B
ヴヴヴ、と音が聴こえる。
それは下方から聞こえてきて、その振動音と共に着実に鶴丸の理性をどろどろに蕩かしているのだ。
口を開けば、信じられないような声がこぼれる。
頭可笑しいんじゃないかとすら思ってしまうような、馬鹿みたいな言葉。
そんな言葉が次から次へと溢れ出ては、自分を散々甚振り続ける審神者に攻め立てられていく。
もう、どうしてこうなってしまったのかも、どうすればこれから解放されるのかも、鶴丸にはわからなくて。
ただ次から次へと与えられる快感の波に、拒むことすら許されず鶴丸はずぶずぶと溺れていってしまうのだ。
こんな感覚は、初めてで。
性行と言うものが、こんなにも気持ちいいものだなんて、鶴丸は初めてしった。
いつも自分で擦るのとは、まるで違うのだ。
奥を突かれれば突かれる度、爪先から頭に掛けてびりびりとした強すぎる快感が襲ってくる。
なのに腰はもうずっとぞわぞわと熱くおかしな感覚が終わらなくて。
自分で揉んでた時はなんにも感じなかったたわわな胸も、今じゃあ息が触れるだけでぞくぞくと腹の奥を熱くさせるのだ。
──やばい、この身体は、まずい。
どこもかしこも、開発され過ぎていて。
そしてこの審神者は、彼女自身が言っていたように、この身体のことを知り尽くしているのだ。
彼女がやることには、全てが意味があって。
彼女がこの身体に触れれば触れるだけ、鶴丸の頭は真っ白になって何も考えられなくなってしまう。
このままじゃあ、戻れないとこまで落ちてしまいそうで。
それがあまりにも怖くて、ひんひん泣きながら鶴丸は許しを請い続けるのだ。
どうか謝るから、もう許して──と。
「あ゛〜〜っ、あっあ゛ッ!はあっ、ア゛っあぁああっ!!!」
「すっごーい!さっきからお腹すっごいうねってる!バイブ入れるとこうなるんだ!こうなる時いつも意識無かったからわかんなかったわ」
「ん゛んんっ、ひっ、あ゛っあーーっ、ありゅ、ありゅじぃぃっ……!もっ、やっ、ア、っ、ああ゛〜〜〜〜っ!」
必死に紡いだ言葉は、けれどちゃんとした形を作れていなかった。
今鶴丸は審神者の胡坐に納まる様に後ろから抱き抱えられていた。
足は大きく開かされていて、鶴丸の、今は小さな手を包み込むように上から握られて、鶴丸を攻め立てるその"ばいぶ"を動かされているのだ。
下品な水音を立てながら振動するそれは、先っぽがとげとげした可笑しな形をしていて。
最初見た時は、こんなの入るわけがない、こわい、と本気で泣き縋った鶴丸に、けれど審神者はにったりと笑うだけで聞き届けてはくれなかった。
入るわけがないと思っていたその道具は、しかし鶴丸の予想を外れて実に簡単にこの身体の中に入ってしまって。
驚きに言葉も出ない鶴丸を余所に、審神者は無情にもスイッチを押してしまったのである。
この"ばいぶ"という道具は、様々な動きをするもののようで。
縦に動いたと思ったら、うねうねと横に動きはじめたりなどと、鶴丸の予想を簡単に越えて翻弄してくるのだ。
──いや、一番に鶴丸を翻弄しているのは鶴丸を抱き抱えるこの審神者だろう。
なぜなら、彼女こそが鶴丸にこの道具を握らせ、どう動かせるかを支配しているのだから。
「あ゛ーーーッッ!!くるっ、アっ、くるっうぅう゛!!んっあっア、っひあ゛っア゛!!」
「またイった?これで何回目だろうね。いや〜〜さっきは理性ぷっつんしたかなーって思ったけど、持つねー鶴丸ってば」
