薬研藤四郎は口を塞ぐ


あれから再度体を洗い、中のものを全部かき出してから私たちは風呂を出た。
予想外に風呂で運動をしてしまったのでたっぷりと水分を補給するのも忘れない。
お互い楽な浴衣姿になり、髪を乾かしあったりとじゃれあいながら執務室もどきへと戻る。
薬研の希望で室内ではなく縁側で外を眺めながらのんびりと雑談を繰り返していたのだが、いつの間にか私はまた薬研のものを中に咥え込んでいた。
どういう流れでこうなったのかは、熱くぼうっとした頭では思い出せない。
けれど風呂場での行為の名残があったおかげで、たいした愛撫なくとも私の蜜壷は難なく薬研のものを受け入れていた。

「ぁっ、はっ、あ、んっんぁ、あ、ぁあ……っ!」

柱を背に、片足を薬研に抱えられた状態で立ったまま犯されている。
彼の首に腕を回していないと足元から崩れ落ちてしまいそうだった。
全身を撫でる夜風は火照った体に気持ちよかったが違和感は拭えず、しかし口内を貪られ舌を強く吸い上げられれば頭の中はすぐに痺れて"気持ちいい"ということしか考えられなくなってしまう。

「外でするのも、好きなのか?よく締まる……っ」

外。
口を離した薬研にそう言われ、改めて私は室外で事を致しているのだと思い知らされて羞恥心がこみ上げる。
しかしそれも今の状態では快感を煽るスパイスにしかならず、きゅんと疼いた下腹部が嬉しそうに薬研のものをきつく咥え込んで話そうとしない。
この空間には私と薬研しか居ないことは私が一番理解していたのだが、薬研の黒い髪の背後にまぁるいお月様を見つけてしまう。
ああ、月に見られている。そう思った途端ぞくぞくと背中を駆け上がる快感を感じ、私も変態になってしまったのだろうかと心の中だけでぼやいた。

「んっあ、ぁあーっ、あっああっ、あ、しょこっあ、しゅき、ぁ、んあぁーっ!」

「お、急に可愛くなったな。ここか?」

「はぁっん!ぁっぁああっ、あ、ぁあっあーっ!ぁ、ぁあっう、あ、ああぁーっ!!」

変態になってしまったのなら、もう遠慮する必要も無いんじゃないだろうか。
洪水のように愛液を垂れ流す中を薬研のものにかき混ぜられ、脳を痺れさせる快感に体をがくがくと震わせながら彼の突き上げに合わせて腰を振る。
近づいてきている絶頂を手に入れようと、恥も外聞も捨て、私は薬研を気持ちよくしなきゃいけないことも忘れて快感を貪った。
神気も無しにここまで快感に酔えるのは、やっぱり普段と違うシチュエーションに私自身も興奮しているからなのだろう。

「そんな、締め付けて……出しちまうだろう、が」

「んっんんっ、あ、らしてっ!ぁ、ああっ!あ、なかっだして、ぇっ!」

私の足を抱えなおした薬研が息をつめながら零した台詞にそう応え、キスを強請るため自ら舌を突き出す。
私の願いをかなえるように薬研が角度をずらし、私の口を薬研の唇で塞ぎ舌を絡ませあう。
酸欠に陥りそうなほど何度も何度も舌を絡めあい、ぼうっとする頭から更に理性を振り落とし、お互いラストスパートをかけるように獣のように交じり合う。
そして今度は口付けたまま、私が果てたことによってうねり絡みついた蜜壷に耐え切れず、薬研もまた精を吐き出していく。
二度目とは思えないほどの勢いで熱いもので中を満たされていく多幸感にふるりと震えながら、私は自分の子宮が喜んで彼の子種を飲み込んでいくのを感じていた。

