三日月宗近は花を愛でる

「ふ、ぅ……うぁ、あぁ……っ」

腰をゆっくりと落とせば、ずぶずぶと中に埋め込まれていくものの感覚。
待ち望んでいた男根を飲み込んでいきながら、私は背中を駆け上がる快感に恍惚とするのと同時に満たされていく幸福感を感じていた。
狩衣の青で視界を一杯にしながら、三日月と向かい合った私は彼のものの上に自ら腰を落としている。
正直過敏になったそこに三日月のものを迎えるだけでも今の私にはいっぱいいっぱいだった。
しかし三日月が子供をあやすように私を抱きしめ、ゆるゆると頭を撫でて褒めてくれるから、最後まで頑張れたのだ。

「よしよし、偉いぞ。後少しだ。全部咥えられるか?」

「ん、頑張りま、す……っんン!ぁ……奥、あたってりゅ、ぁ、う……っ」

彼の広い胸板に縋りつき何とか全てを飲みこもうとするものの、既に硬くそそり立ったものは奥まで入ってしまっている。
どうにかならないかと腰を捻ってみたり息を吐いてみたりと頑張ってみたもののどうにもうまくいかない。
まさか全て飲み込むことができないとは思ってもおらず、ひぃふぅと荒い呼吸を必死に整えながらも尽力するが結果が伴っていない。

「ふむ。どれ、手伝ってやろう」

「んぁっ!?あぁあうっ!!」

ごりゅ、と聞こえる筈のない音が聞こえた気がした。
腰を捕まれ無理矢理下へと降ろされた瞬間、中をみっしりと満たしていた彼のものが思い切り子宮口を押しつぶしたのだ。
お互いの茂みがぴったりとくっついて絡み合い何とか三日月のものを全て飲み込めたことを悟るが、うまく呼吸ができずに三日月にしがみつき助けを求める。
三日月はしっとりと汗に濡れた私の髪をあやすように撫でた後、金魚のように口をはくはくと動かす私の口に口付けを落とす。
舌を絡め強く吸われ、息も絶え絶えに三日月の口付けに応えればほろほろと涙が頬を伝った。

「よしよし、よく頑張ったなぁ。全部入ったぞ」

「ん……月、つき、つき、ひ、っぅ……つきぃ」

「存分に甘えるが良い。遠慮はいらん。こうして深く繋がっているのだから」

泣き出す私に口付けの雨を降らせながら、理性の融けた私を甘やかし微笑む三日月。
その口付けの合間に何とか息を整えた後、すぐに動き出すであろうことを考えて三日月の背中に腕を回す。
視界一杯に広がる狩衣の青にきゅぅと中に入っていたものを締め付けたものの、何故か三日月は動き出すことなく私の顎をすくい再度口付けを繰り返した。
その後もだ。やわやわと胸をもまれたり、背中を指で撫でられたりということはあるものの肝心の本番が始まらない。
中を擦り上げ、突き上げようとする動きは微塵も見られない。いっそのこと私が動いたほうがいいのかもしれにない。
そう思って腰を上げようとしたものの、それもやんわりと三日月にとめられてしまった。

「動き出すのはいつでもできる。この熱く濡れ、俺のものに絡み付いてくるこのほとをもう少し堪能させてくれまいか」

そう言われてしまえば反対などできるはずもなく、私は三日月と抱き合ったままひたすらにいちゃつくだけという甘い時間を過ごすことになった。
中を満たしているものの硬度を保つためか時折腰を捻って中を刺激されたり私の情欲の炎を消さないために緩やかな愛撫あるものの、それ以外は本当に甘やかされるだけだ。

「愛いなぁ。はは、そのような顔をして……中のものが気になるか?だが抜いてはならんぞ。もう少しこの感覚を楽しませてくれ。
ん、そのように締め付けて、悪戯のつもりか?だがまだ駄目だ。動いてはならんぞ」

意地悪、とぼやいてうつむけば、すうと背中を駆け上がる一本の指。反射的に顔を上げれば口付けられて、たったそれだけで戻ってきたはずの理性は蕩けていく。
それからどれくらいそうして抱き合っていたのかは正確な時間はわからない。しかし甘やかな時間も緩やかに終わりへと近づいていった。
最初に感じたのは違和感だ。淫紋の下、子宮に感じた僅かな違和感。少しむずむずとするような、そんな感覚。
気のせいだろうと無視できたのは最初だけ、段々と強くなっていくむず痒さは明確な疼きとなって子宮を支配し、私の全身へと伝播していく。

「ん……ぅ、あ……つき、熱い……」

いつの間にか動いてもいないのに呼吸が荒くなり始めた。
疼きを誤魔化すように、それでいてそれとなく続きを促すように三日月のものを締め付けてみるものの、疼きを煽るだけで何の解決にもなりはしない。
結合部からじわじわと熱が広がり、一度は幸福感に満たされた身体がまたもや情欲の炎に支配されていく。
耐え切れなくなった私が熱いと一言漏らせば、そろそろかと三日月は微笑み私を優しく布団の上へと押し倒した。