──でもそろそろ素直にならない?もっと可愛い鶴丸がみたいなあ。
わざと低くした声で耳元で囁かれて、それだけでぞくんとまた腹の奥は熱くなる。
それは紛れもなく自分の声な筈なのに、なのにこの身体は、馬鹿みたいにその声にすら感じ入ってしまう。
馬鹿だ、この身体はきっと馬鹿なのだ。
鶴丸に、男である鶴丸にそんなことを望む審神者だって、きっと馬鹿で。
──けど、一番の馬鹿は、そんな馬鹿にいいようにされている自分自身に他ならない。
後悔なんて、ものじゃない。
なんであの時、あんな不躾にこの女の身体を弄んでしまったのか、鶴丸は蕩ける頭で何度も何度も悔やんでいた。
あの時自分の興味心に負けなければ、それらしい態度をしていれば、こんな目には合わなかった筈のなのに。
「は、っはあっあっはあっ……んんっ!!」
「んじゃあ、バイブは一回休憩しよっか?」
そんな言葉を優しく囁かれて、不覚にも、更に鶴丸はきゅん、と膣が引き締まるのを感じてしまった。
この言葉が、この女が決して優しくないことなんて、もうわかりきっていることなのに。
ああ、いやだ、どろどろと沈んでしまいそうな、自分がいやすぎる。
「あ、ありゅ、ありゅじ……も、ゆるひて、んっ、も、むりっ、あたっあたま、おかひくなるかりゃ、」
「あははっ呂律まわってない」
鶴丸の必死の訴えを、審神者は実に面白そうに笑い飛ばして流してしまう。
迷う素振りすらみせやしない。
こいつやっぱり性格が悪い。
再確認する鶴丸だった。
そんなはふはふと息を乱す鶴丸を、審神者は今度はうつ伏せにするように寝転がせた。
もう碌に力の入らない鶴丸は、されるがままだ。
腰を突き出すような体勢にされて、嫌な予感がふつふつと湧き上がってくる。
──休憩といったくせに、この女、またおっぱじめる気なのか。
そうして、そういう嫌な予感と言う物は、総じて当たるものなのだ。
「あ──あぁぁあ゛ああ!!!?」
「ん〜〜っ、やっぱっ、きっもちいーー」
ずぷずぷと容赦なく奥まで熱い楔を打ち込まれて、鶴丸は背中まで仰け反らせながら大きく喘いでしまう。
ぞくぞくと、駆け巡る感覚が止まらない。
さっきの道具で散々いじめられた"ぽるちお"は、鶴丸が思っていた以上に敏感になってしまっていたのだ。
「ひっ、ひいっ、ふうっうぅうう゛〜〜〜っ!!は、はあっ、はーっ、アっ」
チカチカと、目の前で星が散る。
足どころか腕にすら力が入らなくて、無様に座敷に額を擦りつけて鶴丸は善がっていた。
わななく腕で守る様に口元に手をやるけど、なんにも防げないそれはいとも簡単にあられもない声を逃がしてしまう。
ただ、気持ちが良くて。
審神者と繋がっている場所が、煮えたぎる様に熱くって。
鶴丸はぼろぼろと涙を溢しながら呑みこむことも出来なかった涎を垂らしていた。
でも、そんなのもう気にならなくて。
ただ馬鹿みたいに強烈な快感に、鶴丸はもうどっぷりと呑みこまれていたのだ。
肉の激しくぶつかり合う音と共に、ぞくぞくと背骨を駆け巡って脳髄までどろりと犯されていく。
正常位では届かなかった場所に、熱いものがごつりとぶつかっては離れていく。
それがとんでもなく気持ちよくって、鶴丸はもうなりふり構わず身を捩っては喘いでいるのだ。
「あ゛っあ〜〜っ、んあっ、ひッ!っ、ア゛っ、ああっっ」
気持ちいい、ただひたすらに気持ちいい。
お腹の一番奥に当たる度に、びくんっと身体が勝手に跳ねていく。
