ちょっと、私お肉好きじゃないって言った気がするんだけど」

「これくらいなら食えるだろう。栄養が偏る」

「もうこれ以上成長しないんだからいいんですー。学習してね、私は、お肉は、好きではありません」

「……」

「私は、お肉は、好きではありません!」

「……チッ」

「舌打ちしやがった!!」


 家に帰ってきた時に明かりがついているというのは良いものだなと思う。温かいご飯が出来ているのもいい。そういえば、伊達モデルは全体的に料理の機能が高いのだった。燭台切光忠モデルを所持している知人は、レベルが高すぎて外食じゃ満足できないとさえ言い出した。

 そうは言っても初期機能と、無料公開程度のレシピデータなので大倶利伽羅の作る料理はシンプルだ。それでも、人の作ったものは美味しいなと思う。人と言うか、人形だけど。

 おかえりとは言わない。でも、ただいまと言えば、ああと小さく声が返る。

 おやすみと言えばダイニングのソファで静かに目を伏せる。スリープモードに移行する時の所作である。夜中にふと目を覚ました時、ダイニングをそっと覗くと座ったままに目を閉じて、まるでうたた寝をしているように見える。

 食卓に、向かい合うひとがいる。水を飲むだけだけれど、それでも、一緒に食事をして、弾むわけではないけれど、きちんと話を聞いて、相槌を打ってくれる人の声がある。
 学習をしたというのにさらりとした顔で料理に肉を仕込んでくる、私の大倶利伽羅。