「ぁ、あ……れ、てる、なか、いっぱい……っ」

「中に出されるのは好きか?」

「すき、ん……おくでだされるの、すき」

「ははっ、今みたいにか?」

「うん、うん、んんぅっ」

中に吐き出しきった薬研が悪戯をするように奥をぐりぐりと抉り、私は赤べこのようにこくこくと頷いた。
それに満足したらしい薬研は再度口を塞いできて、口の中をかき混ぜられる気持ちよさにうっとりとする。
薬研に足を開放されるのと同時に中に入っていたものもずるりと抜かれ、うっすらと汗をかいた身体で浴衣を纏いなおしてからようやく私たちは室内に入った。

「ん、水飲まないと……」

「そうだな、脱水症状を起こされたら大変だからそれには賛成なんだが……水差しの水が切れてるな、どこにある?」

「台所」

二階にわたる房事に、私の身体は疲れを訴え始めていた。
情事が終わり服も正したというのに未だ頭は清浄な思考回路に戻っておらず、子供のように薬研に手を引かれながら室内を歩き回る。
そして二人で台所に向かうことになった時点で私は瞼を擦りながら必死に眠気を堪えていた。

「おい、大丈夫か?」

「んん……へいき」

「今剣みたいな喋りかたしといて何言ってんだ」

「いまの、つる??」

「いや、なんでもない。冷蔵庫勝手に開けるぞ?」

「うん」

薬研が冷蔵庫を開け、中に入っていたミネラルウォーターを取り出して私に寄越す。
礼を言ってからそれに口をつければよく冷えた水が喉を通っていく感覚に微妙に目が覚めた。
また静かにしていたらすぐに眠りかけまで落ちてしまうだろうが。

「はぁ……生き返った」

「悪いな、無理させちまって」

「ううん、大丈夫。まだ歩けるしね」

「てことは……足腰立たなくなる程度にやっても良いってことか」

「何でそうなるの!?」

はは、と笑う彼に冷蔵庫から新しいミネラルウォーターを取り出し差し出せば、笑いながらそれを受け取り一気に煽った。
細い喉にある喉仏がごくりと嚥下するたびに上下にゆれ、ああ彼も男なのだと思い知らされる。
少女めいた面差しに似合わず男前な彼に既に二度も抱かれているというのに、改めて認識したことで妙に顔が火照ってしまう。
何だと聞く代わりに視線を投げかけてきた薬研に、誤魔化すように私もまた曖昧に笑った。

「薬研も男なんだなって」

「そりゃ男じゃなかったら抱けないだろう」

「そうなんだけど……なんだろう、男らしさ?を感じた。うん」

「ぶは、なんだそりゃ」

「えー、喉仏とか低い声とか、男の子じゃなくて男の人なんだなーって」

「あー……なるほど」

私の発言を聞き、少し照れたように視線を逸らす薬研。
それから視線を少しさ迷わせたあと、ミネラルウォーターを置いて私を抱き寄せる。
腕の中に閉じ込められ、硬い胸板の感触を感じながら耳元で甘く囁かれた。

「な、もう一回、いいか?」

「え……」

まだする気なのか。
喉元まで出かかった言葉を何とか飲み込んでいる間にも、耳にかぷりと噛みつかれ浴衣の裾から手を差し込んで内腿を撫でられる。
そして手をとられたかと思うとまた緩く立ち上がり始めている薬研のものに触れさせられて、思わずぴくんと肩が跳ねてしまった。

「いいだろ?」

睦言のように囁かれる、色っぽいおねだりに逆らえる人など居るのだろうか。
最早声を聞くだけでじんと腰に甘い痺れが走る。頷く私に薬研はキッチンに手をつくように言われ、また背後から貫かれることになった。
しかしお風呂場や縁側のときとは違い、赤く熟れた秘部は指を入れて慣らす必要性すらなく、それを解っている薬研は私を背後から抱きしめると勢いよく中に入り込んでくる。
ずん、と奥を突き上げられ、ずくずくに熟れ未だ行為の名残が残っている中は敏感で、それだけで途方も無い快感が背中を駆け上がる。
Gスポットを強く押し上げられる体勢に、鼻から抜けたような声が私の口から漏れた。