まだイってない筈なのに、軽く気をやっている感覚に陥ってしまう。
鶴丸は、見事に前後不覚に陥っていた。
迫りくるその瞬間に、頭を垂れて媚びきっていたのだ。
──ああ、くる。
きてしまう、あの感覚が、もっと強い感覚が、すぐそこまで来ている。
勝手に強張り始める爪先に、身体に、鶴丸は襲い掛かるであろう衝動を受け入れるかのように首を仰け反らせてふるふると震えていた。
もう、すぐ、審神者が、もう一度強く打ちつけてくれたら。
そしたら──そし、たら。
「────ぁ、」
しかし、その衝撃は訪れなかった。
極まるそのすんでのところで、審神者が腰を止めてしまったのだ。
膣はもうひくひくと締まっているのに、なのに、最後の一突きが来ない。
もうその快感は目の前に居る筈なのに、あと一歩、最後のあと一歩が、届かない。
「あっ、あぁぁ……っ、やらっ、なんっなんでえぇぇ……!」
気持ちいいのに、足りない。
あとちょっとなのに、足りない。
これのままじゃあイけない、イくことが出来ない。
さっきまであんなにイかして貰えてたのに、なのになんで。
鶴丸の頭はもう、ぐちゃぐちゃで。
ただぼろぼろと涙を溢しては、やだやだと首を振って畳に顔を擦りつけていた。
熱くて、中に入ってるものだって、こんなにも固く反り返ってるのに、びくびくと震えてる癖に、突いてくれない。
こんなにも固いものが入ってるのに、なのに、動いてくれない。
はあはあと、熱い息がこぼれて。
過呼吸になってしまいそうなその乱れた呼吸のまま、鶴丸はまとまらない思考で、それでも必死に考えていた。
気持ちよくなりたいのだ、けれど、なれない。
どうしたら、どうしたら気持ちよくなれるのか、どうしたら、ああ、どうしたら────
「──自分で、動いてごらん」
そうしたら、すぐ気持ちよくなれるよ。
その瞬間に、その毒を含んだその言葉に。
必死に、必死に守っていた鶴丸の矜持は、音もなく壊れた。
無様にも、刀としての、男としての頑なに守っていた誇りは──実に容易く、折れてしまったのだ。
「……っ、ぁっひっ、ん゛っ……!んん゛ッっ!!」
ゆるゆると腰を動かせば、甘い痺れが途端に駆け巡る。
でもそれじゃあ足りなくて、はふはふと乱れた息のまま、鶴丸はどんどん腰の動きを強くしていってしまう。
そこにはもう、男であるのに、女として抱かれている屈辱も敗北感も、なくなってしまっていて。
ただ散々教え込まれた快感を、自分から追いすがってしまう憐れな雌の姿しかいなかった。
そう、鶴丸国永は、今完全降伏をしてしまっていた。
男であり、神である彼が、主と言うだけの女の、ただの矮小な人間に、完全に下ってしまったのだ。
そう鶴丸は──いや、刀剣男士の誰もが、きっと心のどこかで下にみていた彼女を。
自分たちを顕現させたといえ、所詮は女、戦に出ることもなく安全地帯に引きこもった、貧弱な女。
彼女が居なければこの世に存在することすら叶わないけれど、その実、彼女ごときを上とすることに、少しばかりの反感を抱いていたのは、確かなことで。
名家の家柄でもない、品格のあるものでもない。
ただの女、ただのどこにでも居る女に、数ある名将たちに仕えていた刀剣たちが無条件で慕う方がおかしいのだ。
愛でる対象、愛玩動物のような扱いをして、"命令をきいてやっている"状態、だったのに。
なのに、なのに鶴丸は今、そんな女の下に居て。
