連続します、一発合格(1)

ヒルデブラント王子への挨拶が終わったわたくし達は、1位の領地から順に挨拶に回ります。


1位のクラッセンブルクはお兄様が挨拶をして無難に終わりました。

2位のダンケルフェルガーは次期領主のレスティラウト様と、妹のハンネローレ様へご挨拶します。
ハンネローレ様はお姉様と同じくらい小柄な背丈の方でした。ダンケルフェルガーといえば武の象徴と聞いていますが、こんなに可愛らしい方も武器を振り回すのでしょうか?
意外にも男性のレスティラウト様が髪飾りに興味をお持ちのようでした。

3位のドレヴァンヒェルは、六年生のアドルフィーネ様から髪ツヤについて質問を受けました。リンシャンの説明と次の領主会議で取り引きを開始することを伝えると、購入をお約束してくださいました。お姉様が生き生きとお話されてましたわ。
二年生のオルトヴィーン様はお兄様との話が弾んでいました。友情を築けたというのは本当だったようですね。

4位のギレッセンマイアーには、わたくしと同級生になる領主候補生がいらっしゃいました。淡いみどりの髪に水色の瞳のルーツィンデ様です。仲良くしていただけると良いのですが・・・。

5位のハウフレッツェにも同級生となる領主候補生がおりました。銀髪に深いみどりの瞳のヴィクトール様。柔らかな物腰の男性です。

そして6位のアーレンスバッハ。
お父様からは、ディートリンデ様とお兄様が二人でお会いする約束などをしないよう見張ること、領地の内情を探るよう指示されています。ただし、お姉様はできるだけ関わらせないように、と。

「星結びの儀式以来ですわね。皆様、お元気そうですこと。ヴィルフリートにお会いできる貴族院が始まる日をずっと待ちわびていましたわ」
「私もです、ディートリンデ様」

お互い微笑み合う姿は親しい関係を明らかにしているようで、とても親睦会のような公の場所で見せて良い姿ではありません!
わたくしの内心の焦りを横に、お兄様の側近も平然としていますわ。これはお父様に報告しませんと・・・。

「アウレーリアはどのように過ごしているのかしら?実家に何の連絡もないと心配していましたのよ」

ディートリンデ様の視線がようやくこちらを向きました。

「アウレーリアはエーレンフェストでの生活を楽しんでいますわ。新しいヴェールもランプレヒト兄様から贈られた布で仕立てましたし、お茶会では海の魔獣を退治する騎士の話をたくさん聞かせてくださいました」
「騎士の話・・・ですか?」
「えぇ、わたくし各地に伝わるお話集めが趣味なものですから、お付き合いいただいたのです。アウレーリアはおっとりしていて話上手な方でしたから、楽しませていただきましたわ」

お姉様が語るアウレーリアの話に、ディートリンデ様は首を傾げています。何かおかしなことでもありましたかしら?

「・・・楽しんでいるならよろしいわ。エーレンフェストの領主候補生とわたくしは従姉弟同士ですから、これからも仲良くしましょうね」

美しい微笑みの中に、含むものを感じずにはいられませんわ。


7位から11位の領地はエーレンフェストを警戒しているようで、嫌味や牽制が多かったですね。
お姉様は受け流していましたが、お兄様はそもそも嫌味に気付いておられない様子・・・。お母様への報告案件ですわ。


13位からはエーレンフェストより下位の領地ですから、対応を変えなくてはいけません。笑顔で嫌味と皮肉の応酬合戦。これはこれで楽しいですわ。わたくしの得意分野ですもの、ふふふ。

次は・・・フレーベルタークのリュディガー様がいらっしゃいましたわ。髪の色と面差しはお兄様、瞳の色はわたくしにそっくりです。血の濃さを感じますわね・・・。お姉様も大きく目を瞬いて驚いていらっしゃるわ。

リュディガー様が跪き、わたくしとお姉様に初対面の祝福を送ります。そして顔を上げると、お兄様と目を合わせました。

「エーレンフェストでは土地のため、民のために領主候補生が率先して動いていると伺い、フレーベルタークでも同じように直轄地に祝福を与えたところ、収穫量が伸びました」

昨年お兄様が神事のことをお話していましたのね。収穫量が増えたことを嬉しそうに教えてくださいます。これなら、神殿の忌避感を薄める協力をお願いできるかもしれません。

「エーレンフェストとはこれからも変わらぬ関係を築いていきたいと思っています」
「従兄妹同士ですものね。仲良くしていきましょう」

わたくしの返答にリュディガー様は安堵したように息を吐き、お兄様お姉様も頷いてらっしゃいました。



寮に戻り夕食のあとは報告書作成の時間です。
アウブ・エーレンフェストの方針で、公式行事や重要案件は文官だけでなく領主候補生も報告書を書くように言われています。報告書の書き方は貴族院へ来る前に、叔父様から側近共々指導されました。
下手なものを書くと添削されて返ってきてしまいますから、気合いも入るというものですわ。

まずは第三王子ヒルデブラント様について。お姉様に特別声を掛けられたこと。
各領地のお話した方と内容や印象。
領主会議での取り引きを求められそうな内容や数予測。この辺りはお姉様の方が正確な数値を出せていそうですが、わたくしも参考のため書いておきます。

あとは、アーレンスバッハですか・・・。
お兄様の問題行動諸々は報告しないといけません。側近にも注意を促してもらいましょう。
わたくしの側仕えがディートリンデ様の側近と情報交換のため動くつもりでいますが、まずは講義を終わらせなくては予定が組めませんものね。暫しお待ちくださいと書いておきましょう。

叔父様に質問です。フレーベルタークと領地対抗戦の発表を合同で行うという考えはどう思われますか?神殿の忌避感を取り払うためには味方を増やしたいです、と。


親睦会でも遠回しに神殿育ちを嘲る声はありました。お姉様が気にしていなくても、悔しいものは悔しいのです。せめてエーレンフェストの神殿だけは違うと見る目を変えていただきたいものですわ。

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