「それではそろそろ堪能させてもらうぞ。なに、存分に鳴くがよい。咎めはせん。むしろそなたも楽しむが良いぞ」

そう言って僅かに腰が引かれる。三日月の言葉の本心を知る前に、私は今まで経験したことのあるものとは桁違いの快感を叩きつけられ、その瞬間息をするのも忘れた。
ゆっくりと始まったピストン運動。彼のもののカリが中を擦り、硬い先端が中を掻き分け一番奥で子宮口とキスをする。
たったそれだけのことがとてつもない快感を生み出していて、三日月に押し倒された私は反射的に逃げ出そうとしたのを手首をつかまれその場に押さえつけられてしまった。
そうすれば逃げることなど不可能に等しい。ゆっくりと出し入れされるたびに私の喉は震え、嗚咽を漏らし、腰から脳天めがけて駆け上がる鮮烈な快感に私の身体は思い切り身悶えた。

「うあっ!?あ、ぁああーっ、あぁあっ……ぁっんんぅうっ、ん、ひっう――っん!!」

全てはこのためだったのだと、嫌というほど思い知らされた。
背中を駆け上がる甘い電流に頭が真っ白に染まり、ちかちかと火花が散る視界の中で三日月が悠然と微笑んでいるのをどこか別世界のことのように見る。
降り注ぐ口付けすら今の私を追い詰める要因にしかならず、段々と早くなる三日月の腰の動きに私は髪を振り乱してひたすらに喘いだ。
快感を楽しむ余裕なんてあるはずもない。あるのはただひたすらに追い詰められていく感覚のみ。
全身が性器になってしまったのではと錯覚してしまいそうなほどの強い刺激に自然と涙が零れてしまう。
手首をつかまれ布団に押し付けられているのも、興奮を煽る材料でしかない。
ぱちゅ、ぱちゅと結合部から響く音を聞きながら、段々と激しくなっていく突き上げに揺さぶられるがままになる。
時折耳に届く三日月の荒い息遣いが、媚薬のように体を巡った気がした。

「あ゛ぁーっ、あっん、んあ、あっああっ、ぁぐっ、うぁ゛っ、あ、ふああっ!!」

開いていた足が三日月の肩にかけられた。体重をかけて中をぐり、と抉られればそれだけで身体はびくりと跳ねる。
汗で濡れた肌に髪が張り付き、同じく汗で湿った布団を背中に感じたものの、不快だと感じる余裕もない。
限界まで腰を押し付けられ高まってきた快感にもがくのを押さえつけられることに歓喜した本能だけが私を突き動かしている。

「これも、邪魔だな……」

そう呟いた後、私の手首を開放し三日月が身に纏っていた狩衣を乱暴に脱ぎ放り投げた。
露になったインナーと硬い胸板に見とれる暇も無くすぐに抱きすくめられ、腰を打ち付けられて視界がひっくり返る。
舌を突き出して必死に呼吸をしながら、嫌がおうにも高まる快感に恐れをなして三日月へとしがみつく。
太ももまでべっとりと愛液でぬらしながら本能のままに三日月のものを咥え込んで喘ぐ私に、下卑た至福のときが訪れようとしていた。

「んあ゛っ、あ、ぁっ、あぁーーっ、あっうぁあーっあーっあ、イくっんあ、あ、あ゛ぁあ、あ、ああーっあ、イっあ、あっ、――っ、うあああぁあっ!!」

瞼の裏で火花が飛び散り、一際大きく腰が跳ねた。
背中が限界までそらされ、三日月のインナーに爪を立てながら許容量を超えた快感に息を止めて思考と意識を明け渡す。
すぐさま酸素を求めて呼吸は再開されたが、中に限界まで埋められた三日月のものもまたびゅるびゅると吐き出していて、私が気をやっている間に三日月もまた果てたのだと悟った。
中に吐き出される子種に、子宮が喜んでいるのが解る。ちゅうちゅうと三日月のものの先端に吸い付いて離れない子宮口が、一滴も漏らすまいとしているかのようだ。
どろどろに融けた中で子宮口に直接吐き出された熱いそれは私の余韻を煽り、恍惚としながら蕩けた顔を晒していた私の唇から甘いと息を漏らさせた。

「俺の子種が気に入ったようだな……はは、どれ、もっと飲ませてやろう」

「いっ!?あ、ちょっん、まぁっあ、あっぅああぁう!?」

肩にかけられていた足が外され、三日月の腹の上で胡坐を組まされた。勿論、結合部はそのままに、だ。
足首同士を引っ掛けあうようにして無理矢理組まされたのだが、そのせいで三日月のものを複雑に締める羽目になり、結果私の快感は更に増した。
この体位は嫌だと泣いてみても三日月は許してくれず、また私の両手首を掴んで腰を打ちつけ始める。
ぐっしょりと濡れた布団に新たな愛液が飛び散ったが、Gスポットをカリで強く引っかきながら浅い挿入を繰り返すせいで私は布団の上から逃げ出せそうに無い。
ぬぷぬぷと熱く熟れたそこを何度も出入りするものはちっとも萎えておらず、三日月もまた例に漏れず絶倫なのだと思いいらされてしまった。