馬鹿みたいに喘いで、馬鹿みたいに言いなりになって、馬鹿みたいに啼かされている。
おかしい、こんなの、認めてはいけないと思うのに。
なのにこの心は、不思議なことに満たされているのだ。
自分のことを、まるで玩具かなにかのようにして扱うこの女に、審神者に、言いようのない劣情を抱いてしまっている。
ああ、こんなの、違うのに。
あの五条国永に打たれし、誰もが求めた鶴丸国永の姿じゃあ、ないのに。
なのに、なのに、なのに────。
「あっひぃっ…ッ、きもち、い、ああっ!あっ、しゅごっ、きもひぃっ、あ、アっ!」
「奥届いてないよ?もっといっぱい腰振んなきゃね」
「んあっ、ふうっ、ふっ、はっ、みゅりっ、ひからっ、はいりゃなっ」
「力はいらない?じゃあ、私に奥までゴリゴリしてほしい?」
舐め腐った、その言葉。
敬う気も、崇める気すらない、品性の欠片もないその言葉。
なのにその言葉が耳に届く度に、鶴丸は、咥えこんだ性器の熱さを思い知ってしまう。
身体の隅々まで神経が張り巡らされた感覚に、捕われてしまう。
こんなの、鶴丸はしらない。
こんなの、鶴丸国永は、しらなかったのに。
「ッ!おくっ、おくついてぇっ!ありゅじ、っ、がつがつしてほし、いっ……!もっときもちくなりたいっ、んぁ、ッああ゛……!!!!」
言うや否や貫かれた熱の勢いに、鶴丸は一瞬、息の仕方を忘れた。
ひゅう、と喉がなって、呼吸が乱れる。
吐いてるのか、吸っているのかもわからない状態で、しかしそんな硬直する鶴丸を嘲笑うかのように、審神者は鶴丸に覆いかぶさる様に腰を推し進めていくのだ。
抉る様にぶつけられるその勢いに、けれど鶴丸の今の身体は、これ以上ない快感として処理してしまった。
目の前を、星が散るなんてもんじゃない。
突かれる度に真っ白になって、なんにも考えられなくて。
寸止めされて、知らず知らずに自分自身で焦らしてしまったこの身体は、やっと得られた強烈な快感にどこもかしこも感極まっては暴れてるのだ。
突かれる度に、勝手に声が出て。
突かれる度に、鶴丸の心はどんどんとろとろに蕩けていってしまう。
矜持も、誇りも、なにもかも、その形を溶かしていってしまうのだ。
「あ…っ!あぁっ、あ゛ーーっ!ひっんぐっ、は、っはあっは……ッっ!」
「つーるまるっ、気持ち言って、いってごらん?強請って、媚びて、いっぱい喘いで?」
打ち付ける肉の音が、耳に反響する。
それ以上に耳元で囁かれる品性もなにもない言葉に、ぞくぞくと鶴丸の身体は震えてしまう。
馬鹿、馬鹿だ、馬鹿以外の何者でもない。
でも今、そんな馬鹿が、とんでもなく、たまらなくて。
「ありゅっ、ありゅじぃいッ…、…!きもひっ、ぅあっ、あ゛ーーっ、んんんっきもひ、ぃい!おくっアッもっとぉ……ッ!、」
「ゴリゴリしてほしい?」
「んん゛ッして、してほしっ、ぅあっ、ア!はあっあーっ、ああぁあ……ッ!!」
ゴツン、と奥へ奥へと当たって、腹が震える。
いや、腹だけじゃない、足も、腰も、腕だって、ぶるぶる震えて仕方がない。
なのに、それが心地よくて。
なのに、なのになのに、それが、堪らなく、気持ち良くて。
──ああ、馬鹿になる。
馬鹿だ、こんな、こんな獣みたいな交尾。
どこもかしこもべしゃべしゃのぐしゃぐしゃで、雅な文も言葉もない。
愛なんてものはこの行為のどこにもなく、ただあるのは、互いの劣情を慰める世迷言。
なのに、それを"いとしい"とすら、感じ始めて。
