アクゼリュスを消滅させたルークが、その罪を認めずに責任転嫁をした事に怒りを覚えたジェイド達は、ルークを責めると艦橋に入ろうとした。
 しかし、レオンが入口を塞ぐように立っていた為、退くように言う。

「図星指されたからって逆切れか? みっともねーな!」
「図星ってどういう意味?! あたし達は、そこのお坊ちゃんが、罪を認めずに責任転嫁したから許せないって思ったんじゃない!」

 アニスが怒鳴る。

「つまり、『あたし達に責任は無いのに、責めるなんて許せない』って事だな? オレは、『お前達が自分の責任を認めずにルークに転嫁したのが許せねえ』って思ったわ」
「転嫁も何も、ルークが悪いのは事実だろう!」

 ガイが、ルークの罪を理解しない上に自分達が悪いかのように言うレオンに苛立ってそう言う。

「『お前等に責任があるのも事実』で、『お前達の責任までルークに押し付けているのも事実』だろうが!」
「私達が、何時そんな事をしたと言うの!」

 ティアが怒りを露わに声を上げた。

「じゃあ、ユリアシティに着くまで時間もある事だし、じっくり教えてやるよ」

 嘲笑を浮かべてそう言ったレオンが、まるで、獲物を前にした獰猛な肉食獣のように見えた。





 食堂に移動し、全員――ルークも――椅子に座る。

「じゃあ、先ず、お前等が責任を理解しているか、確認させて貰う」

 独り立っているレオンは、偉そうにそう言うとイオンの斜め後ろに移動した。

「『導師』イオン、貴方の責任は何でしょう?」
「…ヴァンが、あんな事を企んでいると思わず…安易にセフィロトの扉を開けてしまった事です」
「『導師』イオン、貴方、何歳でしたっけ?」
「え? …14歳ですが…?」
「んじゃ、七で割って2歳な」

 そう言うと、レオンは、アニスの斜め後ろに移動した。

「アニス『奏長』、貴女の責任は何でしょう?」

 イオンが2歳とはどういう意味かと尋ねるのを無視して、質問を繰り返す。

「難しくて分らないのかな?」
「アクゼリュスが消滅した事に、私は関係無いでしょう!」
「アニス『奏長』は、何歳?」
「…もう直ぐ14歳だけど!?」
「じゃあ、七で割って2歳な」

 レオンはそう言うと、ジェイドの斜め後ろに移動した。

「はい、ジェイド『大佐』、貴方の責任は何でしょう?」
「…迂闊にもルークを信用して、側を離れた事です」
「ジェイド『大佐』、何歳ですか?」
「…35歳ですが…」
「じゃあ、七で割って5歳で」

 「一足して36にして、十八で割って2歳の方が良いかな?」と呟きながら、ティアの斜め後ろに移動する。

「ティア『響長』、貴女の責任は何だろうな?」
「…兄さんを止められなかった事よ」
「ティア『響長』は、オレと同い年だから、今年で16だよな? 八で割って2歳な」

 レオンは、移動しながらそう言うと、ジェイドの向かいに座るガイの斜め後ろに移動した。

「で、ガイ『さん』、貴方の責任は何ですか?」
「…ルークをあんな風に育ててしまった事かな」
「ガイ『さん』は何歳ですか?」
「…もう直ぐ、22歳だ」
「じゃあ、十一で割って2歳で」

 そして、ナタリアの斜め後ろに移動する。

「さて、ナタリア『王女』、貴女の責任が何か、お解りか?」
「…私はルークが自分の役割に自分で気付くと信頼していましたのよ! それなのに…」

 ナタリアは、救助をせずにヴァンの元へ行ったルークが悪いのに、何故自分が責任を問われなければならないのかと、憤慨した。

「ナタリア『王女』は、お幾つで?」
「19歳になりましたわ!」
「じゃあ、一引いて18にして、九で割って二歳にしますかね」

 そう言いながら、ルークの隣に移動した。

「ルーク」
「な、何だよ! お前もオレだけが悪いって言うのか!?」
「いいや。悪いのはヴァンだろ」
「そっ…そうだよな!」
「レオン! ルークが悪くないだなんて、間違った事を教えないでくれ!」