「うあっ!?あっああっ、いぁ、あっあ゛ぁああぁっ!!しょれっ、しょれらめぇっ、あ、しまりゅっあ、しまるっからぁああ、あっんっんううっ!!」

「ああ、よく締まるな。気持ちがいいぞ」

くぽくぽと空気を含んだ粘着質な水音を立てながら三日月は容赦なく腰を振り続ける。
泡だった愛液だか精液だか解らないものが結合部の隙間から漏れていたが、勿論私が気付く筈もない。
私の手首を掴んでいた筈の三日月の手はいつの間にか私と指を絡めあっていて、強く手を握り合いながら気付けば三日月にあわせて腰を振っている自分が居た。
イったばかりで辛いのに、過敏な体には強すぎる刺激なのに、こうした端々に愛情にも似た何かを感じて結局それを受け入れてしまうのだ。
そう、全てを受け止めたいと、そう思ってしまった。

「らしてぇっ、あっああぁ、おぐっあ、月のっあっ月の、ほし、あ、ぁあ゛ぁあーーっ!!あっんぁあうっ!ぐりぐりって、あっあ、びゅぅってしてぇっ!!」

「愛らしいおねだりだな、ここは応えねば男が廃るか……っ」

もしかしたら、さっきの射精に神気が少し混ぜられていたのかもしれない。
しかしそんなこと微塵も考える余裕も無い私は、最早何を言っているか解らないまま子種をくれと三日月にねだっている。
一番奥で出してくれとはしたなく叫びながら、三日月と指を絡めあいながら再度押し上げられ始めた高みへと昇ろうとしている。
激しくなった突き上げに合わせて胸が揺れているのを感じながら、もう何度も感じたことのあるあの甘美な瞬間を得るためきゅうぅと三日月のものを締め付けた。

途端、三日月が小さく息を詰めながら動きを止めた。
そして一番奥まで叩き込んだかと思うと、私の上に覆いかぶさりやや乱暴に唇を重ねながらどくどくと欲望を吐き出していく。
胸を揉まれ人差し指で胸の突起をくりくりと弄られながら、中に吐き出されるものに止めをさされ私は緩やかに絶頂へと上り詰めた。
隙間を縫うようにして満たしていく熱いものは、子宮だけでなく私の脳味噌も溶かしていく。
唾液を交換し合いながらびくつく体で必死に三日月に縋りつき、得られた絶頂を余すことなく飲み込んで私はとろりと瞳を細めた。

「んっ、う……ふあ、あ、なか、でたぁ……」

唇を離した瞬間どこか夢心地のまま呟いた私に三日月はくすりと笑うと、私の背中に手を入れて私の上半身をぐいと持ち上げる。
対面座位をとらされた私は小さく喘いだものの、心地よい余韻にもう少しだけ浸りたくてまた口付けをねだった。
その願いはあっさりと叶えられ、お互いに唇の角度を変えて何度も何度も口付ける。
三日月の首に腕をまわし、唇を貪りあうこの瞬間がなんとも心地よかった。

「まだ、いけるか」

「ん……だいじょうぶ」

「そうか、なら俺の腕の中で美しく咲いてくれ」

なんとも雅な台詞と共に、首筋にキスを落とされる。
再度室内に嬌声を響かせながら、夜は更けていった。










翌朝、私が目を覚ましたのは三日月の腕の中だった。
硬く逞しい胸板に頬を寄せて眠っていたらしく、とろりと溶けた思考のままその決め細やかな肌に頬ずりすれば、頭上からふってきた微かな音と共に三日月もまた目を覚ましたことを知る。
三日月の浮かぶ瞳を細めた彼におはようという前に腕の中に閉じ込められたかと思うと口付けが振ってきて、まだ昨晩の名残のある布団の中で三日月といちゃつく。

「んぅ、あ……っ、そこ、だめ……今凄く敏感で、ぁんっ」

足を絡めあい、三日月の太ももが一糸纏わぬままの私の割れ目を押し上げた瞬間過剰なほどに身体が跳ねた。
どうやら昨晩の名残が今だ色濃く残っているらしく、僅かな刺激にも過敏に反応してしまうようだ。
三日月はそれにくすりと笑みを零すと、再度口付けてから延長は可能かと私に囁く。

「平気、だけど……まだするの?」

「あまりにも愛らしい花なのでな、我慢できそうに無い」

彼もまた僅かな装飾品だけをつけている美しい肉体を惜しげもなく朝日に晒しながら、そんなことを呟いた。
私は手を叩いて式神を呼ぶと、現れた小さな彼らに延長をお願いとだけ告げる。
彼らはこくりと頷いて了承の意を告げると、その場でどろんと姿を消した。

「摘んでは駄目よ、愛でるだけね」

「解っているとも」

三日月に合わせてこじゃれた台詞を言ってみたものの、どうも性に合いそうにない。
お互い笑みを浮かべながら再度口付けあい、襖の隙間から差し込む朝日の下で唇を貪りあう。

どろどろに溶かされた理性が帰ってくるのには、もう少し時間がかかりそうだった。

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