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愛=煩悩

07



絵麻が楽しみにしていた家族旅行当日。
飛行機とフェリーを乗り継ぐこと、数時間…。
絵梨達は離島にある、朝日奈家の別荘に到着した。
各自荷物を片付けると、すぐさま自由行動となった。
絵梨も水着に着替えて日焼け止めを塗ると、波打ち際を散策しようとコテージを出た。

「りーちゃーん!こっちこっち!」
「弥くん。それに…雅臣さんと要さんも。」
「弥と一緒に水遊びしてたんだ。きみも一緒にどう?」
「はい。」
「ほらほら、見て見てー?ここらへん、カニさんがいるんだよー?」
「あ、ほんとだ。」
「今ねー、まーくんにカニさんを取ってもらってるんだー♪」
「ほら、弥。一匹捕まえたよ。」

弥が言っているそばから、雅臣はまた一匹カニを捕まえてバケツに入れた。
バケツの中を覗きながら無垢な末っ子は上機嫌に鼻歌を歌う。
微笑ましい光景の横で、要が渋い顔をして絵梨に話しかけてきた。

「ねぇ、絵梨ちゃん…ちょっと気になっているんだけどさ。その無粋なラッシュガードは何?」
「日焼け防止ですけど?」
「えー?ロング丈、指先すっぽりのそれはそれで可愛いんだけどさー。」
「…自分はどうなんですか?」
「男の水着姿なんか見なくていいの。…ね、脱ごうよ。というか、脱がせていい?」
「どーしてりーちゃんの服を脱がすの、かなかな?」
「どうしてだろうね?おかしいね、要さんって。」

既にリボン結びされている腰紐を解こうと迫ってくる要の手をパシンと叩いて、絵梨は弥の側に移動した。

「…ん、そうだね。服を脱がすのは子供が寝たあとで。夜のお楽しみにしておこうか♪」
「…」
「要。弥の前でそういうことを言うなって、何度も…!」
「あれ?そういう雅兄だって、本当は脱がせたいんじゃないの?」
「な…っ?…そ、そんなことはっ…!」

咎めた割に顔を真っ赤にして目を逸らせる雅臣を、要はいじり遊んでいる。
年長組の行動に呆れ返ると、絵梨は弥と一緒に楽しく遊ぶことにした。


2014.10.23. UP




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夢幻泡沫