「うぁ、あ……っん、はぁ……っ」

「いいな……アンタの中、何回やっても飽きない」

「ぁ、ん……あ、はっあ、んっ、きもち、い?」

「ああ、すごく」

ぴんと伸ばした足から力が抜けないよう気をつけながら、シンクに着いた手が汗で滑りそうになるのをぐっと堪える。
最初は根元まで深く挿入していた薬研だったが、動きづらいと思ったのだろうか?浅いところで何度も何度も浅い挿入を繰り返し始める彼に私はびくりと体を震わせた。
この体勢とその責め方は、尿道の裏側を――Gスポットを強く擦り上げられ、奥をがんがんに突き上げられるのとはまた違った快感がある。
腰が快感とその熱で融けてしまいそうな錯覚に陥りながら、彼にゆるゆると揺さぶられるがままに私もまた夜のキッチンで嬌声を上げた。

「うあ、ぁ、あーっ、あっ、それ、それきも、ちい、んっ、あっぁぅっ、んんっ!」

「そうか、ここが好きか。じゃあもっとしてやるよ」

そう言って彼は浅い挿入を繰り返す。カリ首にひっかかれるのが、硬い先端で押しつぶされるのがたまらなく気持ちが良い。
口付けができないのが残念だったが、さりとて激しすぎるというわけでもないその刺激は徐々に私の脳味噌を溶かしていく。
甘ったるく私を溶かしていくだけの快感に酔いしれていると、私を抱きしめていた薬研の両手が徐々に下の方へと移動していく。
そして片手が下腹部で肌の上から子宮を押し、もう片方の手が秘芯を嬲り始めたところで私のぬるま湯に浸かるような快感は終わりを告げた。

「いあっ!?ぁ、ぁああっ!あ、は、ぁあーっ!あ、ぁあ゛ーっ!!」

ただでさえ数度の交わりで身体は出来上がっているというのに、秘芯から与えられる快感な鮮烈すぎた。
子宮を外から押され、気持ちのいいところを背後からゆるゆると刺激され、とっくに赤く熟れている秘芯をこね回される。
何人もの神様に躾けられた私の身体は的確に快感を拾い上げ、彼のものをきつく締め付けて奥へ奥へ飲み込もうとする。
激しく突き上げる必要性など最初から無かったのだ。彼が少し手を弄り腰をゆするだけで、私のほうが彼を高みへと導いてやまないのだから。

「ん、搾り取られそうだ……っ」

はぁ、と熱い吐息を漏らしながらそう呟くものの、彼の手と腰は動き続けている。
私といえば瞼の裏にちかちかと火花が散っているのを眺めながら、必死にシンクに手をついて快感に耐えるしかない。
かき出された彼の子種と私の蜜壷から溢れた愛液がぽたぽたと溢れて床を汚し、内股を伝って肌を汚していく。
密着して運動しているせいでうっすらと汗ばんだ肌はとっくに色づいていて、うなじに軽く噛みつかれればびくんと大げさなまでに跳ねた。

「んぁ、ぁ、あ、らめ……ひあぁ、う!?」

「ここは駄目か。じゃ、こっちはどうだ?」

うなじをべろりと舐め上げられ、楽しそうに喉の奥で笑いながら耳たぶをしゃぶられる。
わざとらしく水音を立てながら耳を舐められるのだって無理だ、ぞくぞくと背中を駆け上がる甘い痺れが私の力を奪おうとする。
同時に子宮を押され秘芯をぐり、と強く押しつぶされながら浅く突き上げられて、耐え切れなくなった私は大きく腰を跳ね上げながら絶叫した。