 ガイが立ち上がって、文句を付ける。

「お前らこそ、ヴァンが悪くないだなんて、間違った事を教えるんじゃねーよ!」
「そんな事言ってないでしょう!」

 ティアも立ち上がって否定する。

「言ったも同然だろ! お前等は、ヴァンを全く責めていないんだからな! それとも、お前等は、罪の自覚があって責任転嫁しない凶悪犯は、責めるべきじゃないって思ってるのか?!」
「そんな事思ってないわ!」
「そうだよな。お前は、『大好きなお兄ちゃん』を責めたくないんだよな!」

 ティアは、図星なのか口を閉ざした。

「違うって言うんなら、言ってみな。『アクゼリュスを消滅させるなんて…兄さんを大好きだった私が馬鹿だった』ってな!」
「家族なんだから、好きなのは別に馬鹿でも何でもないだろう!」

 ガイがティアを庇う。

「ティアがヴァンを嫌えば、ヴァンが反省して改心するかもしれないじゃないか!」
「…それは…そうかも知れないが…」
「好い加減にしてよね! 総長も悪いけど、そこのお坊ちゃんが悪くない訳無いじゃない!」

 アニスが立ち上がってルークを指差した。

「ヴァンよりルークの方が悪いって?」

 レオンは言いながら、ルークとイオンの後ろを回ってアニスの手前で止まった。

「当たり前でしょう! アクゼリュスを消滅させたのは、そいつなんだから!」

 レオンは、もう一度ルークを指差したアニスの腕を掴んでイオンに振り降ろした。

「何をするの!」

 ティア達が騒ぎ、レオンを責める。

「何でアニスは責めないんだ?! 『イオンを殴ったのはアニス』だろう!」
「あんたがあたしの腕を掴んでイオン様を殴ったんじゃない!」
「最低だな! オレに責任転嫁か!」
「最低なのは貴方でしょう! 責任転嫁も何も、貴方が悪いんじゃない!」

 ティアがそう言って責める。

「じゃあ、お前ら何でルークを責めた?!」

 反論するより早く、レオンが言葉を続けた。

「オレを責めてアニスを責めないのに、ヴァンを責めないでルークを責めたのは何でだよ!?」
「そんなの、当たり前でしょう!」
「アニスの腕が『ルークの超振動』、イオンが『パッセージリング』、アニスの腕を掴んでイオンを殴ったオレが…『ルークにかけた暗示で超振動を発動させて、パッセージリングを消滅させたヴァン』」

 レオンの言葉を理解しようと、言葉が途切れる。

「で、アニスを責めないのに、ルークを責めたのは何でだよ!?」
「…暗示?」
「アニスを責めなかったのは、イオンが死ななかったからか?!」
「暗示とは、どういう事ですか?!」

 ジェイドが焦ったように尋ねる。

「オレが戻った時、ヴァンがルークに、『愚かなレプリカルーク、力を解放するのだ』って言ったんだよ。そうしたら、『ルークが意識を集中していないのに、力が放出された』んだ」

 譜術士は、意識を集中しなければ、譜術を発動する事が出来ない。
 それは、超振動も同じである。
 いや、超振動のような強力な力ならば、尚の事、意識の集中が必要なのだ。
 音機関等で、無理矢理引き出さない限り。

「…だから、暗示をかけられていたと?」
「当たり前だろ? 譜術士じゃないルークが、どうやって、超振動使うんだよ? 何、お前、ルークが譜術の超天才だと思ってたの?」

 ジェイドは、悔し気に俯いてメガネを押し上げた。

「勿論、ルークが超振動を使うつもりでいたのは確かさ。でも、ヴァンが何もしなかったら、発動出来なかったんだぜ? しかも、ルークは、超振動で瘴気の中和をするつもりだったんだから、悪いとしても、1:9で殆どヴァンが悪いだろ」
「破壊するつもりが無くても、超振動を使うつもりでいたなら、ルークが悪くない訳無いわ!」
「じゃあ、ファブレ家の人間全員に、『巻き込むつもりが無くてもナイトメアを使った』お前は、勿論、悪いんだよな?」
「…え?」
「『ナイトメアは、ダメージを与える効果がある』んだから、『そのつもりがなくてもダメージを与えた』お前は、悪くない訳無いんだろ?」




掲載日:2011.02.17

「○で割って○歳」は、無題12のランダでやろうと思ってました。
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