
Main
Eternal love to you
11
陽が落ちても興奮は冷めやらない。
共に楽しみましょうぞと誘ってきた真田を断り、後夜祭の会場で蒼乃を探す。
女友達といた蒼乃を見つけ軽く手を上げれば、ヒラヒラと振り返された。
こっちに来いと手招きすると、友達と2、3言かわしてから小走りに走り寄ってくる。
…カワイイじゃねえか。
今すぐ俺だけのモンにしたくなる。
「伊達君。」
「お疲れさん。ちょっといいか?」
「うん。どうかした?」
「Ah〜、あっちで話さないか?」
「あっち?いいけど。」
照明の光は届いているものの、人気がない方を指して誘っても蒼乃は簡単に肯首する。
やっぱりコイツは自覚が足りない。
イロイロ我慢が利かなくなっても俺のせいじゃねえからな。
連れ出した先で黙って蒼乃を見ていれば、居心地が悪くなったのか視線を左右に忙しなく動かした後で違う方向に流した。
それから何度か言いかけては止め、を繰り返す。
「…伊達君、そんなに見られたら恥ずかしいよ。」
「ああ、悪い。つい、な。」
「『つい』って、もう…それで話って?」
「いや、取り立てて話したいことがあったわけじゃねえが…文化祭、終わっちまったな。」
「あ、うん。楽しかったね。」
「だな。アンタ、これで部活を引退だろ?」
「そうなの。野球部はとっくにだっけ?やっぱりさみしいね。」
「まあ、そうだな。」
「毎日聞いてた毛利君のお小言もなくなるのかと思うと、なんか変な感じ。」
「…アンタ、マゾだったのか?」
「違うからっ!毎日あったものが急になくなるのってさみしいじゃん。伊達君も片倉先輩から怒られなくなったらさみしいでしょ!?」
「Wait!何で小十郎から怒られるのが前提なんだ!?」
「違うの?」
「…」
「とにかく、そんな感じなの。それに、これからは大学受験でしょ?楽しみがなくなっちゃうなあって思って。」
「受験か…アンタ、どこの大学受けるつもりなんだ?」
「…正直、まだ決めかねてる。伊達君は?」
「蒼乃と同じところ。」
「え?」
「蒼乃と同じところに進む。家からは経済学部に進めばいいって言われてるし。」
「…伊達組?」
「グループ、な。まあ、ランクが高い大学を目指すことに越したことはないんだろうが…俺は蒼乃と一緒だったらどこだっていいんだよ。」
「…」
「好きだ、蒼乃。」
「っ…」
俺の言葉に、面白いくらい染まっている顔を隠すように蒼乃が両手を頬に添える。
その手を外して握りしめ、顔をずいと寄せる。
そらされない瞳に自分を映し出せば、蒼乃の頬がさらに上気した。
「…ちか…い…」
「近づけてんだよ。なあ…いい加減、俺を見ろよ。」
「…」
「好きだぜ、アンタが。1年の時からずっと。」
「…」
「俺と付き合えよ。大事にするから。」
「…伊達、君…」
「ぜってえ大事にする。反吐が出るくらい甘やかしてやるよ。」
「…」
「てか、観念して白状しろ。顔、赤いぜ?」
俺が見逃すかよ、とニヤリと笑ってみせる。
途端に勢いよく手を離した蒼乃を逃がさないように抱きしめた。
柄にもなく心臓がバクバクいってる。
だが、それが伝わってもいい。
腕に力を込めて耳元でもう一度『好きだ』と囁けば、抵抗を見せていた蒼乃がおとなしくなった。
「蒼乃?」
「…答えなきゃダメ?」
「Yeah.」
「…今更感バツグンで…恥ずかしいんですけど…」
「アンタの口から聞きたい。」
「…」
「蒼乃。」
「…」
「好きなんだ。俺と付き合えよ。」
「…本当、俺様。」
「No. 聞きたいのはその言葉じゃねえ。」
「…」
「蒼乃。」
「…私、も…好き…」
蒼乃のたった一単語が、やけに胸に沁み込んだ。
抱きしめていた片腕を離し、頬に手を添える。
「…熱、持ってんな。」
「ちょっ…恥ずか、しい…か、ら…」
「可愛い。」
「伊達く…っんぅ…」
「…アンタの唇、やっぱ柔らかいな。」
「…卑猥。」
「卑猥上等。軽口叩けんのも今だけだぜ…?」
「え?っ…んっ…ふ、はぁ…ぁ…」
「蒼乃…好きだ…」
角度を変え、深さを変え、何度も蒼乃の紅唇を喰う。
背中に回された手が俺の心臓も掴んだようだった。
2016.05.02. UP
← * →
(11/16)
夢幻泡沫