「ぁ、だめ、ぁ……あ、ぁあっ――んぁああぁあっ!!」

全身の筋肉を硬直させながら、足の爪先から頭の天辺まで突き抜けるような快感に全身をがくがくと震わせて絶頂に酔う。
同時に私の腰を強引に引き寄せた薬研が浅いところで遊んでいたそれを一気に奥まで押し込んで収縮する中を丹念に味わった後、とろりとした白い欲望を子宮に向けて吐き出していく。
甘ったるい吐息が意識せずとも唇から漏れ、汗ばみ色づいた肌を撫でられるたびに過敏になった身体は過剰に反応した。
ぬちゃりと音を立てて秘芯から離れていった指が悪戯をするように乳房を揉めば、今度こそ耐え切れなかった私の手から力が抜けた。
そうなれば当然私の身体は崩れ落ちるが、おっと、なんていいながら薬研が私を片手で抱え、苦笑しながらそのまま横抱きにして抱き上げてくれる。

「ふあ……ぁ、ふ……」

「よしよし。じゃあそろそろ布団に行こうな」

ミネラルウォーターを私に持たせた薬研は、その言葉の通り執務室もどきの部屋の隣に敷いてある布団へと運んでくれた。
問題はその後だ。突っ込まれはしなかった。しなかったが、それでも休憩にはならなかった。
そもそもずっと布団でまぐわいあっているのならばともかく、薬研は休憩を挟みいちいち場所を変えて事に及ぶ。
そのせいで体のアップダウンが激しく、理性を手放して快感に溺れられるわけでもない。
いつも以上の羞恥と疲労が蓄積しているのは確実で、そんな中出来上がった体を手と口だけを使って蕩けさせられるなど誰が予想しようか。

「はっ……ぁ、ん、んあっ……ふぅーっ、ぅん」

足を大きく開いて座らされ、脇腹を舐められる。後ろ手について体を支えている両手ががくがくと震えていたが、倒れこむことは許されていない。
内腿を撫でていた掌がふくらはぎをいやらしく撫でたかと思うと、背中へと伸びて背骨をなぞるように指一本で撫で上げる。
もう片方の手はぐちゅにちゅと音を立て精液と愛液が混じりあいむせ返るほどの性の匂いを放つ蜜壷を弄り続けている。
肌をぬらすのがもう唾液なのか汗なのかわからない。乳房に軽く噛み付かれ、鎖骨をしゃぶられて私は背中をのけぞらせた。

「っは、甘いな……」

艶めいた呟きが耳に届く。
同時に太ももを肩にかけて抱えられ、耳たぶの隙間をなぞるようにして丁寧に舐められ、どろどろに溶けた蜜壷を中のものをかきだすように混ぜられる。
絶頂に至るほどではない。しかし頭の中が蕩けて甘ったるい痺れに酔いしれることができるような、心地よい快感に支配されている。
肌に触れられるだけで気持ちがいい。噛みつかれればぴりりと痺れて目がさえる。舐められればそこから融けて行く。
その証拠とでも言うように、蜜壷の中はかき混ぜられる度にぷちゅくちゅと音をたてながら蜜を溢れさせてやまない。
汗ばんだ肌は薬研の言うとおり甘いものではないだろうに、胸の突起に吸い付いた彼は同じ事をもう一度呟く。

「アンタの肌も、汗も声も……ぜんぶ、あまい」

「んぁう!ぁ、ぁあ……っ、ひっ、ぁ、んん……っ!」

逆だろう、とぼんやりと思った。甘ったるいのは薬研の声だ。言葉だ。
彼の指先と唇から与えられるもの全てが甘すぎて、これが仕事なのだと忘れて心まで溺れてしまいそうになる。
指を折り曲げられ、上側を擦られて声がひっくり返る。首筋に顔を埋められ、薬研の熱い吐息がかかってそれだけでも感じてしまう。
かと思うと肌を撫で回していた手が肌の上から子宮をぐっと押しつぶし、じんと痺れるような深みのある快感にくらりと眩暈がした。