──ああ、これは、駄目な奴ではないか。
わかってるのに、わかって、いるのに。
これはきっと錯覚で、この状況に流された、一時の感情の履き違いのはずなのに。
だって、相手を見てみろ、自分の顔をしたこの相手を見てみろ。
自分の身体の中に女が入って、そいつが自分を犯してる。
こんな馬鹿げた状況の、馬鹿げた話があっていいわけあるまいに。
なのに、なのに、ああ、それなのに。
「──ぅあっ、あ、ア、あッ!くりゅっ、ぁあっ、あ゛ッくるぅっ、あぁああ、ああ゛っ、!!」
競り上がってくる感覚に、待ち望んだ瞬間に。
鶴丸は、ぞくぞくと背筋を反らせながら唇を戦慄かせる。
口を伝う液体が、汗なのか涙なのか涎なのかもわからない。
ただひたすらに、ただもうひたすらに堪らなくて、気持ちよくって。
「あぁーーーーっ、あ゛っ、ぁーーー〜〜〜っ、ッ!!!!」
膨張した熱が、腹の一番奥に吸い付いたまま──弾けた。
ガクガクと、身体が震える。
どこもかしこも壊れたみたいに震えて、跳ねて、爪先から天辺まで電流が走ったかの様に甘い痺れが止まらない。
熱い熱い液体が、じんわりと腹の奥にぶち撒かれたのを胎内で感じて──おかしなことに、鶴丸はうっそりと微笑んだ。
なんでか非常に愛しく感じて、注がれ続けてぽっかりと膨らんだ腹に、微笑んでしまったのだ。
ひくんひくんと、腹が鳴る。
吐き出されたものを呑みこもうと、腹の奥が動いてる。
ちゅうちゅう吸い付いて、貪り付いて、熱を、精液を、余すとこなく搾り取ろうと身体が勝手にひくついている。
それが、とんでもなく気持ちよくって。
そうして審神者が、最後の一滴まで絞り出すかのようにぐりぐりと一番奥を捏ね繰り回すもんだから、鶴丸はもう言葉にならないくらい感じ入っていた。
気持ち良すぎて、死んでしまいそうなくらい、脳髄まで感じ入っていたのだ。
「は、はあっ、あ、あ……っ!」
ずるりと長いこと咥えこんだままだった性器を引き抜かれて、思わずぞくりと身体を震わす。
そうして支えを失った身体はぐしゃりと畳の上に崩れ落ちて、けれど、あちらこちら跳ねっぱなしの身体は上手いこと言うことを聞いてはくれない。
蹲る様にして震えっぱなしの鶴丸を、汗だらけの審神者がひっくり返して足を伸ばさしてくれる。
それだけで大分息がしやすくなって、鶴丸は、まだ上手く使えない喉でゆっくりと息を吐いた。
「きもちよかった?」
ぼわぼわとする耳に、審神者の声がそっと届いた。
確かに自分の声のはずなのに、なのに全く違うように感じるのは中に入っているのが審神者だからだろうか。
そんなことを、とろとろに蕩けた頭の中でぼんやりと思いながら、鶴丸はぺたりと貼り付いた髪の毛を払ってくれる審神者の手のひらに、そっと擦り寄った。
固い固い男の手。
何度も何度も刀を握った、己の手。
──俺の手のはずなのになあ。
なのに、全く違うものに視えるのは、なんでだろう、だなんて。
思った鶴丸は、じわじわと解けていく思考回路に、くったりと疲れ果てて腕一本すら持ち上げられない身体に、ひとつ笑ってこう呟くのだ。
「──ああ、まったくひどい、おどろきだぁ」
鶴丸は、かの気高き刀剣はこう思う。
目の前の、こちらを見て笑う、自分の姿に。
その中にいる、どこにでもいそうな、実に平凡な女の姿に。
──げに怖ろしきは女なり。
もう二度と、この女を舐めないぞと、両手を上げて降伏するのだ。
完全降伏も、存外に気持ちのいいものだ。