B
いつもと変わらない大講義室。
どこの大学にもあるような、雛壇みたいに机が段々で並んでいる教室。
そこで私は、下から7列目の、一番端っこの机にノートとペンを広げて座ってる。
ふいに、キンキン響く特徴的な声と共に、団体さんが講義室の中へと入ってきた。
ざわざわ賑やかな彼らは、真っすぐに上へ上へと昇ってくる。
一番後ろを陣取るから、難癖をつけられるのならばと今日も今日とてこの講義室の一番後ろの2列はすっからかんだ。
正直見えにくくて仕方ないと思うんだけど、まあ、それはどうでもいい。
一人二人とすれ違っていく。
多種多様な香水の匂いがして、集団でこんなにも違う匂いを纏ってたら混ざって臭くなりそう、とぼんやり思う。
しかしその中でふいに、ふわりと嗅ぎ慣れた匂い、、、、、、、を感じて。
私はそっと、机の端に、手を置いた。
「────」
するとすれ違いざまに、するりと撫でられる、手の甲。
そうして、くすりと笑う、誰かの微笑み。
──この感じだと、今日も来るかな。
そう思って、撫でられた手の甲を自分の指でも撫でながら、どんどん人が増える講義室に私はふうと息を吐く。
電子ロック式の鍵だと、こういう時楽だなあとか、思いつつ。
すっかり二人分の料理を作るのに慣れてしまった私は、今日も今日とて来訪者を待つのである。
そろそろ、ダブルベッドに変えなきゃね。