「ぁ、それ……っ、だめぇ、んっ、ぁあ……っ」

「駄目なのか?こんなに気持ちよさそうなのに」

「あたま、溶ける……ふあ!ぁ、ぁあっ、あ、んぁあっ、い、ぁあ、く、ぅん……っ!」

「いいぜ、馬鹿になっちまえよ。溶けて溶けて、なぁんも考えられなくなっちまえばいいさ」

ぐちゅり。
優しく囁かれながら子供の指で中を擦られ、何度も出し入れされる。いいところにも掠めるのに決定的に届かないそれがもどかしい。
外からだけじゃなく中からも子宮を押しつぶして、突き上げてくれたらどんなに気持ちがいいだろうと考える。
口をだらしなく開いて舌を出し、犬のようにはぁはぁと口で呼吸をしていればそれすら薬研にふさがれた。
ほんのりと汗の味がする口付けを繰り返し、舌を絡めて唾液を飲み込みあう。目じりに溜まっていた涙が流れたことに、彼は気付いただろうか。

「はっ……ん、そろそろ、いいか?」

散々唇を貪りあった後、僅かに頬を上気させた彼にそう確認されて、私はこくんと頷いた。
薬研は枕を手繰り寄せて私を仰向けに寝かせると、膝裏に手を入れてぐっと足を大きく広げさせる。
秘部を見せ付けるような体勢に羞恥心が湧き上がるも、今更かと思うと僅かに恥らうだけで終わった。
むしろ広げられた足を、膝が肩につくほどに押し上げられ僅かに息苦しさを感じる。

「ん……きて」

私の足を押さえつける薬研の手に自分の手を重ねて、そう誘えば硬くそそり立った薬研のものがゆっくりと入ってきた。
抵抗感なくぬぷりと熱く愛液に塗れて柔いそこに、わざとらしく時間をかけて挿入していく。
そうすれば私は背中を駆け上がるぞくぞくとした感覚に喉を鳴らし、彼のものをきゅぅと締め付けるのだ。

「は、ぁう……ん、んんー……っ」

「ぁー……すごいな、あんなにしといて、まだこんな……」

僅かに眉をしかめながら薬研が呟くのを聞いていた。
上からのしかかるように全てのものを埋め込んだ薬研と再度舌を絡めあった後、自分の首に腕を回すように言ってくる。
言われたとおり薬研の首に腕を回して密着すれば、その熱にお互いの境目が解らなくなってしまうような錯覚を覚える。
腰を密着させてぐり、と奥を抉られればそれだけで私の腰は跳ねた。

「んっ、ゃげんっ、はやく……っ」

「はは、そう急かすな、ほらっ」

ほら、という言葉と共に僅かに抜かれ、そして強く腰が打ち付けられる。
子宮を押しつぶさんばかりの勢いに体の芯から痺れるような熱く深い快楽に、私は目の前がスパークした。
念入りにほぐされ溶かされた身体はこの快楽を待っていたというかのように全身で快楽を感受している。
私が感じているのがわかったのだろう。薬研は頬に一つキスを落としてから、粘着度の高い水音を立てながら腰を動かし始める。
その度に中を擦られ、抉られ、押しつぶされる快感に私は喘ぎ、悶え、締め付けて放そうとしない。
段々と抽送のスピードを上げていけばそれだけ私の快感も煽られて、薬研のことをきつく抱きしめながら涙で枕をぬらす。

「んぁ、ぁっああーっ、あっ、うあ、ぁあっ!あぁあっ、ぁっ、ぁあーっ、やっ、んぁああっ!!」

耳元で薬研の洗い息遣いが聞こえた。閉じたくなる瞳を僅かに開けて薬研の顔をのぞき見れば、僅かに眉根に皺を寄せて瞳を閉じ、余裕のない表情がそこにあった。
しかしすぐにそんな余裕もなくなる。体の奥底から湧き出る熱が思考も何もかもをうやむやにして、荒波のような快感に流されてしまう。
揺さぶられるたびに頭の中が真っ白に染まって、肌と肌がぶつかる度に胸が揺れて、腰から全身に伝播する甘い電流にも似た感覚に全てを委ねてしまう。

「うあ、ぁっぁあっ、ぁ、あぁあーっ、あっぁああーっ、あぁっあ、ぁあ、っ――ひぐっ!?んっ、ぁ、あ゛ぁああーっ!!」

喉が引きつり、意識したくなくても暴虐的な声が唇から止まることなく流れ続ける。
ストロークが段々と深くなり、最早暴力的といっていいほどの快感に耐え切れないのだ。
許容量を超えた快感に押し流され、本能のままに薬研に揺さぶられ、喘ぎ、絶頂を望む。
昂ぶる身体はその解放を知っていて、同時に子宮が子種をくれと強請るように疼き始める。
水音と、肌と肌がぶつかる音、お互いの喘ぎ声が部屋に響き渡る中、早く出してと息も絶え絶えに薬研に強請れば、首筋に痛いくらいに噛み付かれてしまった。

「んあ゛ぁああっ、あぐっあ、ぁあっん、ふっう、うあ、あああぁっ、あ、んあ゛あぁーーっ!!」

舌を突き出し口を大きく開いて必死に呼吸をする。心臓が破裂しそうなほど鼓動を強めているのが解る。
飲み込めなかった唾液が顎を伝うが、それを薬研に舐めとられ口を塞がれ、身悶える私を押さえつける腕の力が強まる。
ああ、彼も限界が近いのかと本能的に悟った私は共に果てようと舌を貪り子宮を疼かせる。
高みへと押し上げられた身体は求めていた絶頂がすぐそこに在ることを知っている。
そして薬研が唇を離した瞬間、それは訪れた。

「あ゛あぁあっ!!あ゛ぁあーーっ!ぁ、ひっぐ、んっんあ、ぁ、あ゛、きちゃ、ぁ、あ――――んぁあああっ!!」

それは今までで一番深い絶頂だった。
後から思えば薬研は一度も淫紋に神気を注がず、とにかく時間をかけて私の体をほぐし開いて絶頂へと導いたのだから当たり前といえば当たり前だ。
しかし私は深く引かない快楽の波に恐ろしさすら覚え、必死に目の前の薬研に縋りつく。

その薬研自身もまた、私の絶頂に合わせて果てていた。
汗ばんだ額に髪を張り付かせ幼い見た目にそぐわない壮絶な色気を放ちつつ、僅かに声を上げながら一番奥へと子種を注いでいた。
それだけでは飽き足らず全てを搾り取ろうとする私の蜜壷に余韻を煽られたのだろう。
艶めいた吐息を漏らし、舌なめずりをしてからしがみついている私をその菫色の瞳で見下ろしていた。

「凄いな……搾り取られて、腰が抜けそうだ」

「や、ぁん……うごか、ないで……っん」

ほんの僅かに動かされるだけで、私の身体はぴくりと跳ねる。
そんな私の目じりが涙で濡れていることにようやく気付いたのか、薬研は押さえつけていた膝裏から手を離すと私を優しく抱きしめてきた。
目じりに口付けを落とされたのをきっかけに、次々と唇が降ってくる。
最終的には唇へと辿り着き、未だ中に納まっている薬研のものを感じながら今までとは打って変わって優しい口付けに酔いしれる。
貪りあうような激しさはない、舌を絡めながらも上あごを舐められ擽られ、余韻を助長するような優しい口付けだった。

「はぁ……ぁ、ん」

「疲れたか?」

「ん……へいき」

「じゃあもうちょっとだけ付き合ってくれ。あんたの唇を、もう少しだけ吸っていたい」

そう言って薬研はまた唇を押し付けてくる。その薄い唇はもう冷たくない。
しっとりと汗に濡れながらも指どおりの良い薬研の髪の感触を楽しみながら、彼との口付けに集中するために目を閉じる。
啄むような口付けを何度も繰り返すのが可愛くて、思わず頭を撫でてしまう。
それから肌を限界まで密着させたまま、薬研の満足するまで私達は口付け続けていた。

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